『幻惑』
次の誕生日には一緒に住んで
家でお祝いしようと笑った顔
『幻惑』
指の隙間から零れ落ちる砂みたい
貴方の言葉がサラサラと
とめどなく流れてゆくの
どこに嘘があったかなら全て
真実なんてひとつも無くて
見せかけの美しさで取り繕った
あの笑顔も今ではただ醜い
どう誤魔化してもそれが事実よ
ボロボロになった恋心は
足蹴にして踏み躙ったわ
先に踏み躙ったのは貴方なんだから
長引いた分お釣りがあってもいいくらい
確かに最初は憎んだけれど
今ではもう無関心に近いから
できるだけアタシに得があるように
立ち回ろうと心がけるだけ
それでも未だお零れを狙うような
貴方の白々しい態度にはうんざり
馬鹿にするのも程々にしないと
いつか決定的な痛手を負うはずよ
「痛手を負わせる誰かには同情するわ」
『幻惑』