『少年たちのソクラテス。』
天高い飴色のあたたかさ。
どうしていつも人の寂寥を慰めてくれるのだろう。
夕闇。真夜中。薄青い朝まで。
雪原の芒の伸びる影。
濡れた石に散る薄墨色の花びらを、躊躇いながら踏みしめて。
麦わら疲れた生温い風のなか。
橙枯れ落ちる光景を鎮めるよう思い出す、夕餉の匂い。
四季の物語。
太陽が生めよと高らかに歌うなら、月は星々と共にじっとそのまなざしを合わせる。
身体心まだここに在ると憂い寄り添う静けさ。
熱より優しい。
天空にぽつりと僕らの共鳴。
太古の虚の歴史を背負う、ひとびとの詩を、僕らはまだちゃんと知らない。
『少年たちのソクラテス。』