冗談混じりの未来予言

予言というもの、
昔からよくする人もいたそうな。
ただ予言の定義は曖昧である。

ある王国に住む純粋な王子様は、冗談についてあまり知らなかった。

僕はある平和な王国にすんでいる、
十歳の王子様だ!

戦争もせず、
他の王国との交流も良好。
交易は海を越える国までもし始める。

そんな平和な王国だ。

最近お父さんが珍しい人を連れてきた。

「占い師?」なんて言う人らしい。
なんでもその人の言ったことが
実際に起こったりする、
とお父さんは話していた。

僕も少し聞いてみた。
「ねえ、占い師さん。
僕って立派な王様になれそう?」
すると意外な意見が返ってきた。
「君、あまりいい王様には
なれそうにないよ。」
王様は驚いていた。
「なんでですか?」
「坊やは外して話した方が、
あなた様にとってはいいだろう。」
そう言って奥の部屋に歩いて行った。

僕は憂鬱だった。
なんだよ、あのインチキ行商人!
足元にあった石ころを
乱暴に蹴りあげた。

あっそうだ。
僕も占い師になればいいんだ!

「ねえねえ、八百屋さん!」
「は~い、何でしょうか、王子様。」
「今ね城に嘘つきがいるの!」
「まぁ、なんてことでしょう!」

よしよし
すっかり勘違いした。

こうすればあの占い師は
ホラ吹きと言われて、
僕は汚名を返上できる!

「ねえねえ、釣り人さん!」
「お!珍しいじゃないか、どうした?」
「今ねお城にホラ吹きの
占い師がいるの!」
「なんだいそりゃ、
よ~し、酒場で少し話してやろう。」
「ありがとうね!」

こうして、彼は私のことを
悪く伝えるはずです。」
そう王様に話し終わるころだった。

城に向かってくる
多くの足音が聞こえた。

王様はまさかと思い、
城門に向かった。

「王子様に謝れ!」
「王子様を貶すやつは拷問だ!」
「見せしめにしてやれ!」

外は大騒ぎだった。
間をぬって息子が顔を出した。
「お父さん!あの人追い出そうよ!」
私は唖然とした。
まるで占い師の見た未来の通りだった。

「皆の者、ここで立ち止まれ!
私が直々に制裁を下してやる!」

歓声が上がった。
だが、私の本心はそんなことなかった。

次の日だった。
占い師には少し未来のことを話され
彼の通りに従った。


僕はいいことをした。
予言は当たった!
占い師は反逆者だったんだ!
僕の国から追い出してやった!

でも国民はまだ何かを
欲しているようだった。

「予言を聞きたいかい!?」

歓声が上がった。
僕も舞い上がった。

そしてあることないこと全てを
話し尽くして、それを仮の予言とした。

これが負の始まりだった。

みんながずっと僕を信じていた。
僕が言ったことは全て本当だと信じて、
勝手に問題に備えたりしていた。

でも僕にとっては冗談だった。
僕にとっては。

当たった。
当たってしまった。

本当に冗談だったのに。

この事から
僕に信頼を置くようになった。

偶然だった。
でもいつしか自分の発言に
重さを感じてきた。

発言したことが本当に起こる。

あの予言は当たる。

そんなわけないのに。
もう喋ることさえ嫌だった。

ある日のことだった。

いつもの癖でぽろっと冗談を
こぼしてしまった。

「それって本当!?」
「まじで!?」
「信じますね!」

ねえ待ってよ、
予言じゃなかったんだよ。
元々は。

僕、うっかり
「お父さんはもうすぐ死んじゃう」
なんて言っちゃった。

もう裏切れなくなっていた。
僕の信頼を忘れて欲しくなかった。

お父さんの寝室にある
小さな短剣、
これでやるしか...


そろそろか。
占い師に最後に
吐き捨てるように言った。
「あのガキ、お前のことを
お前の愛用している短剣で
刺してしまうぞ。

それも後ろからね。
不意打ちさ。
あの様子からきっと
悪い方向に進むだろう。

対策方法は一つ。

殺せ。」

本当にいた。
私の寝室に駆けていくところを
こっそり見てしまった。

「あっ」

「これは一体、何様のつもりだ?」

「いやね、これお父さんの短剣、
町の人が見たいって。」

私は無意識に息子の首筋に
大剣を突き立てていた。

「すまない。」


きっとこの未来は
占い師にはとっくに
見えていただろう。

予言通り、私も自害した。



予言なんて冗談と同じさ、
当たってしまえばそれは予言だった。
当たらなければそれは冗談となる。

でもその後ろに自分のプライドが
かかってくるとどうだろう。
勝手に叶えないと!
と考え始めるやつもいる。
バカみたいだろ。
今の世論にも冗談として
「日本は○日後に滅亡!」
「人類滅亡まであと○○年!」
しょーもないと思えば
見過ごしたらいい。
でも少しでも
これが当たってしまえば
それは予言だ。

そして予言というのは

複雑で、曖昧なものだろう。

そうして私は、
また占い師として
別の国へ行く。

そう予言しておこう。

冗談混じりの未来予言

予言は言ってみることは
いいことではあるけれど、
当たってしまうと気まずいかも。

冗談混じりの未来予言

それって予言?冗談?

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-04-08

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