『少年たちのソクラテス。』

天高い飴色(あめいろ)のあたたかさ。
どうしていつも人の寂寥を(なぐさ)めてくれるのだろう。
夕闇。真夜中。薄青(うすあお)い朝まで。


雪原の(すすき)の伸びる影。
濡れた石に散る薄墨(うすずみ)色の花びらを、躊躇(ためら)いながら踏みしめて。
麦わら疲れた生温(なまぬる)い風のなか。
(だいだい)枯れ落ちる光景を(しず)めるよう思い出す、夕餉(ゆうげ)の匂い。
四季の物語。


太陽が生めよと高らかに歌うなら、月は星々と共にじっとそのまなざしを合わせる。
身体心まだここに在ると憂い寄り添う静けさ。
熱より優しい。



天空にぽつりと僕らの共鳴。
太古の(うろ)の歴史を背負う、ひとびとの詩を、僕らはまだちゃんと知らない。

『少年たちのソクラテス。』

『少年たちのソクラテス。』

世界は広い。 人間をこえてしまう。

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-03-03

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