自創作小説

レーザーが映画を見たいっていうから、ちょっと街の方に出ることになった。
僕の知らない知り合いに貰ったらしいチケットをぴらぴらとやりながら意気揚々と前を歩くレーザーにちょっと苛立つ。独占欲ってわけじゃないけど友達が知らない奴とつるんでるのって不快じゃない? なんちゃって。僕そんなキャラじゃないよ。ははは。
とにかくあんまり乗り気じゃない。そもそも僕ら能力者は社会に見つかっちゃダメだって、レーザーが口酸っぱく聞かせているくせに、やれどこに行こうだの何をしたいだの、気を使ってるってのに言い出して、外に出るきっかけはいつもこの人だ。
どこにいたって目立つ白髪に季節感を無視した緑のアウター、厨二病感満載の眼帯。外見が怪しさマシマシ。外にいるってだけで視線を集めてしまうのに、どうやってと思ったが、案外、気にせずにズカズカ人混みを歩く。言ってることとやってることが違う。僕の触れ合ってきた大人とはタイプが異なる。レーザーは、なんだか、子どもっぽすぎる。
「ガン! ポップコーンだってよ! コーラ……ペプシとコーラって何が違うんだ?」
と、どっちが大人だ、と突っ込みたくなるほど目をキラキラさせるものだから。
とにかく、レーザーが大きなサイズのポップコーンとコーラを購入してシートについた。
キャラメルコーティングのポップコーンをポイポイ口に放り込んでいく。の度に、うまいうまいと目を細める。上映前の映画広告ですでに半分を食べ尽くしていた。よくそんなに食べれるものだと逆に感心してしまう。今度はチュロスでも買ってこようかと心の中にメモした。

自創作小説

自創作小説

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-04-27

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