zoku勇者 ドラクエⅨ編 40
我侭女王と恋したトカゲ・4
「ユリシスはんは渡さーーんっ!あんな所に絶対連れていかせんの
やあーーっ!!」
「うるせーっ!これでも食らえーーっ!!」
アノンは最後の抵抗でジャミルに襲い掛かる。だが、巨体のアノンは
動きが機敏なジャミルに敵う筈も無く、ジャミルに剣の柄でみぞおち
攻撃を腹に叩き込まれ、その場に崩れ落ちた……。
「う、うお、バ、バカな……、おおお……、ウ、ウソや……」
「……」
「わーい、やったよおーっ!ジャミルっ!」
「ああ、これで……」
「ま、待って、アノンがっ!」
「また起き上がろうとしてるわ!」
「……こいつ……」
しかし、アノンはしぶとく立ち上がろうとする。……どうしても何か
強い信念がアノンを動かしている様だった。アノンは最後の抵抗で
むっくりと起き上がった……。
「わて、気づいてもうた、アンタと戦こうてる時、人間は口から火ィ
なんか吹いたりせんと、わては人間になんかなってなかったんや、
最初から……」
「……」
(ちょ、今頃気づいたの、遅すぎだって……)
「……サ、サンディ、駄目だよっ!」
「けど、ユリシスはんは城に連れて行かせん……、あの敵だらけの
城になんか……、ここでくたばるワケにはいかんのや、わてが……、
わてが守るんやああーーっ!!」
「……う、うううっ!!」
「ジャミルっ!!」
仲間達もジャミルを援護しようと再び攻撃態勢に入ろうとする。だが。
其処に意外な人物が姿を現したのだった……。
「……お待ち下さいっ!!」
「ジーラさんっ!?」
地下水道に姿を現した人物、……ユリシスの元侍女、ジーラであった……。
「ジーラ……、あなた、どうして此処に……?」
「女王様……」
漸く意識を取り戻したユリシスがジーラに近寄る。……女王を見つめる
ジーラの目は涙で溢れていた。
「ジャミルさん、皆さん……、もうこれ以上アノンを傷つけるのは
お止め下さい、アノンにもしもの事があれば……、女王様は今度こそ
誰にも心を開けなくなってしまいます……」
「ジーラさん、あんた……」
「ジーラ……、私、あなたにあんなに酷い事を言ったのに、
傷つけたのに……、どうして……?」
ジーラは涙に明け暮れたそのままの目で、女王から目線を離そうとせず、
そっと女王の手を取るのだった。
「私は見てしまったのです、女王様は涙を見せながらアノンの
前でいつも話していました、我儘な自分が嫌い、両親がいなくて
いつも淋しい……、あなたはアノンの前ではいつも本当の心を見せて
いました……、その寂しさ、あなたの本当の心をどうか、今度は
私達にも打ち明けて欲しいのです……」
「ジーラ……」
「辛い気持ちを分け合えば、きっと女王様も変われる筈だから……」
「ああ、ジーラ……、あなたは私をいつも見守っていて
くれたのね、有り難う……、私、この方が言ってくれた
言葉の意味がやっと分かったの、いつも側で見てくれて
いる人がいたんだって事、私、一人じゃなかったのね……、
ジーラ、今までの事、どうか許して下さる?これからも
私を支えて欲しいの、未熟な私を……」
「女王様……、も、勿論です!」
ユリシスとジーラは頑なに強く抱き合う。4人はそれを暫く静かに
見守るのだった……。
「本当に良かったね、ジーラさん、女王様……」
「うん、……えうう~……」
「ジャミル、君の言葉も気持ちも……、ちゃんと女王様に届いていたよ……」
「ああ、へへ……」
「ほうわああ~……」
「……えうっ!?」
様子を見守っていたアノンが欠伸の様な声を出し、4人は恐る恐る
後ろを振り返るが……。アノンももう4人に敵意は無く、静かに
言葉を漏らした……。
「あの城にはジーラはんみたいな優しいお人もおったんやなあ……、
わて、力尽くであの城からユリシスはんを引き離そうとしとった、
これではわて、間抜けなピエロや、トカゲの浅知恵やったわ……」
「アノン、お前……」
アノンはジャミルを見つめると、大口を開けにっと笑うのだった。
「なあ、旅人はん、アンタも人間とちゃうやろ?しかも果実に詳しいと
みたで、わてはまたトカゲに戻って静かにユリシスはんと暮らすさかいな、
もうこんなん懲り懲りや、ジーラはんみたいな優しいお人がおれば
ユリシスはんも安心やわ、この果実はアンタに託すで、この姿のわては、
ほな、さいならや……」
