青い春の思い出。

俺は平和に平凡に暮らすはずだったのになぜこんな事になったんだろうか。

部員がやばかった件

俺は桜川凌駕。
顔も普通。勉強も人並み。運動も普通。
この三点が普通な男である。
特にやることもないので、友達から進められた平和部という何故か意味わからない部活に入部してしまった。
何もやることがないのだからといって、得体の知れない部活を紹介するとはまったくもって失礼なやつだ。
まぁ断ればいいのだが、もうその友達は入部届けを出してしまった。
全く嫌なことであるが、仕方ない。
面倒くさい運動じゃないことが一番の救いとして、ポジティブに考えた。
そして今は5月10日月曜日の放課後である。
そして重い足取りで向かっているのは平和部の部室、よくわからない空き部屋に来ていた。
そして扉を開けた瞬間。
「凌駕!」
「うわっ?」
驚いて俺は半歩下がった。
「何よ、男なら受身くらいしなさい!」
「ったく…。誰だよ…?」
「はぁ?何言ってるの凌駕!あたしは三千院世瑠。頭大丈夫?」
くっそぉ…。
世瑠も同じ部活だったのか…。
こいつは高1の時に同じクラスになり、大変な事になった女である。
見た目はとびきり可愛いのだが、偉そうだし生意気だしお嬢様気取りだ。
まぁ、実際はお嬢様なんだが。
「うるさいぞ、お前はもう少し静かに出来んのか」
即突っ込んだのは、確か水無月呉羽だったか・・・。
こいつは同じクラスになったことがないが、とても横暴でプライドが高いらしい。
そしてこの二人はとても仲が悪い。
まあ特徴のある性格同士だから、張り合うのは当然であろうか。
「とりあえず世瑠、いきなり攻撃をしかけてくるのはやめてくれないか」
俺は一応そこを注意しておく。
「わかったわよ。てゆうかあんたここの部活に入ったの?」
「まぁ、いろいろ訳があってだな」
「何よそれ。あたしは友達が勝手にここに申し込んだのよ!あの四ノ宮胡桃が!」
「別にいいじゃんか。絶対楽しくなると思うよ」
あ、こいつ・・・。
絶対世瑠と呉羽の喧嘩を見て楽しんでるな・・・。
何と腹黒い女だ・・・。
「で、お前は桜川凌駕やな」
「え?俺の事知ってんの?」
確かこいつは三年の先輩だった気がする。
「何で俺の事を知ってる」
「世瑠からよく聞くからだよ」
「はぁ…。そうか。まぁ俺もここの部活に入るからこれから宜しく」
「おうよ。てかお前先輩に対する態度がなっとらんな」
「すません…」
「まあいい。先輩後輩のあの堅苦しいのは嫌いだからな」
「はぁ、そうですか」
「あの…。私、テレビ見たいんですけど…」
「え?あぁ、風蓮!いいわよ」
世瑠は自分のテレビゲームをやめて、このロリ少女の桐瀬風連に譲ってあげた。
「テレビもう一つ必要じゃない?」
「何言ってんだ。予算がもったいねえだろ」
俺は正論を言う。
「そうだけど…。テレビは必要でしょ?」
「でも一つあるんだからいいだろうが。文句を言うな」
すかさず呉羽が怒った口調で言う。
「何よ、偉そうに」
「正論だ。文句無いだろう」
「べ、別にないけど…」
「なら、そんな喧嘩腰でくるな阿呆が」
「阿呆は言いすぎでしょ!」
「もう、不毛な争いはやめてよ」
一年の柏崎遥も加わってくる。
この少女は、天然&年下&可憐な最強美少女である。
俺の弟が確か柏崎と同じクラスだから知っているのだ。
「じゃあとりあえず会議しよッ!今後の平和部について!はいはい、席ついて」
世瑠がまぁ正しいことを言う。
俺はとりあえず窓際の換気が良さそうな奥の席に着いた。
そして他の部員らも総勢、俺合わせて六人が席に着く。
「とりあえず、部長を決めましょ!」
「部長か…。立候補する奴いるか」
呉羽も仕切りを始める。
そして挙手する人は現れなかった。
「立候補がいないなら推薦でいくぞ。何か意見あるか」
「私、胡桃さんがいいと思うです」
風連が眼鏡を押し上げて言う。
「何で私なんだよ!」
「だって、一番年上ですしぃ」
「だ、だからといって・・・」
「いいじゃない!あたしも胡桃でいいわ」
「何なん!?世瑠まで!」
「私も四ノ宮さんでいいと思う」
「く、呉羽まで…」
「じゃあ決定で良くないですか?とりあえず多数決しましょうよぅ」
「そうだな。じゃあ四ノ宮さんがいいと思う人」
はい、はい、はい、はい、はい、胡桃以外は全員挙手した。
勿論俺も。
だって胡桃にならなかったら、俺に回ってくる確率があるからだ。
面倒な事は嫌いだ。別に胡桃が嫌いな訳じゃないし歓迎しようではないかと。
「えっ!私?何でなん?理由を言ってみいや!」
「だから、一番年上の三年生だからですよぅ」
風連が二度言う。
「だ、だからって…」
「運動神経も良いし、リーダーシップがあるから、いいと思うよ」
フォロー上手な遥も付け加える。
「どっちにしろ、多数決で決めるって言ったんだから、胡桃に決定よ」
世瑠は容赦なく言う。
「わ、わかったよ…」
胡桃はやっと納得した。というか、させられた。
「じゃあ副部長は誰にする?二年生にしましょ!」
「そうだな。そう考えるのが妥当だ。で、やりたい奴挙手しろ」
ちなみに二年は俺と、世瑠と、呉羽である。
「あたしやるわ」 「私やるぞ」
世瑠、呉羽の二人が同時に言う。
その後、二人はに睨み合った。
「何よあんた!パクらないで!」
「パクったのは貴様だ!」
「やれやれ」
胡桃は嘆息する。
「世瑠、呉羽。ここはくじでいこう」
胡桃は年上らしく仕切ると、割り箸を取り出した。
「これを一本引くんや。赤いのがついとったらそっちが副部長や」
二人はにらみ合った後、じゃんけんで世瑠が勝ち、世瑠から引いた。
「え?あたし何にもついてない!」
「私もだ!」
「え?あれ?ごめん、付け忘れてたんや」
胡桃が、てへぺろというように舌を出す。
「ちょっとどうするのよ!」
「面倒やから、凌駕でいいんやない?」
「え!俺?」
「あーあ、もう飽きちゃった。あたしも凌駕でいいわ」
「私も気が失せた」
「何でだよ!何で俺を巻き込むんだよ!」
「他に二年生がいるのか?あとはお前しかいない、凌駕」
呉羽は冷静な顔で言う。
「私もお兄様で賛成ですぅ」
風連も言う。
「私も」
遥も同意。
「えっ!ちょ!!!」
「はい決定!じゃあ今回の会議はこれで終わりや、解散」
胡桃は大声で言った。
「え、ちょ・・・」
「まぁ、私の分まで頑張れ」
呉羽が虚しいことを言って帰っていった。
「まあ、頑張りなさい」
世瑠も一言言うと帰っていった。
「私たちも応援してるよ」
遥と風連もにこにこ可愛い笑みを浮かべて帰っていく。
「残念やったな。まあ私もお前と同じ目にあっている。今からどうだ、カフェでも」
「先輩…。暇なんでお付き合い致します」
俺は苦笑いで言った。
そして帰る。
先輩が言ったのは、まず帰宅してから、着替えて森林公園で待ち合わせして、カフェで過ごすという計画だった。
「はー、疲れた」
「帰ってたの、兄さん」
「あ、慶」
弟の慶だ。
「今から出かけてくる。夜飯は家で食べるから、作っといてくれ」
「わかったよ。でも誰と出かけるの?」
「部活の先輩だよ。お前には関係のない事だ」
俺は白いワイシャツに黒いジーパンというシンプルな服装で向かった。
同じ学園の女と出かけるのはこれが初めてかもしれない。

