zoku勇者 ドラクエⅨ編 37

我侭女王と恋したトカゲ・1

腹の減っていたジャミル達はまず食事を開始。露天商で売っていた
巨大骨付き肉に3人と1匹で凄まじい勢いでムシャムシャ齧り付いた。
……今日はアルベルトも我を忘れ、野獣の如く、変顔で口いっぱいに
巨大骨付き肉を詰め込んだのだった……。

「げ、げふ……、取りあえず落ち着いた……」

「……うわー!僕、イメージが崩れちゃったようーっ!どうしようー!
姉さーん!!」

「もうとっくに崩れてんだよっ!……う、うっぷ……」

「ふい~、オイラのお腹もポンポコだあ~、こうなったらアルももう、
原始人の仲間入りだねえ~……」

「……僕は誠実だあーーっ!!」

「げふげふ、モンモン、げっぷっぷ~、プップッ……ブッ!」

腹が丸くなってしまった男衆は取りあえず夜の町中をドスドス走り回る。
大体いつもならこう間抜けな状態になるのはジャミルだが、今日は男衆
3人揃ってだった。途中でまだ空いている店を探し、アイシャ用の夕ご飯、
サンドイッチと牛乳、+苺のケーキを。これはアイシャもカロリー摂取
道連れで太らせる為。

「アイシャ、怒るよお~……」

「いいんだよ、絶対怒るけど、絶対食うから、ひひ……」

「君、趣味悪いよ……、ジャミル……」

「さて次はと、武器と防具の調達だな……」

「……や、やっと……、満足して寝てくれたのはいいけど、モン、
重いなあ~……」

「モンモン……、zzz……」

モンは相変わらずダウドの頭に張り付いたまま。よっぽど居心地が
いい場所なのか。男衆は今度は武器屋と防具屋を探し、町を更に歩き回る。
だが、全然関係ない物を見つけてしまい、又話がズレてくるんである……。

「ジャミル、見つけたよ、向こうの露天商だ、お店と違ってかなり
夜遅くまで此処の露天商は開いて……」

「いらっしゃいませ、いらっしゃいませ!グビアナ名物・ベリーダンスが
見られるダンスホールは此処ですよ!むふふ~!ウチは特に年齢制限は
設けてませんので、若いお兄さん達も大歓迎です!但し、中の踊り子さん
達には触らないでね!」

