旅立ちのカフェモカ

旅立ちのカフェモカ

ー2025年4月21日ー

ポカポカ陽気の晴れた月曜日。

私は、とある1杯を味わうために、幸せを運ぶ黄色いコーヒー屋さんへと足を運んでいた。
とある1杯とは、その名も、旅立ちのカフェモカ。

この日は、時々そのコーヒー屋さんを手伝っていた青年による、海外渡航前最後のお手伝い日。
私がいつものように黄色いバンに向かって歩いていくと、ワンオペで一生懸命対応する青年の姿と、それを見守りながら時々撮影をしている店主の姿が目に入った。
それは、そこだけ優しさという名の暖かさに包まれているような、なんとも微笑ましい光景だった。

「カフェモカの大をください。」
私のその一言で、青年の手によって作りあげられていく1杯のカフェモカ。

"なるほど。これが旅立ちのカフェモカか。"

カップの写真撮影を終えてからひと口味わってみると、店主のこだわりと青年の一生懸命さがマリアージュして、何とも言えないおいしさだった。

その後もそのカフェモカを味わいながら、コーヒー屋さんをしばらく眺めていると、青年が一生懸命に対応し、店主がそれを見守っていた。
そして、その青年の旅立ちを応援するかのように、こだわりの1杯を求める人々が、そのコーヒー屋さんを訪れていた。

おそらく、こんなに素晴らしい旅立ちのカフェモカという特別な1杯を味わえた私は、幸せ者だと思う。
そんな私の目には、その時の微笑ましい光景がいつまでも焼き付いており、そして、その時のカフェモカの味が、長い時間舌に残っていた。

多分私は、この日のことを、そしてその青年のことを、きっと忘れることはないだろう。

夢を抱いて海外へ旅立つ青年に、幸あれ。

旅立ちのカフェモカ

旅立ちのカフェモカ

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-04-21

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