デートなの?これ!

俺は今森林公園にいた。
そして四ノ宮胡桃を待っていた。
少し緊張気味で。
「あっ!凌駕!早いなぁ」
向こうから胡桃の声が響く。
「遅いっすよ。まぁ俺もさっき来たとこですけど」
「何やそれ。まぁええわ。こっち来て」
胡桃は笑った。
そして、白姫カフェにやってきた。
「ここはオススメなんよ。ここのチョコパフェは最高やで!」
胡桃はメニューを広げながら言った。
「そうなんですか」
「何やその反応。そんな緊張せんでもええよ」
「でも一応礼儀ですし」
「部長命令ってことでええやん!タメ口でいこうや」
「わかり・・・わかった」
俺は気まずそうに答える。
「じゃあ俺、コーヒーとワッフル。胡桃さんはチョコパフェ?」
「うん」
「じゃあお願いします」
店員に頼むと、店員はなかなか良い笑顔で注文を受けてくれた。
まあそれは置いといて、まず胡桃さんの私服だ。
なんというか露出が多い。
目のやりどころに困るくらいだ。
白い清楚なワンピースを引きちぎったかのように胸があいていて、裾も短く、もう見えそうだ。
そして紺色のカーディガン。
普段の胡桃さんのガサツな性格からは想像も出来ない私服だった。
「胡桃さんってそういう感じの服着るんだな」
「あぁ、いつも皆から意外って言われる」
胡桃さんは到着したパフェをほおばった。
俺のコーヒーとワッフルも辿り着く。
「凌駕もワッフルなんてかいらしいもの食べるんやね」
「まぁそうっすね」
俺は少し恥ずかしくなりながら答える。
「で、世瑠とはどうなん?」
「世瑠!?どうって何にも・・・」
「嘘やん!絶対関係あると思ったわ。じゃあ呉羽か!?」
「呉羽とも違うって!」
「え?じゃあ誰と」
「誰とも関係持ってませんて!自慢じゃありませんけどこの16年間彼女経験はゼロです」
俺は言った後少し恥ずかしくなった。
「奇遇やな。私もないんよ」
「え?何で」
「私って、面倒くさがりでガサツなところあるやろ?それのせいやと思うんやけど」
「そうなんだ・・・」
「そんなしんみりされたら、こっちも困ってまうやん!ほら、食べよ」
胡桃はにこにこーっと笑ってチョコパフェを食べ始める。

「はぁ、美味しかったなぁ・・・。いやぁ、おごってもらってわるかったねえ」
胡桃はふざけて言う。
「いえいえ・・・」
胡桃さんがおごれという雰囲気を醸し出していたんじゃないのかよ・・・と俺は思っていた。
「まぁ、今日はありがとさん。また明日会おうや」
胡桃は満面の笑みで答える。
「はい。今日はお誘いどうも」
「いえいえ!じゃあ!今度はおごるわ!」
胡桃は走っていった。
俺も帰る。
腕時計を見ると、時刻は7時だった。

おのれ弟・・・!

「ただいまぁー」
俺は玄関ドアを開けて言う。
「おかえり。デートは楽しんできた?」
「何言ってんだよバーカ」
「兄さんが女の子とカフェなんて珍しいね。赤飯でも炊く?」
「何で知ってんだよ!こええわ!」
俺は本気で驚く。
「目撃者から話を聞いたんだよ。俺のクラスメイト」
「遥か?」
「そうだよ。そういえば遥と部活一緒だったね」
「ああ」
「遥は俺のクラスでもモテモテなんだ。口説かれないように気を付けなよ」
「何でだよ」
「ただでさえ女の子の経験が無いんだから少し優しくされたらコロッといっちゃいそうでね」
「…お前、馬鹿にしてるだろ」
「まあまあ、そんな怒らないでよ」
「はぁ、お前は本当に憎たらしい奴だな、弟よ」
「弟に向かってひどいな」
「お前の方が酷いだろ。さっさと飯出せ」
「はいはい」
弟と毎度毎度の会話を終え、椅子に座る。
「今日はオムライス。兄さんもカフェ行ってきてあんまお腹すいてないんじゃない?」
「まぁな」
「だから、今日はオムライスだけ」
「気が利く弟だな」
「そりゃどうも」
慶はにんまり笑うと椅子に座った。

「ごちそうさま」
「今日は兄さんが皿洗ってよ」
「わかってるよ」
「じゃあ俺は勉強してきますよ」
慶は鞄を持って二階に上がっていった。
「はぁ、面倒くせえ」
俺は仕方なく皿洗いをする。
その時、俺の携帯のメール着信音が聞こえた。
ちなみに着信音はアニメ声優のキャラソンだ。
「何だ・・・?」
俺は受信ボックスを確認する。
「世瑠から・・・?」
俺は目を疑い、メールの内容を見る。
「凌駕へ
 元気?
 遥から聞いたけど今日胡桃とカフェ言ったらしいわね(╬゚◥益◤゚) 
 まぁ関係ないけど。(^ω^)
 そういえばさ、明日暇?( ゚,_ゝ゚)
 明日私の家に来ない?
 もうすぐでテスト期間だしさ。
 2分以内に返信しなかったら明日アンタの鼻の穴に太い鉛筆ぶっ刺すわよ( ̄ー ̄)」

