『遥か』
どんな幸せも
貴方を前にすれば
遠く遠く霞むだけ
『遥か』
密かに息を潜めて貴方を
ずっと見ていたけれど
見ているだけのアタシなんて
ちっぽけ過ぎて笑えるね
用意された箱の中で足掻くのも
何だか寂しくて救いのように
目は貴方を探してばかりだった
救われはしないと知りながら
だから初めて見つめ返された時
戸惑い焦り拒んで見えたかも知れない
その冷たい目は発言すら許さないけど
アタシは全て捧げると心に決めた
凌辱と貴方が呼ぶ行為が終われば
後はもう幸せなんて望みもしない
出来るだけ静かにこれ以上
貴方が痛みに苦しまないことを祈る
他人がどんな呼び方をしても
理解できる筈ないから気にしない
きっと貴方にさえ解っては貰えない
この先の人生も捨てたっていいの
貴方が耐える痛みを軽くする為に
何かを捨てるなら全部よ
ただ傍に在ることだけは許して
飽きるまでは手放さないで
どんなに近付いても遠いから
だからこそ希望を見出せる
欲張りはしないと決めてるの
命すら貴方に預けてしまったから
身軽なアタシはその悔恨も
懺悔も欲望も貴方が背負うもの全て
少しくらい背負える筈だから
大丈夫よって静かに広い背を撫でる
「いつか君に見限られるまでの命」
『遥か』