『ミルクチョコレート』

暴かれる前提の嘘は
君の舌で甘く溶けた


『ミルクチョコレート』


あのままじゃ全てが
君の思うままになりそうで
対抗心と強がりが混じって
つい口に出したんだ

食べるなら全部丸ごと
残さず綺麗に食べ尽くしてね
引き攣りそうな笑みで
危うくとも必死の抵抗よ

アタシの無駄な足掻きを
さらりと受け流して
何事も無かったかのように
君はティーカップを傾ける

さて、何の話だったか
そう言いたげな取り澄ました顔で
またアタシを片付けようと
きちんとした自分に戻る

少しくらい後を引いても
罪はないのになんて
それさえアタシの勝手なのかな
だって好きも嫌いも言葉の綾よ

嫌いと呟けば片眉を上げ
手を伸ばした君の腕の中
もう一度嫌いと囁けば
甘やかに重なる唇

こうなると解っているから
いつまでも止められない
甘味は好きじゃないなんて
お互い様なんだから



「存在自体がチョコのようなもの」

『ミルクチョコレート』

『ミルクチョコレート』

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-02-10

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted