君と見た空
第六章
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ドアが開いた方を見ると、そこには友達と楽しそうに話す彼の姿があった。
「ちょっと!来たよ!藤崎!!」
「わかってるってば!」
さっきの話題の内容を思い出してしまい、顔が赤くなってないか気になる。
私もいつか「和也」って読んでみたいな…
すると、彼がこちらに近づいてきた。
「あのさ、隣いい?」
硬直してしまって話せない私の代わりに、真由が
「あっ全然いいよ~」
と答えた。
「さんきゅー」
と言って彼が隣のスペースに座った。
そのあとから何人か男子がついてきた。
「なんか話なよ。せっかくの機会なんだから」
真由が耳打ちしてきた。
そんなのわかってるけど何を話したらいいのかわからない。
「藤崎はサッカー部だよね?最近大会とかあった?」
私より先に真由が話しかけた。
「最近はないかな。お前陸部だろ?そっちはないのか?」
「んーとねー…」
真由は話しながら時々こちらを見て、私が会話に入ってくるのを待っている。
私も勇気を出して話そうとしたそのとき、
「林さんっ」
「あっ田中クン…」
クラスの男子に話しかけられた。
「林さんはバド部でしょ?県大とか出てるって聞いたことあるけど結構強いの?」
「えーっと…」
田中クンはおしゃべりで有名。
会話が終わる気配はなさそうだった。
とまどいながら、真由の方を見ると、まだ藤崎くんと話していた。
2人とも楽しそうで、少しだけ私が入っていってはいけないんじゃないかって思ってしまった。
すると、彼と目があった。
彼の目は、こちらの心を見破られるんじゃないか、と思わせるほどきれいに澄んだ黒だった。
キーンコーンカーンコーン
予鈴が鳴ったと同時に私たちは目をそらした。
一体何秒くらい見つめ合ってしまったんだろう。
「はるかっ。教室もどろっ」
「うっうん!」
みんながドアから校舎に戻ろうとしている。
彼の後ろ姿が見えて、目で追っていると、彼がいきなり後ろを振り向いた。
そして私と目があった。
彼は笑顔になってまた前をむいて歩き出した。
今の…わたし…?
嬉しさと同様で頭の中がいっぱいになる。
いくら余計な期待をしないようにしたって、あんなことされちゃ期待しちゃう。
顔を真っ赤にしている私に対して
「どうしたの?」
と真由が言ってきた。
「ううん!何にもないよ!」
「変なの~」
真由が不思議そうに私のことを見る。
けれどそんなことは、どーでもよくなっていた。
なんでこっち見たの?
なんで笑ったの?
私にしたの?
そんな思いが頭の中で渦を巻く。
とにかく…私だったらいいな…
そう思いながら教室へむかった。
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君と見た空