とんでもないメールだ。
とりあえず早く返信する。あいつは嘘をつかないからな。
「別に暇だが急にどうした(゚Д゚≡゚Д゚)?」
俺は急いで返した。
あいつからの返信も1分たたないうちに返って来た。

「うっさい(゚Д゚)<死ね
 とりあえず来なさい」

「わーったよε=(・д・`*)ハァ…」

というメールが終わったあと、俺は皿洗いの続きを行う。

またメール着信音がなる。

「命令
 明日帰った後私の家に来なさい。
 来なかったら死刑。
 2分以内に返信しなかったら死刑」

という恐ろしいメールが呉羽から来た。

「おい、待てよ!
 先客がいるんだが」

「はぁ?
 もしかして世瑠だな?」

「まぁ…な」

「あいつのを断って私の家に来なさい」

「おい、待てって!
 あのな、それは無理なことだ。
 丸く収めるには二人で俺の家にくるっていうのはどうだ」

「はぁ?何であいつとテスト勉強なんてしなきゃならない」

「明日俺の家に来い」

最後のメールを二人に一斉送信したあと、面倒なことになったなと思う。

相性悪すぎだろ!

そして学校。
俺は今部室にいた。
部室の中ではオトゲーをしている風蓮、お茶を入れている遥、大音量でRPGゲームで戦っている世瑠、呉羽、胡桃がいた。
俺はPSPでエロゲーをしていた。
このオタク的風景に遥が苦笑いする。
「あのぉ、そろそろこの部活の内容を決めたらどうなの?」
遥は椅子に座りながら言う。
「あぁー!ちょっと待ちなさい!今話しかけないで!」
世瑠が必死になっていう。
「おいおい、話聞いたれよ」
俺はエロゲーのストーリー攻略をしている途中だ。
ちなみにキャラは金髪でロリでドジっ子で巨乳のキャラである。
「凌駕さんもだよ!この部活、ただ遊んでるだけじゃない!」
「そうだよな、だってよ呉羽」
「うるさい!凌駕黙れ!」
どうやら山場だそうだ。
「おいおい、部長まで何ゲームしてんだよ」
「うるさい!あぁ!負けた!!!」
「ひゃっふぅ!あたしの勝ち!」
世瑠が叫ぶ。
「うるさいうるさい黙れカス!もう一度だ!リプレイだ!」
呉羽は大声で言う。
「おいおい、そこで区切りついたんだからここでやめとけよ」
「うるさい!私が勝つまで終わらせん!」
「おい、呉羽」
「とりあえず会議してからにしましょーよ」
風連はオトゲーのキャラの一人を攻略したあと言った。
「そうだ。風連の言うとおりだ」
「承知した。だが会議が終わったらもう一度だぞ、カス!」
「何!?カスってあたしの事?ありえないわ!!」
「うるさい黙れ、カス、糞!」
「もう!!なんなのよ!」
「まず落ち着け。早く座れ」
そして部員は全員席に着く。
そのあと部長の胡桃と、副部長の俺が立つ。
「じゃあ進行は私、メモは凌駕」
俺は返事をする。
エロゲーはセーブして後回しにする。
「この平和部の活動はまだ決まってへん。何か意見あるか?」
胡桃が愛らしい関西弁で言う。
「平和に過ごしてればいいんじゃない」
世瑠は面倒くさそうに答える。
「運動をしたり、勉強したりなどと普通の事をやればいい」
呉羽は真顔で言う。
「そうや。それでいいわ。月曜運動、火曜勉強、水曜新聞作るんはどうや?」
「新聞ですかぁ。いいですけど新聞部がいますしぃ」
風連は眼鏡を押し上げて小さい口で言う。
「そうだな。まぁいいではないか。新聞部がやらないことをやればいい」
「まあそれも正論だが」
俺も参加する。
「よし決定。水曜新聞制作。木曜悩み相談はどうや?」
「悩み相談…。何か良さそう」
遥は期待の笑みを浮かべる。
「じゃあ金曜。自由!」
「面倒だしそれでいいんじゃない?」
世瑠はもう投げ出している。
「じゃあそれで決定やな。他意見あるか」
「はいない!!各自自由行動!」
「おい待てよ!そんな事言ったって具体的に何するか決めてないだろ!」
「まぁな。じゃあ明日は水曜。新聞作りの具体的会議を行う!」
「じゃあ記事を考えればいいのよね」
世瑠は早く切り上げたくて顔がしかめっ面になっている。
「とりあえず、学園の中を巡回してなんか事件みつけてこようや」
「面倒くさいな。半分はそれにしてもう半分はゲームとかアニメとかの特集にしたらどうだ」
呉羽が思いついたように言う。
「それいいじゃない!呉羽にしてはいい意見ね!」
「貴様に褒められても嬉しくない」
急に真顔になった呉羽が厳しく言う。
「それより、まず学園コーナーの取材につく人を決めようや」
胡桃は発言する。
「私、それにする。アニメとかゲームとかよくわかんないし」
遥はそれに立候補する。
「私も学園コーナーにしよ」
胡桃も言う。
「あと一人くらいかな」
遥は言う。
「じゃあ私行きますよぅ」
風連が大きな胸を揺らして答える。
「じゃあ決まりやな。私、遥、風蓮は学園コーナーチーム。凌駕、世瑠、呉羽がアニメゲーム特集やな」
「ええ」
「何で貴様と一緒のチームにならんといかんのだ」
「それはこっちのセリフよ」
「はぁ…5」
面倒な事になりそうだ。

