鼓動

明日が幾通りもの可能性に溢れていることは知っていて
毎日その中から最悪を掴み取ってしまうことを危惧している
たとえ慎重に選び進んだとしても
全ての選択の先が望ましくないものだとしたら






鼓動。






幸福の不在証明には失敗してしまったのだが
自らの不幸を叫ばずにはいられない時間があることもまた事実で
失敗や後悔を胸に刻まれた明日の我が身は
まだ見ぬ朝日に怯えて覚醒する






鼓動。






夜間警察は救うにあらず
毛布一枚だって恵みはしない
自身で乗り越えるしかない暗闇を
一寸先の白地図を描こうと指を動かす






鼓動。






深夜の布団の温かさを
はっきりと覚えている






鼓動。






痛みを経て
息をした






鼓動。






心は遥かに雄大で
貴いものになるだろう
何者にも利用させない
奈落など存在しない
生きていく限り






鼓動。









私など居なくとも
美しいこの世界に生まれ落ちたのだから。

鼓動

鼓動

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-02-10

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