「ああ……、またな……」
「ありがとな、優しい天使はん……」
アノンの身体が光り出し、果実がジャミルの元へと戻る。そして、
ユリシスの足下に、小さな1匹の金色のトカゲがすり寄るのだった。
ユリシスは愛おしそうにそのトカゲをそっと抱き上げた……。
「きょっ、きょっ……」
「アノン、有り難う、あなたもいつも私を見守ってくれていたのね……」
「きょっ……」
……心優しい旅人よ、娘を救ってくれて……、本当に有り難う……、
これで私も漸く……
「おっさん……」
ジャミルの耳に静かな声が届く。それは先代国王ガレイウスの声だった。
娘が救われた事により、漸く旅立ちの時を迎え、ジャミルにお礼を
言いに来たのである。
「おっさん、もう女王さんは大丈夫さ、これからきっとやり直せるよ、
皆と一緒にさ……」
「なになに~?どうしたの、ジャミルっ!」
「モン、お腹すいたモン~……、モン、もう暴れてやるモン、シャア~……」
モンを抱いたアイシャがジャミルに笑い掛ける。その笑顔を見ていると、
あー、今回もやーっと終わったんだなあと、実感が沸いた。
「よし、モンも暴れ出すと困るからな、戻ったら皆で飯でも食いに行くかっ!」
「わあーっ!嬉しーい!ふふっ!」
「そうだね、流石に今日は僕もお腹が空いたかな……」
「……も、もう暴れてます~、とほほのほお~……」
「ガジガジガジ、でっかいチキン食べたいモン……」
「そうですわ、今日は皆さん、お城で一緒にお食事をなさっていっては?」
「……マジーーっ!?」
「ですかああーーっ!?」
思いがけないユリシスの心遣いにジャミルを始め、皆は感激し、
大興奮。その姿にユリシスもジーラを笑顔を浮かべた。
「ええ、さあ、急いで戻ってお食事の支度をしなくては、ジーラ、
私もお料理を作るわ、腕によりを掛けて皆さんに美味しいお料理をね……」
「は、はいっ、私、他の侍女達にも声を掛けて参りますわ!」
「♪きょっ、きょっ」
こうして今日からグビアナの城は女王と共に生まれ変わり、
新しい日々の始まり、出発点を迎えたのである……。
これで何個目の果実を取り戻しただろうか。此処でのお役目も
無事終了し、グビアナとも別れの時が来る。ユリシス女王も自分の
本当の気持ち、これまで自分の犯した過ちの謝罪を国中の者、そして
城中の者へと、心を改め気持ちを伝えた。女王の本当の気持ちを知った
民も改心した彼女の想いを心から受け入れてくれた。これでユリシスの
女王としての本当の新しい旅立ちが始まったのであった。
「……皆さん、本当に有り難うございました、私、これから新しい
気持ちで城の皆と一緒にこのグビアナの皆さんが幸せになれる様、
頑張りますわ、私は一人ではないんだもの、ね……?」
「ジャミル殿、皆さん、女王様を救ってくれて、本当に感謝する、
そなた達には本当に頭が上がらぬ……、いやはや……、雅に英雄を
超えた大英雄であるな……」
「きょっ、きょっ!」
大臣も心底4人に酔いしれ、ユリシスは自分の側にいる大切な心の友達、
アノンの頭を愛おしそうに触った。彼女にはジーラもいてくれる。もう
本当に何も心配はないだろう。ジャミル達はユリシスに挨拶し、礼をすると
謁見の間を後にした。皆さんの事、忘れません、どうかいつでも遊びに
来て下さいね、と、ユリシスは何度も何度も言葉を繰り返し、名残惜しそうに
4人を見送った……。
「ああ~、しっかし人間変われば変わるモンだなあ~、と……」
「モンは変わんないモン!人間じゃないモン、モーモンだモン!」
「……だからな……、ま、まあいいや……」
「ホント、この話ってさ、……最初は感じ悪いんだけど、後でいい人に
なるパターンが多スギ……」
「こ、こらっ、いいんだよっ、ダウドはっ!」
アルベルトは慌ててダウドを突く。だからそう言う事を突っ込んで
しまっては駄目である。だが、後々、その逆を見せる様な恐ろしい
サブエピソードもあるのだが……。※今ではプレイ不可能の為、
この話では書きません。
「ん……?」
「ど、どうしたよ、アル……」
アルベルトが急に立ち止まり、そしてそのままピタリと動かなくなった……。
「何だか……、沢山の本の匂いがするんだ、この間まであたふたしていて
感じなかったけど、とても普段お目に掛かれない様な、レア本の数々が、
……このお城の何処かから……、何だか、ぼ、僕を呼んでいるーーっ!