「ねえ凌駕、あんたアニメ雑誌買ってる?」
世瑠が聞く。
「まぁ、な」
「じゃああんたの家に言って明日作る新聞の話題決めしましょ!」
「ああ、いいが」
俺はいい案だなと思い、答える。
「じゃあ今日帰ったらすぐ凌駕の家に行く」
呉羽も答える。
あ、やばい。こいつら二人で俺の家に来たらやばいぞ。
仕方ない。俺が言った事だ。
俺は仕方なく了承した。
「とりあえず帰宅する。すぐ行くから待っていろ」
呉羽は一人でさっさと帰っていってしまった。
「はぁ。あいつは素直じゃないな」
「どこ見てんのよ。変態?」
世瑠が横から入ってくる。
俺は自然に呉羽の太ももをガン見していたらしい。
気づいてなかった。
「早く帰るわよ」
世瑠は俺の手を引っ張って言う。
「お、おい待てよ!」
俺は急いで態勢を立て直し、歩き出す。

帰り道。
「ねえねえ、あんたって脚フェチ?」
「は!?何言ってんだお前!」
「何よ、声でかいわよ。てゆうかあんたって変態よね」
「何だよ急に!」
「だっていつも風連の胸見てるし、呉羽の脚見てるし、胡桃の肩見てるし、遥のスカート見てるしあたしの胸も見てるでしょ」
「お前!」
「何焦ってんのよ。私は正論を言っただけよ」
「風連が巨乳な事は認めてあげるわ。けどあたしは巨乳じゃないじゃない」
「いや、ミディアムもいいものだ…あっ!!!」
しまった!言ってしまった!
「はっ!最低ね」
世瑠は俺を嘲笑うように言った。
「ち、違う!」
「あっそ」
世瑠はまた足取りを早くして帰っていった。
俺はしばらく心臓の鼓動がうるさかった。

とりあえず落ち着k((←殴☆

「来たぞ」
一番最初に来たのは呉羽だった。
服装はニットにショートパンツ、黒いヒールだ。
俺のどストライクの服装だ。
「早かったな。入れ」
俺は案内すると俺の部屋に入れた。
とりあえず、エロいものはしまっておいたので安心している。
「じゃあ世瑠が来るまで待つか」
「はぁ、あいつめ遅くないか」
「呉羽が早かっただけだぜ」
「そうか?」
呉羽は不満げに言うと俺の部屋中を見渡して言う。
「なぁ、凌駕」
「…」
「りょ、凌駕!どこを見ている!」
気がつくと俺は呉羽の胸をガン見していた。
「すまん!無意識で・・・」
俺は慌てて赤面した。
「貴様、今度ハレンチな事をしたら殺すぞ!」
呉羽は、顔を真っ赤にして怒鳴った。
ピンポーン。
「はぁい」
弟が素早く応対に向かう。
俺と呉羽は急いで玄関に向かった。
「いらっしゃい。今から兄を呼んで…」
「俺はここにいるぜ。入っていいぞ」
俺は言うと、世瑠を部屋に入れた。
「もう、ママがどこに行くのって何回も聞いてくるから時間がかかっちゃったわよ」
世瑠はピンクのレースのミニワンピースにリボンのニーハイを履いていた。
「そうか。まぁ少し遅れただけだし気にすることはないぜ」
「あっそう」
世瑠は生意気そうに答える。
「とりあえず本題に入ろう」
俺は話を持ちかける。
そして前から準備していたアニメ雑誌を広げた。
全部合わせて100冊以上は保管している。
そして違う木箱にはアニメ雑誌の付録が詰め込まれている。
「凄いな。これほどの物をとっておいてあるのか」
呉羽はパラパラとページをめくりながら感心したように言う。
「まあな。俺のオタ友の物もあるしな」
「へえ。あんたみたいな引きニートオタクに友達なんかいるの?」
「なんだよそのニックネーム。まあ同類の友達だからな」
「類は友を呼ぶという事か」
「まぁな」
雑談をしたあと、やっと本来の仕事に気がつき話し始める。
「はぁ、何か雑談してたらやる気が失せたわ」
世瑠はカーペットに寝転がる。
「おいおい、まだ何にも進んでねえぞ」
「そうだけどさぁ、もう飽きたわ」
「自分勝手にも程があるな。仕方ないこんなお荷物置いておいて私たちだけでやるか」
「そ、そうだな」
俺は戸惑いながらもオッケーを出す。
そしてアニメ雑誌やゲームを実際にプレイしながら、新聞用紙に書き込んでいく。
「このようにゲームをプレイするのは何だか違う視点から見れて楽しいな」
呉羽はRPGゲームをしながら言う。
「そうだな。世瑠もやればいいのにな」
「あたしやるわ!」
「駄目だ。先程やらないと言ったばかりではないか。自分の意志は強く持たねばな」
呉羽は性格の悪そうな顔でにんまりする。
「何よ呉羽。あんた何か企んでるでしょ」
「ふん、貴様に何を教えることがあろうか。貴様はそこで寝ていればいいのだ」
「何よ!呉羽、あんたホントに性格悪いわね!」
「何だ、貴様に言われたくないな」
呉羽と世瑠がぴりぴりとした雰囲気を見せる。
「だから嫌だったんだ。お前等、一旦落ち着け」
「うるさいわよ!あんたには関係ないでしょ!」
「人の喧嘩に首を突っ込むなんて無粋だぞ、凌駕」
そしてまたぴりぴりとした雰囲気。
俺は耐えられなくなり、一旦部屋を出る。
あいつらが喧嘩したら誰も止める事が出来ない。
俺はため息をついた。
まあ、新聞は完成していたので後は好きにしてくれという状態だった。
ドア越しに言い争う声がはみ出て聞こえる。
やれやれと思いながら、早く帰ってくれと願っていた。

ツンデレに惑わされてはならない!

とりあえずあの二人は帰ったのでリラックスして風呂に入った。

翌朝。
「おはよう。兄さん」
「おはよう」
俺は眠そうに答える。
「朝飯作っといたから適当に食べて。皿洗い宜しく」
「おい、もう行くのか?」
「ああ、うん。待ち合わせしてるんでね」
「誰と?」
「兄さんには関係ないでしょ。じゃあ」
慶はそそくさと出て行った。
「何だアイツ。怪しいな」
俺は考えながら飯を食べる。
食べ終えると、歯磨きをして身支度をしてから家を出た。