「……だと……」

「な、何見つけてんのっ!君はーーっ!!新しい装備品を
探すんだろーーっ!!」

「だって有るんだし……、しょうがねえだろがよ……」

……糞真面目なアルベルトは声を張り上げ、顔を真っ赤にして
ジャミ公に怒鳴る。

「モンが起きちゃうよお、そんな事言って……、アルだって本音は
見たいんでしょ?男だもんね……、じゃ、ないと男じゃないと
オイラは思う……」

「ダウドっ!君までっ!叩くよっ、……スリッパでっ!!」

「其処の扉を潜ったら、もう中は雅にパラダイスー!……見逃したら
損ですよっ!!」

「ダウド、俺は今、アイシャが起きないでいてくれたのは、この時の
為じゃねえかと俺は思うんだ……、こんな奇跡のチャンス、今しかねえぞ……」

「うん、うるさいガングロもいないしね……」

……つう~……

バカコンビ2人は揃って鼻血を垂らす。やはり頭の中、考えている事は
揃って同じだった。

「も、もういいっ!勝手にしろっ!……武器と防具の調達には僕一人で
行くからっ!!」

「じい~……」

「じい~……」

「は……」

ジャミ公とダウドは揃ってアルベルトの大事な部分を見ていた。
徹底的な証拠を。

「立ってるぞ、お前も……」

「いやああーーっ!違うっ!僕は違うーーっ!!……ねえさあーーんっ!!」

「ま、そういうこった、人間素直になんなきゃな、……男なんだからよ……、
……3の時の、魔法のビキニの時もだったけどな……」

ジャミルはアルベルトの肩に手を置く。奮起してしまった以上、
無駄な抵抗はよせ!状態で、男衆はダンスホールの中に入っていった。
モンはまだ眠ったまんま……。

「モンブ~zz……」

「グビアナ・ダンスホールへようこそ!席は沢山空いてますから!
どうぞごゆっくり!」

「おお、守護天使様、教会のおつとめをサボる哀れな子羊をお許し下さい!」

「見ろよ、教会の神父の爺さんまでいるぜ……、やっぱ好きなんだなあ~……」

「此処にその守護天使様も来てますよおー!」

「……うるっせー、黙れっ!」

ジャミ公は慌ててダウドの頭を殴る。やはり人間、歳も職業も関係なし。
本能のままに……。だが、中には男性だけでなく、女性客の姿も……。

「……す、凄い腰つきと振り方だね、シャンシャンシャンシャン……」

アルベルトももう吹っ切れてしまったのか、食い入るようにステージで
踊る踊り子のお姉さん達を見つめていた……。

「あの真ん中の……、なんか胸がねえなあ、……ウチのアイシャみてえ……」

「綺麗だからいいじゃん……、うへえ~……」

「はあ~い、うっふ~ん、ぷりぷり~♡でも、ステージでお障りはダメ!
お姉さんからのお願いねっ!!お席でじっくりごらんあれ!ちゅっ!」

「……お、おおおおっ!!」

踊り子の一人がジャミル達に向かって尻を振りハートマークを飛ばす。
もうなりふり構わず、男衆は鼻血ドバーで噴出寸前だった……。

「あ、やだっ、このビキニ、サイズ小さすぎ、……ちょっとポロリ
しちゃったじゃない!それとも……、あたしが成長しちゃったの
かなあ~……、うふふ♡」

「おおおーーーーっ!!」

「ひゅーひゅー!いいぞーーっ!もっとはじけていいよーーっ!!」

「んもーっ、お客様の……、エッチ♡」

「……うひょおーーーっ!!」

かくして、我を忘れ……、目一杯はじけた男衆は大満足でダンスホールを
後にする。そして大変な事態に気づく……。

「……はあはあ、けど、この奮起鼻血状態……、どうやってアイシャ達に
説明すりゃいいんだ……」

「……ホント、下まで……、汚しちゃったし……」

「……ねえさああーーんっ!……すみませんっ、すみませんっ、
僕はああーーっ!!」

「だからうるせーんだよっ!おめーはっ!」

……男性陣達は、汚れた鼻血を落とす為……、証拠隠滅の為、一旦町を出て、
この間のオアシスへと向かうのであった……。

「ああ、やっと戻ってキタ……って、何でアンタらそんなに
びしょ濡れなワケ!?」

漸くスケベ男衆が宿屋に戻って来た時刻は夜の23時。只管奮起の
汚れ後が落ちるまでオアシスで水浴びをしていた。だが、全身
びしょ濡れのジャミル達を見てサンディは不審に思う……。
それを誤魔化す為、アルベルトが露天商で買った派手な
アクセサリーをサンディに渡す。

「ちょっとね、足を滑らせて、夜の池に……ね、それよりも着けてごらんよ、
サンディに似合うと思うよ……、あとこれも、ネイルセット……」

「あはっ、かっわいいー!これ、アルベルトが選んだのっ!?」

「うん、まあ……」

「サンキュウーっ!アンタ、センスあるじゃん!ふんふふ~っ!」

サンディは貰ったアクセサリーに夢中で、男衆がびしょ濡れなのには感心が
薄れていた様で、ジャミル達はほっとする。

「あ、アイシャはまだ寝てるヨっ!」

「そうか……、結局このままか、まるで眠り姫だなあ~……、しかし
よく寝る事……」

「すうすう、すう……」

結局その夜は、アイシャも起きず。男衆もそのまま就寝。無事にその日を
終えたのだった。

「おはよう~!何か寝過ぎちゃったあ~!でも、良く寝られたわあ~!」

「……じゃ、なくて、もう寝過ぎも何も超えてんだよっ!!」

「そうだよね、疲れちゃうよね……、実は僕達、夕ご飯と、武器と防具の
調達で夜に町を回っていたんだよ、アイシャはとてもよく寝ていたから……、
これ、昨日のアイシャの分の夕ご飯だよ……」

アルベルトは慌ててジャミルを突き、昨夜町で買ったアイシャの分の
夕食を渡す。もう夕食ではなくて、朝ご飯になってしまっていたが。
勿論、ダンスホールの事は禁句……。