……本があーーっ!!」
「……呼んでねえーっつんだよっ!!」
「アル、壊れちゃったわ……」
「や、やっぱりこのPT、……何かバカば~っか……」
「……ちょっと何っ!ダウドっ!?」
「モンモン!おやつはピザまんがいいんだモン!!」
自分の事を棚に上げ、ダウドがぼやく。そして相変わらず食べる事に
夢中なモン。……ジャミルの中からけたたましいサンディの笑い声が
聞こえて来た……。
「……んな場合じゃねえってのっ!オイコラ!アルっ!オメー何いきなり
壊れてんだよっ!!」
「僕は誰にも止められない、……其処に本がある限り……、バフッ……」
「う~ん、此処の処忙しかったし、アルもストレスが堪ってたのかしらね……」
「……平然と落ち着いて言うなあーーっ!このジャジャ馬あーーっ!!」
「……何ようーーっ!!」
今日はおかしい。何かが。ジャミ公とアルベルト、やる事がまるで逆に
なっている様だった。メンバーがあたふたしているその間にも、アルベルトは
何処かへと走って行ってしまったのだった……。
「……アルーーっ!!あの野郎ーーっ!!お前らアルを捕獲すんぞーーっ!!」
「きゃーーっ!!♡」
「ピザまんを捕まえるモンーーっ!!」
(……きゃーはははっ!チョー、は、腹イテェしーーっ!!)
もう、何が何だか……。こういう時だけ常識人になるダウドは、
とほほのほ~で、走って行ったメンバーを後から追い掛けるの
だった……。そして、メンバーは1階にある書庫の本棚付近で
鼻血を出してぶっ倒れていたアルベルトを発見したのだった……。
「えへへへ、……本ら……、本がいっぱいら……」
「……本だあーーっ!!お、おええ~、下呂下呂……」
「酔ってる場合じゃないでしょっ!……もう~っ、アルもジャミルも
しょうがないんだからっ!!ほらっ、アルっ、しっかりしてよっ、
立ってっ!!」
「ふにゃらあ~……」
流石、こう言う事には強い姉御アイシャ。アルベルトの背中を
引っぱたくと、すっきりしゃっきりさせる。……途端にアルベルトは
冷静になり、顔を元に戻し起き上がるのだった。
「あれ?ぼ、僕、今まで何を……?」
「……じゃ、ねーだろがああっ!この腹黒ーーっ!!」
「でも、私も本は好きよ、折角だし、何か読みたいわ、えーと、あっ、
ネコちゃんの絵本!か~わいいっ、うふふ!こっちはクマさんね!」
「頭が幼稚園児……」
「……何よっ!ジャミルのバカっ!!」
ドサクサに紛れ、アルベルトは棚の本を読み漁りだし、アイシャも絵本に
夢中になってしまい、結局はもう暫く城から出られそうにない事態に……。
何せ、ジャミルがアルベルトに再びブチ切れて止めようとした際、本を
読んでいて振り向いたアルベルトの顔が一瞬、……何か……?と、北斗神拳者
ヅラになっていたからである……。ダウドと共に、二人が気の済むまで本を
堪能出来るまで待つしかないのだった。
「大丈夫、オイラ寝てますから……、むにゃむにゃ……」
「つまんないから久しぶりにダウドの頭叩くモン!チンチチン
チチーン!」
(ふぁあ~、どうでもいいケド、次が控えてんだからサ、早く
してくれる……?)