「おはよう」
「おはよ」
俺のクラスメイトのオタ友、工藤司が言う。
「司、お前のアニメ雑誌が役にたったぜ」
俺は笑いながら言う。
「え?何で」
「部活でな。まあこれ以上は秘密だが」
「ふうん。部活であんな雑誌が役にたつなんて信じられないけどね」
司は苦笑いすると、前を向いた。
俺は急いで準備を整える。
「廉斗先輩♡好きですぅ!!」
見ると廊下でここの教室を見つめる女子等がいた。
その女子共が愛の眼差しで見つめるのは俺のクラスで大人気の高見廉斗。
金髪で目は鋭く、鼻はすっとしている。
何ともシャープでクールなルックス。
性格はまぁいわゆるツンデレだな。しかもドS。
そして運動神経は抜群にいいものの、頭は抜けている。
これが萌えポイントだろうか。
「廉斗先輩!こっち向いて!!!」
「廉斗、呼んでるぜ」
周りにいた男子が廉斗をからかうように言う。
「はぁ、面倒くせえな。ああいうのはやめてほしい」
廉斗は嘲笑った。
「廉斗先輩!やあ!こっち見た!!」
「何だよ、俺はここを通りたいだけなんだが。どいてくれ」
廉斗が近くに来ると女子共は激しく叫んだ。
「相も変わらず人気だね」
「あのツンデレにオトされる奴なんて馬鹿な女子しかいない」
俺は呟く。
し、嫉妬なんかしてないんだからね!←ツンデレ。
え?お前のツンデレはキモいだと!?
…あ、ごめん。キコエナカッタ。

廃部決定だと!?

「ちーっす」
「凌駕!!」
「んだよ」
「この部活が廃部決定になったの!!」
世瑠は慌てて言う。
「何だと!?」
俺は驚く。
まあ、イマイチ部活内容がわからない部活消すのは妥当と考えていいだろう。
だが、納得出来なかった。
前から先生に睨まれているのは薄々気付いていたが、いきなり・・・。
「ちょっと凌駕!何か言いなさいよ!」
俺はぼうっとしていて、世瑠に気づかなかった。
「どうするのよ!」
「うるさい貴様!どうあがいたって結果は一緒だ…」
「何よ呉羽!あんたは嫌じゃないの!?」
「…仕方なかろう」
「あんた、そんな思いでこの部活を?この部活が廃部になったらあんたはどの部活に入るのよ!」
「落ち着くんや、世瑠」
胡桃が話に入ってくる。
「何よ胡桃まで!」
「私も嫌ですけど仕方がないのですよぅ」
「私だって嫌だよ…。私もここが大好きだから…」
風蓮と遥も入ってくる。
「遥…」
胡桃は目がうるうるしている。
「嫌だよ…」
遥は泣いてしまう。
そして胡桃はなだめるように遥の頭を撫でる。
「開けるぞ」
生活指導の先生がやってくる。
「全員揃ったからもう一度言う。この部活は廃部だ」
先生はきりっとした顔で言う。
「何とかならないんですか!?」
胡桃は言う。
「もう話し合った結果だ。今から別の部活に入部してもらうからな」
「酷いです…。私達はその話し合いに参加できなかったのですかぁ!」
風連は珍しく怒った様子で言う。
「ともかくこれは決定したことだからな。早く入部先を決めろ。」
「最低、最低よ…!あんたなんか出て行きなさい!」
世瑠は顔を真っ赤にして言う。
「おい、三千院。そのような言葉遣いが許されると思ってるのか!?」
「うるさい。黙れ貴様。貴様みたいな外道に私達の居場所を奪わせない」
「おい…、お前等!」
世瑠と呉羽は必死に抗議した。
それに向かって他の皆も抗議し始める。
「そうです!私達の部活は終わらせません!」
「そうだよ!せめて私達が納得する理由を話して!」
「せや。今まで何をやろうかとか必死で話しおうてきたんや。そんだけで終わらせへん」
皆が抗議する中俺はそのまま立ちすくんでいた。
「凌駕は何か意見あらへんのか!」
胡桃が俺に向かって怒鳴る。
俺はやっと口を開ける。
「やめてくれ!もう決まったことだろ・・・。俺等の部活は…廃部だろ」
「!!」
皆は驚く。
ただ一人、満足げに笑う奴がいた。
「そうだな。それは素晴らしい意見だな。凌駕」
生活指導の先生だ。
「黙れ。だがな、条件がある」
「ん?何だ」
すっかり機嫌を良くした先生が尋ねる。

「それは・・・」

条件だ・・・

「このメンバーそのままで新しい部活をつくらせろ」

周りはしんとした。
そして先生は口を開く。
「新しい部活・・・。この部活を廃部する代わりに新しい部活をつくらせろと」
「ああ」
俺と先生が話す中、他のメンバーは俺に視線を送っていた。
「なんという部活だ」
「平凡部だ!」
俺は力強く言った。
「平凡部!?」
他の皆、教師も合わせて驚いた。
「平和部から平凡部!?」
先生は聞き返す。
「ああ、そうだ。これで文句無いだろ」
「そんな馬鹿な屁理屈・・・」
「これで文句ないわよね。平和部は廃部だもの」
「貴様のやりたいことは済ませたはずだ」
「そうですよぅ、先生」
「これ以上やりたい放題は駄目だから」
「そういうことや」
他のメンバーも対抗してくれた。
俺はにやりと笑い、最後にかませるように言う。
「という事でこれが結果だ。さっさと出て行くんだな」
「くそっ・・・」
先生は悔しそうな顔をして出て行った。
皆は安堵したようにふっと笑う。
「凌駕、ナイスね」
「ああ、貴様は正しいことを言ったな」
世瑠と呉羽は爽やかな笑みを返してくれた。
「まぁ、当然だな」
俺は笑った。
そして他のメンバーもうふふと笑った。
「と、ここで平和部から平凡部に変わった記念で新しい案を提案します」
俺は無駄にイケメンボイスにして言った。
「何だ?」
呉羽は俺のボケもスルーして聞き返す。
「旅行だ。メンバー総勢で記念旅行。」
俺は普通の声に戻して戻して言った。
「記念旅行!?」
皆は期待に満ちた顔で聞き返す。

「題して…平凡旅行!!」

平凡旅行だ((ドヤァ!!

