色がない世界で

Nobel cakeから転載しています。
Nobel cakeも星空文庫も同一人物ですので、ご安心ください。
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感想はインスタから

「はぁ…。」
いつもの景色。もうとっくのとうに見慣れた。いや、見慣れたというよりみすぎたという方が正しいだろうか。

「ここの街はぜーんぶ汚いものばっかり。」

眩しいくらいの電光看板、顔のいいホスト、酔っ払い、そこら辺で死にそうになってるホームレス、きらびやかな洋服を見にまとったキャバ嬢、なんてものは普通にいる。

「腐ってるなー、ここは。」

人からみたら、こんなにも明るくて眩しいくらいに色がある。あるはずなのに、僕からみたら、灰色みたいに色がないように見えてしまう。

「現実知りすぎた人の末路、かなぁ」

僕はまだまだ未成年。普通ならまだ義務教育を受けている年齢だ。なんで、義務教育を受けてないんだって?そんなの簡単だよ。親が僕のことを捨てた。ただそれだけのことだ。ここの街にはこういう人間ばかりいる。心が腐っているか、金が欲しい奴ばかりだ。

「だる…」
重い足を動かして、僕の居場所へ向かう。

_____これは、色がない世界で生きる、僕らの物語だ。

#2

『行ってくる。じゃあな、零。』
親友の仏壇へ一言呟く。

電車で俺の居場所へ向かう

『人多すぎ…』

少しいやな思いをしながら電車をおり、俺の居場所へと歩く。

道中には明るい照明や、華奢な女性、顔が整った男性、酔いどれなどが徘徊していた。

この街からしたら普通のことだ。

『久しぶりだなぁ、ここの来るのも。』

そう言いながら、事務所という名の居場所への入り口に手をかける。

『久しぶり。みんな。』

[さてと、行こうかな。]

街灯が照らし光る街に出る。

光っていても、ここにいる人間はみんな腐っているやつばかりで、キラキラしているやつなんて一人もいない。

[あいつ来てるかな…リーダー心配してたし。]

居場所にいる仲間が最近来ていない。

リーダーと呼ばれる、この居場所を作った人間が心配していたこともあり、少し心配だ。

[…まぁ、あたしができることもないし、いっか。失踪なんていつものことだし。]

この街では、誰かがいなくなるなんてものは当たり前。

だから、この街はいかにどれだけ「仲間」が作れるかが生き残る選択肢。

____そしてどれだけ信頼されてるか、だ。

「仲間」を作ったとしても「信頼」というものがなければ助けてくれることもない。

これは、社会でも同じようなもんでしょ?

----ただ殺される、というものを除けばね。

今日もそんな居場所へ向かう。

[はぁ…ただいまー。]

色がない世界で

色がない世界で

  • 小説
  • 掌編
  • サスペンス
  • 青年向け
更新日
登録日
2025-04-22

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