「たくっ!どいつもこいつもっ!……ん?匂う、この本棚から……、
吐き気がしない……、……お、おおおおっ!?」
ジャミ公が見つけた本。……彼が唯一奮起出来る本。写真集。
……AV女優の。
「……おーほほほほっ!わ、わたくし……、ふ、噴射してしまいます
わああーーっ!!」
「何やってんのようーーっ!……ジャミルのバカーーーっ!!」
……この騒動は、結局は暴れ出したアイシャが本棚をおっ倒した所為で、
アルベルトも慌てて読書をお終いにし、漸く収まったのだが……。
「……いてっ!いてーなっ!!」
アイシャが倒した本棚から一冊の本がわざとらしく転がり落ち、
ジャミ公の頭部を直撃。アルベルトは慌ててその本を拾い上げた。
「この本は……、こう言う展開の時は必ず何かある筈だ、僕らを
(騒動に)導くこの本は……」
「オメーさっきから何ブツブツ言ってんだよっ!!」
本にはこう書かれている。……伝説の踊り子メリサ……。
見る者全てを虜にする伝説の踊り子メリサ。その魅惑の
ベリーダンスを伝授した大先生の存在を彼女はこう語った。
先生はカルバドの大草原を毎日踊りながらかけていましたの。
美しい宝石を身に着けている、とっても綺麗な先生でしたのよ。
……そんな彼女の話を聞いてカルバドの大草原へ向かった物の
それらしき人物は見当たらず……。魅惑のベリーダンスを
習得したい其処のあなた!私の代わりに先生を探してみて欲しい。
……そう書かれていた……。
「これ……、依頼書なのか?ワケ分かんねえなあ~……」
アルベルトの横からひょいっと本を覗き込んだジャミルが首を傾げた。
「ベ、べべべべ……、ベリーダンス……、やっぱいいよねえ、
美人のおねいさんの……、う~へへへ……」
「ちょ、ダウドっ!」
「……」
「あ……」
アルベルトが慌ててダウドを突く。……又アイシャが不機嫌になって
来そうだったからである。
「何?別にいいんじゃない?私全然機嫌なんか悪くなってないわよ?
ぜーんぜん!」
「……ワリィだろうがよっ!!」
(やっぱ野郎ってスケベなバカばーっか!)
「モンはダンスよりブルーベリージャムの方がいいんだモン!」
「……そうよねえ、モンちゃん!焼きたてのパンに塗ると
美味しいわよねー!」
「モンーっ!」
アイシャはモンを笑いながら抱き上げる。だが、その表情には
やはり少し亀裂が顔に入っていた……。
「と、とにかく……、余り僕らには関係ない話だよ、も、もう行こう、
次の場所へ、残りの果実を探さなくちゃ……」
アルベルトはそう言いながら本を棚へと戻す。だが、ダウドは
アルベルトの様子を見て、又余分な事を言う。
「アル……、下……、引っ込めようよ……」
「は……?!!な、何を言ってるんだよっ!ぼ、ぼぼぼぼぼ、僕は
立ってなんかないよっ!ぜーんぜんっ!……あ……」
「……」
「アホかっ!!」
アルベルトを見つめるアイシャの目線が険しくなって来た。
……やっぱ男ってサイテー!真面目そうな顔してもう
信じらんないっ!見損なったわっ!と、言う目つきである。
「……だからああーーっ!僕は何も考えてないったらあーーっ!!