「平凡旅行だと!?」
「記念旅行とは良いアイデアだけど、そのネーミング…」
世瑠はどこか残念げに言う。
「何だよ!文句あっかよ!文句ある奴、自分で考えろ!」
俺は自信満々に言ったネーミングを馬鹿にされて少し恥ずかしくなりながら言う。
「もういいわよ。別に文句あるなんて言ってないし」
世瑠は素早く答える。
「私もです。ネーミングは微妙ですが、先程のお兄様の活躍に免じて許します」
「私も。以下同文」
「せやな。それで決定や。平凡旅行」
胡桃は笑って言った。
「はぁ。何だよその微妙感」
俺はがっかりして言う。
「まあまあ。誰も最高に悪いなんて言ってないじゃん!」
遥は俺を慰めに掛かる。
「そんないじいじしてないで速く予定決めましょうよ」
「そうだ。速く座れ」
世瑠と呉羽は真顔で言う。
「おう…」
渋々座ると、胡桃が進行を始める。
今回の会議だけは皆積極的に意見を発言し、真面目に集中して取り組むことができていた。
副部長として俺は、皆の意見をボードに書いていた。
そして数時間後。
「やっと決まったわね。じゃあ発表して」
世瑠は汗を拭って言う。
必死に意見したので、汗をかいたのだ。
「よし。発表は凌駕に任せる」
胡桃は俺の方を見ると、ウインクした。
「よし。説明するか」
俺は説明を始める。
まず日にちは七月の夏休みの日。
午前8時に、カフェに集合する。
一泊二日なので持ち物は、各自で用意。
一日目は、遊園地、海。
二日目は、観光スポット巡りなど。
そして帰宅時刻は適当に。

「終わったぞ」
「よし決まりね!速く明後日にならないかしら♪」
世瑠は乗り気だった。
「うるさい貴様。馬鹿らしい」
口ではこう言っているものの、とても嬉しそうな顔をしている呉羽。
他の皆も待ち遠しいように笑った。

帰宅中。
「凌駕!」
「呉羽、どうした?」
「今日は大活躍だったな。明後日、楽しみにしている」
恥ずかしそうに言う呉羽。
「そうだな。とうとう明日から夏休みか。夏休み後は平凡部活動開始だな」
「ああ」
呉羽は空を見上げてふっと笑った。
「ちょっと待ちなさいよ、呉羽!凌駕!」
「クソッ、また邪魔者が」
「何よそれ!呉羽に言われたくないわよ!」
「何だと!?貴様!生意気な!」
「うるさいわよ!あんたが悪いんでしょ!」
「はぁ…」
俺はため息をつくと、隣で喧嘩する二人を放っておいて歩いた。

二日後。
とうとうこの日がやってきたのだ。

「じゃあ行ってくる」
「え?兄さん、こんな速くからどこ行くんだよ」
「いいだろ、別に。あ、あと今日は帰ってこない」
「え!何で?」
「お前も先日俺が聞いたとき言わなかったくせに何だ」
「まだあの時の事根に持ってたの?」
「うるせえ」
「あの時は時間がなかったからだよ」
「とにかく俺は行くからな。詳しいことは電話で話してやる」
俺は家を出た。
そしてカフェに来た。
着くと、俺以外のメンバーは全員いた。
「すまん。遅れたか?」
「貴様、三分遅れている!どういうつもりだ!」
「三分だけならいいだろ」
「駄目だ。さっさと行くぞ」
そして六人で電車に乗って出発した。
「私、海に行くの初めてなんですぅ」
純白のキャミワンピースに緋色のパンプスを履いた風連が言う。
「私はこれを合わせると三度行ったことがあるよ」
袖なしの白シャツに清楚な緑色のネクタイを締め、淡い桃色のショートパンツ、緑のレースヒールを履いた遥が言う。
「あたしは海は言ったことがあるけど、遊園地はないわ」
黒のブラトップに、黒いミニスカート、黒ピンヒールと言う露出が多いセクシーな服を着た世瑠が言う。
「私もだ。遊園地は初めてだな」
桃色と朱色の水玉キャミに、白のミニTシャツ、白のロングスカート、桃色のミュールを履いた呉羽は言う。
「私は弟とよく行くな」
橙色の半袖Tシャツに、デニムのサロペット、橙色のシューズを履いた胡桃が言う。
「俺も弟と行ったことがあるが久しぶりだな」
適当に選んだ服を着た俺は言った。
「弟ってそういえば凌駕の弟は、慶だったね」
遥が気づいたように言う。
「ああ。あ、そういえば慶に電話しなくちゃならなかったんだ」
俺は思い出すと、電話をかけた。
「もしもし」
「ああ、兄さん」
「今、電車に乗ってる」
「ふうん。で、どこに行くの?」
「まぁ、それはいいだろ」
「じゃあ誰といるの?」
「えっと部員達とだ」
「私もいるよ」
遥がいきなり携帯を取って言う。
「遥?」
「うん。私も部員だからね!」
「そうだったね。他の人で誰がいるの?風蓮ちゃんがいるのは知ってるけど」
「じゃあ他の皆に変わるね。まず三千院世瑠先輩から」
「もしもし?凌駕のイケメン弟君?」
「何ですかその名前は」
「ふふふ。慶君だっけ?話せて光栄だわ」
「ありがとう。世瑠先輩」
「じゃあ呉羽に変わるわね」
「はい」
「私だ。」
「呉羽さん?噂は聞いてますよ」
「噂?」
「とても容姿が良くてクールなお方だと」
「な、何の噂だ!」
「クラスメイトが言っていたんです。お会いする日が楽しみです」
「ば、馬鹿げた事を言うな!四ノ宮先輩に変わる!」
「ははは。私は四ノ宮胡桃や。呉羽はあんまからかわんほうがええで。面白いけど」
「何を!」
「そうですか。胡桃さんはとてもフレンドリーな方なのですね」
「まあな」
「こんなに素敵な方たちと一緒の部活で兄は幸せ者です。これからも兄の事を宜しくお願いします」
「はいよ」
「かわれ!」
「ああ、兄さん。やっぱり兄さんの部活って男がいないんだね」
「お前には関係ないだろうが。」
「はいはい。じゃあごゆっくり」
プチ。
電話が切れた。
「はあ、何で急にかわったりしたんだ」
「面白そうだったからだよ。ごめんね」
遥は笑って言った。
「私も話したかったのですよぅ」
風連が残念そうに言う。
「あ、ごめん風蓮。風連は慶が知ってるからいいかなと思っちゃって」
「そんなに気負わなくてもいいですよ。終わっちゃった事ですしぃ」
「そう、ごめんね」
「まだまだつかないし、あたし寝るわ。着いたら教えて」
世瑠は言うと、一瞬にして寝た。
「私は読書をする。着いたら教えてくれ」
呉羽はさっそうと本を取り出した。
「私達はRPGゲームを通信しますのでぇ」
風連と遥はにこにこと言った。
「私はやることがないな。寝るか」
胡桃も一瞬にして寝てしまう。
「お、おい!ったく、俺が教えねえといけねえのか」
俺はため息をつくと、考え事をしながら、着くまで過ごした。

着いたぜ!

