残響
どんな言葉も
もう 慰めにはならない
そんなことを思うのは
強がりか
強がりは惨めだな
惨めさが募って
実存は砂のように儚いものになる
もう 言い残したことはない
やり残したこともない
そうやってからっぽになろうとするのが
僕の悪い癖だ
かつて生きることは祈りだった
生きていればまた会えると信じて
信じながら生きることは祈りだった
だがもう、そんな祈りも終わった
光は潰えた
光は闇に塗り潰されてしまった
残光もないほどに
完膚なきまでに
それは途絶えた
最初に忘れるのは声だといわれている
だが、声はいまもはっきりと憶えている
それは甘やかな痛みを伴って響いてくる
最初で最後の、「出会ってくれてありがとう」が
死にそうな精神にいつまでも反響する。
また
希望がもてるようになりたい、などと
腑抜けたことは言わない
途絶えた光を
紡ぎ直してくれとは言わない
優しく呪われたこの存在を
優しく呪い殺してくれ
きみの手ですべてを終わらせてくれ
きみは僕のすべてだった
きみを僕の中で
永遠にさせてくれ。
残響