信じてよーーっ!!」
「弁明しても無駄だっての、ま、誰にだって起こりうる事なんだよ、
男ならな、……どんな誠実そうな野郎にだって下心はあるんだ
からよ……」
「だよね、それがなくちゃ又おかしいもんね、男として……」
「……ああああーーーっ!!」
絶叫するアルベルト。アイシャはそのまま黙りこくり口を
聞かなくなった。
「……だからな、オメーもいい加減ブンむくれてんじゃねーぞっ、
つまんねえ事でよっ!!」
「な、何よっ!だから私、別に怒ってないって言ってるでしょっ!
怒ってないわようーーっ!」
「……アイシャ、いたい、いたいモン……、モンのお顔が横に
のびちゃうんだモン……」
アイシャはジャミルと言い合いになったままムキになり、掴んだ
モンの頬を無意識でうにゅうにゅと引っ張っているのに気がつかず。
……やはり明らかに怒っている。
「でもさ、踊り子メリサさんにベリーダンスを伝授した大先生って……、
一体どんな美人さんなんだろうねえ~……」
「ダウドっ!ま、また君はっ!!」
「そりゃ……、その、ベリーダンスを伝授した踊り子ってのも
相当な美人なんだろうな、何せ見る者全てを虜にしたってんだからよ、
師匠は綺麗な宝石を身に着けてるって書いてあったな……」
「……」
……野郎の思考が揃って一致する。彼らが想像した大先生とは……。
綺麗な宝石を身に纏い、野郎の思考の中で華麗に舞い踊る大先生
とは……。それは、Ⅳの……、マーニャの様な……。
……もっ、こり……。
「もうーーっ!いい加減にしなさいよーーっ!!」
遂に大御所ブチ切れる。もう下手をすると100トンハンマーを
持ち出し兼ねない勢いであった。
「モンも……、もっこり♡」
「……真似しなくていいのーーっ!!」
「でもさ、でもさ、確かにこのメンツならベリーダンスなんか
覚えたってしょーがネーじゃん!野郎ばっかなんだしさ!キモいし、
キショイって!」
……今度はサンディがわざわざ余分な事を言いに、妖精モードで
飛び出て来た。
「あら?サンディ、私だっているのよ?私、女の子なんだけど……」
「は……」
野郎共に緊張感が走る……。アイシャの顔の亀裂が更に酷くなって
来たからだった……。
「無理っしょ、大体アンタ、色気も何もないし、モロ胸もないんだし
サ……、プッ、あー、アタシが人間だったら、ごっつスゲーダンス
見せてアゲられるんだけどネ~……」
「……うわあーーーーっ!!」
……デデン、デデン、デデン、……ピキッ……
事態更に悪化……、アイシャはもう顔が割れる寸前……。気づいた
サンディは慌ててジャミルの中へと逃走。アタシし~らねー!で、
誤魔化した……。
「アイシャーーっ!落ち着いてーーっ!!」
「城破壊する気かあーっ!頼むっ!俺らが悪かったっ!冷静に
なってくれえーーっ!!」
「……オーノー!オイラモー嫌デース!!」
野郎共は又暴れ出しそうなアイシャを取り押さえるのに必死……。
涙目になっていた。
「皆……、行くわよ……」
「へ?ど、何処にだよ……?」
「……決まってるでしょっ!カルバド大草原よっっ!!ベリーダンスを
伝授して貰うのようーーっ!!」
「だ、誰がだい……?え、えええ?誰がダンスを覚えるの……?」
「……何言ってんのよっ、アルっ!私しかいないでしょーーっ!!」
「うえええーーーっ!?」
野郎共、全員揃って顔が縦に伸び、ムンクの叫びになった……。
「見てなさいよっ、私だって……、踊ったら絶対に色気が出るんだ
からっ!さあっ、皆で大先生を探すのようーーっ!!」
「……勘弁してくださああーーいっ!!」
「むっちむっちぷりりり~ん♡モン!」
……野郎共、揃って更に絶叫……。彼女がこうなった以上、もう
誰にも止める事、叶わず。ジャミ公は余計な事を口走ったサンディに
向かって、オイ、ガングロっ!オメー責任取れよっ!と、呼び掛けたが
返事はあらず……。結局、この女王には逆らえず、そのまま大草原へと
振り回される羽目になった……。
zoku勇者 ドラクエⅨ編 40