やっと旅行先に着いた。
俺は皆を急いで起こし、電車からおりた。
行きついた場所はまず遊園地。
全国でも有名な遊園地で、敷地が日本一というくらいだ。
「やっと着いたわね」
「あぁ。時間かかったな」
「当たり前だろう。海まで来たのだから」
呉羽が海を見つめながら言う。
「そうだな」
適当に相槌を打ち、遊園地の敷地内に入る。
「まず何乗る?」
「私、メリーゴーランド乗りたいんですぅ」
「じゃあ最初はメリーゴーランドにするか」
皆が納得すると、メリーゴーランドの乗り物に乗る。
「あ、言っとくが俺はパスだ。メリーゴーランドに乗ると吐くからな」
「ふぅん、メリーゴーランドも乗れないのかしら。だっさぁい」
「う、うっせぇほっとけ!ここにいるからさっさと乗ってこい!」
俺は馬鹿にされたことに少しムカつきながらもメリーゴーランドに乗るよう促した。
俺はカバンからデジタルカメラを取り出し、メリーゴーランドに乗っている女子組を撮る。
…なかなか良い顔をしているじゃないか。っと失礼。
そして俺はメリーゴーランドを乗り終えてくたくたになっている女子組に水を恵み、次の乗り物に移動した。
そして。
夜まで乗り物に乗り続けて、体力が限界に達したところで、ホテルに移動した。
「ここか…」
呉羽は、ホテルを見上げて、その豪華さに驚いた。
ホテル代、遊園地の入場料、全てのお金は、旧平和部の有り余った予算で間に合わせている。
「ところで、部屋割りはどうする」

海が見えるホテルでドキドキお泊り?(なわけないだろうがァァッ!!)

俺の一言で、周りは凍りついた。
「っと、私は異性の男と同じ部屋はご免こうむるぞ」
呉羽はジェットコースターの恐怖で青く染まった顔を向けて言った。
「あ、あたしもよっ!何で凌駕なんかと一緒に…」
「私はそんなに意識しなければ何でもええけどな」
「私はお兄様と一緒の部屋なんて申し訳なさ過ぎて…」
「私はどっちでもいいよ」
あと四人も答える。
当の俺は。
「俺は誰でも良いぞ。どんなにあがいたって部屋は二つしか予約してないんだ。三人ずつにするぞ」
「それはわかってんのや。じゃあくじにするか」
来た、くじ。
四ノ宮先輩はいつもくじで決めたがる。
「今回は何にも書いてないってことはないだろうな」
「そう私をなめるな。今回はきちんと書いてあるわ。赤色は部屋1、青色は部屋2だ」
言い終えると、四ノ宮先輩は満足げにくじを引かせた。
「じゃあ赤色引いた奴手ぇあげぇ」
「はい」「はい」「あたしも」
ちなみに俺は赤色だった。
そしてあたりを見回すと、世瑠と呉羽が手を挙げていた。
…グァアアアアア!!!!!
「な、何であたしが!」
「私だって!」
「俺だって!」
「まぁ、文句は言ったらあかんで。じゃあ各チーム部屋移動せぇ」
四ノ宮先輩は顔を下に向けて言った。
俺は特に気にするわけでもなく、三人で部屋に向かった。

「っ、ベッド近くない?おかしいわよ!」
世瑠が大声で言い、指差した方を見ると、ベッドは仲良く三つ並んでいた。
「くそ…。仕方あるまい。私は右に寝させてもらう。世瑠、貴様とは隣に寝たくないからな」
「な、何よっ!あたしだって嫌よ!じゃああたしは左のベッドに寝るわ!」
「お、おい待てよ!そしたら俺は真ん中に…」
「じゃああたし風呂入ってくるわ」
世瑠と呉羽はすぐに入浴場に向かってしまった。
俺はそのまま一人で立ち尽くした。
そして、俺も風呂場へ向かった。

「こ、混浴っ?」
俺は風呂場の前に立ち尽くしていた。
目を擦ってもう一度見てみても、混浴風呂と書いてある。
いや、でも世瑠と呉羽は一時間程前に入ったはずだもんな。
今は入ってないはずだ。
よし、行こう。
俺はそう信じて風呂場に入った。

混浴風呂ってちょっとエッチなラブコメですかオイ!

そして俺は風呂場に入った。
すると。
前には桃色の肌をした女子組の姿が。
俺は逃げようとしたが、今逃げたらあからさまに邪な思いがあったように見えるため、何気なく声をかける。
「よ、よう!諸君達!」
「きゃぁぁああ!なな、何でお兄様入ってくるですかぁ!!」
風連は顔を真っ赤にして言った。
俺も顔を赤らめて言う。
「だって知らなかったんだぜ?まぁいいじゃないかよ」
俺はあくまでも冷静を装って言った。
「貴様っ!邪な目でこちらを見るな!今すぐ出ていけ!」
「そ、そうよっ!馬鹿変態キモい死ね!」
「まさか、先輩がそんな事するとは思ってなかったよ」
「ははは!まあええやないか!ほら、凌駕!入りいや」

本気で怒る、世瑠と呉羽に、引いたように顔を顰める、遥に、歓迎するように笑う、胡桃。
そんな女子達を見て一言。
…失敗した。

やべえ、遥ちゃんとか絶対好感度落ちてるよ!
世瑠と呉羽だって本気でキレてる。胡桃先輩は別だけど。
「すまん。ほんの出来心だったんだ…。ええと、じゃあ俺は露天風呂に入ってくるから!」
俺はとにかく速く去ろうと走って露天風呂に移動する。
「あ、あたし帰るッ!」
「私もだっ!あいつと同じ空間で風呂に入っていると思うと気持ち悪い」
世瑠と呉羽は退散していく。
風蓮と遥もすぐさま退散。
「…っと、じゃあ私も行こうかな。…一人でおるのは寂しいしな」
「…」
胡桃先輩はすぐさま去ってしまう。
俺は一人、空しい気持ちで一人風呂に入っていた。

今日は、まあまあ楽しかったな。
明日は観光スポット参りか。
楽しみだが、ハプニングが起こらないと良いが。

そう思いながら俺はゆっくりと風呂に浸かる。
そして寝床に向かう。

男女合同部屋っておかしいでしょー!

「はぁ…」
俺はまだ避けられたダメージを残しながら部屋に戻る。
その時俺はもう死亡フラグをたてていたのだ。
がちゃっ。
俺はドアを開ける。
「ひっっっ!!!」
「うぁぁ!!!」
目を開けると、すぐ前に世瑠と呉羽が着替えている姿が見えた。
二人は寝間着に着換える途中で、髪を結い、シャツのボタンをとめている最中だった。
世瑠は胸が少し見えていて、呉羽はパンツが見えている。

…まずい。

「出ていけ!!!!!」
「バカバカ死ねケダモノ!!!」
二人はそこらへんにあった枕を投げ捨て叫ぶ。
俺は急いで退散する。
不覚にも顔が赤くなって、心臓が高鳴っている。
何とか静めようと落ち着いていると、胡桃先輩が寝間着の気ぐるみを着てこちらに来ていた。
「どうした?凌駕」
「あ、胡桃先輩…。別に何でもないっすよ、男女合同部屋の醍醐味に遭遇しただけです」
「ということは今、世瑠と呉羽は着替え中やな。まあ頑張れ」
胡桃先輩はそういうとまた歩いて行った。
それにしても、凄い寝間着だなぁ。リラ〇クマの気ぐるみとは。
暑くないのか。
「あ!お兄様!ここで何してるですかぁ!」
「あ、凌駕先輩…」
後輩二人と遭遇して、また会話をする。
そして、そろそろ良いと思ってドアを開けて入った。
すると、二人はもうベッドに寝て眠りについているところだった。
「寝たか…」
俺は寝ようかと思ってすぐベッドに入る。
良かった、別に大きな騒ぎにはなっていないようだ。
よし、寝よう。

パ、パ、パラダイス☆ 最終章

翌日。
朝になると、俺はいち早く目ざめた。
というか、寝てない。
ほぼ、ドキドキして眠れないなんて俺…なんて純粋!

…まあ…ってうぉい!!!
あ、ごめんなさい。
なぜ騒いだのかと言うと、ベッドで寝ていた二人が顔を近づけて、服をはだけて寝ているのだ。
お、おい…!レズだと!?
「ん…ぁ、りょうがぁ」
「りょ、うが…」
二人は俺の名前を呼ぶ。
俺はほほえましくなって、二人に布団をかけてあげ上にあがった服を戻してあげようとした瞬間。
二人が起きやがった。
「な、何をしているハレンチな!!その手で触るな!」
「ば、馬鹿凌駕!あんた、あたし達の体触るなんてどんな度胸してんのよ!!?」
二人とも、顔を真っ赤にして抵抗し、後ろに下がった。
「お、おい!誤解だ誤解!」
「「うーるーさーーーーーい!!!!」」
二人とも、物凄いスピードで俺にとび蹴りをしてきた。
そこから俺は意識が無かった。


そして朝飯。
ご飯を食べた後、観光スポットに行くことにした。
観光スポットは、猶予ある神社と、お土産屋に行くことにした。

「ここが、坂上神社か…。猶予ある神社だな…」
「う、うん…。でも不気味よね…」
「何がだ」
「いや、何でもないわ。さ、行きましょ」
「ふん、何でもないなら言うな」
二人は相変わらずの雰囲気で神社に入り、参拝する。
俺は特に神社巡りなどの趣味は無いので燃えたぎることは無かったがそれなりに楽しめた。
お土産屋も、平凡部顧問になった桜田先生の分も買い帰ることにした。
「もう二日終わりかぁ。速かったね」
遥が少し残念そうに呟く。
「でも凄い楽しかったですぅ!また行きましょうね!」
「そうやな。今回は新平凡部の誕生を祝い、絆を深めることが出来たと思う」
「ええ。とても楽しかったわ」
「…そうだな」
俺は呟き、にこりと笑った。

「でも夏休みはこれで終わりじゃない!まだまだある!これからもっと楽しい事をするぞ!」
「よぅし!明日はプールに行きましょ!あたしの自宅の高級プールを貸してあげるわ!」
「じゃあ明日も、明後日も遊んで平凡部の絆を深め合おうや!」
「うん!明日も楽しみ!」
「じゃあ明日も会いましょう!この平凡部のメンバーで、です!」

「おう!俺達の冒険はまだまだ始まったばかりだぜ!」

平凡部のメンバー、六人全員仲好く声を掛け合った。
相変わらず、世瑠と呉羽の仲が悪いのは変わらないけど、でも根は信頼し合ってる良いライバル。
六人は相変わらずのハイテンションで平凡旅行を終える。

でもまだ平凡部の活動はこれから。
俺達の冒険はまだ始まったばかりなのだ。

END

青い春の思い出。

拝見していただき有難うございます!
今回はですね、いつも悪魔とかシリアス系のものを創っているので、いつもとは違うものを書きたいと思って投稿したのがこれです\(^o^)/
私もまだ未熟ですので、支離滅裂していたり、文法がおかしいところもありますが、見逃していただきたい…。
久しぶりの投稿で、何かいろいろ戸惑い事があり、不自由でした…。

最後の終わり方は、戸惑いもなく「俺達の冒険はまだまだこれからだ!」なんてことを書いて終わりにしました。
まだ未熟ですが、これからも作品ともども十五夜兎を宜しくお願いします。

青い春の思い出。

俺は桜川凌駕。 少し隠れオタクで、学園ではそんな事隠して平和に平凡に暮らしていたのに。 二年になってから新しい部活に入ったら、俺がハーレムされることに! 俺の生活がハーレムライフに! 毎日虹色だぜ! と思ったら・・・? 恋愛ラブコメディ! ちょっとやばいことも起きるぞ!

  • 小説
  • 短編
  • 青春
  • 恋愛
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-01-26

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted
  1. 部員がやばかった件
  2. デートなの?これ!
  3. おのれ弟・・・!
  4. 相性悪すぎだろ!
  5. とりあえず落ち着k((←殴☆
  6. ツンデレに惑わされてはならない!
  7. 廃部決定だと!?
  8. 条件だ・・・
  9. 平凡旅行だ((ドヤァ!!
  10. 着いたぜ!
  11. 海が見えるホテルでドキドキお泊り?(なわけないだろうがァァッ!!)
  12. 混浴風呂ってちょっとエッチなラブコメですかオイ!
  13. 男女合同部屋っておかしいでしょー!
  14. パ、パ、パラダイス☆ 最終章