「わあ、美味しそう!ケーキまであるのっ!?でも、私、本当に
寝過ぎちゃったねえ~……」

「だから……、もう寝過ぎのLVを超え……おごっ!!」

「いいんだよ、さあ食べて、お腹空いてるだろ?」

「うんっ、じゃあ遠慮無く、いただきま~すっ!」

アイシャは美味しそうにサンドイッチにがぶり。アルベルトは一安心。だが、
頭を小突かれたジャミ公は面白くない様子。……ダウドは一旦起こされたが、
アイシャの食事で又間が空いた為、立ったままぐうぐう寝てしまう。

「さて、新装備で又新たに出陣だな……」

今日から本格的に気持ち新たに冒険再開。4人は情報収集へ今度は
昼間の町を歩いてみる。……気がつくと、またあのグビアナダンス
ホール付近まで歩いて来てしまっていた……。

「ねえ、あのおっきい建物何かしら?」

「モン~?モン、分かんないモン!」

「おい、まずいぞ、このパターンだと……」

モンはずっとあれから寝ていたので、ジャミル達がダンスホールに
入っていったのも覚えていない。それだけが救いだった。だが、あの
建物を目の前にし、男性陣は冷や汗を掻いた……。

このパターン 「やあ、夕べのお兄さん達だね、昨日はダンスホールへ
ベリーダンスを見に来てくれて本当に有り難うね!どうだったかなあ?
良かったでしょ!ウチの踊り子さん達のキュートなおっぱいとお尻
ぷりぷりダンス!!」

このパターン:アイシャに不祥事がバレて男衆全員フルボッコ……。

「あわわわわっ!これ、マズイよおお~!!」

「……彼所に近づけさせんなあーっ!……撤退っ!!」

「ちょ、ねえっ、なんなのようーっ!」

ジャミルはアイシャの手を引っ張り、ダンスホールから急いで
遠ざけさせようと……。

「あら、こんにちはー!」

「は……、はいいーーっ!?」

「……?」

したのだが、ある人物と遭遇してしまう……。昨夜ダンスホールで
踊っていた踊り子3人組の内の一人のお姉さん。

「ねえ、この人……、誰?」

「あはは、あなたは昨日一緒にいなかったよね、お友だちかな?夕べ、
皆で揃ってダンスホールに私達のぷりぷり♡ベリーダンスを見に来て
くれたのよ!」

「……ベリーダンス……?……ぷりぷり?」

「……ぎょええーーーっ!!」

アイシャは最初不思議そうな顔をしていたが、野郎共が何故
慌てだしたのか、そして何故、あの建物からジャミルが自分を
遠ざけようとしたか……、瞬時に理解した……。

「ふう~ん、そうなんだ~……、ぷりぷりのベリーダンス……」

「……うわあーーーっ!!」

アイシャは急に男衆の方をくるりと向く。顔は笑っている。……だが、
ジャミル達も理解する。……アイシャちゃん、モロブチ切れてますーーっ!!
……と。

「ふふ、女の子のあなたでも楽しめると思うわ、ウチには女性のお客様も
多いから、今度はあなたも是非来てね、あ、でも私、まだ新人なの、
ククリって言うのよ!」

「はあーいっ、是非ーっ!……ふう」

「モンーっ!」

ククリは4人に手を振って去って行く。……だが、ククリが去ったその後……。

「ふう~ん、アタシ、何となく分かったわ、アンタら帰って来て皆
濡れてたのさあ、大方鼻血ブーしたの誤魔化す為に、どっかで水浴びでも
して証拠インメツしようとしてたんじゃネ?」

「こっ、こらっ!ガングロっ!……余計な事言うなっ!!あ……」

「やっぱり……」

サンディ、感が良過ぎ。ジャミルが発した、余計な事言うな!で、もう
何もかもがバレてしまっていた。アルベルトとダウドは頭を抱えた……。

「うふふ、私、怒ってないよ、だって皆、男の子だもんね、見たいの
当たり前だよね、……分かってるの、分かってるんだけど……」

「あ、アイシャ……、アイシャちゃあ~ん、……あ、あはは……」

「うふふふ……、やっぱり……、何だか不潔で嫌だなあって……」


……ドゴッ!バキッ!ドスドスっ!!……ベキイイイッ!!


結局、怒り狂ったアイシャに、男衆全員フルボッコ&股間滅多蹴りの刑に
される運命は避けられなかったのだった。……特にジャミ公は被害が
一番大きかった様である……。

「アイシャも武闘家に転職した方がいいモン?」

「アタシもそんな気がしてキタ……」

「うふふ、やっぱり私は力無いし、当分魔法使いでいいわ、えへへ!」

「……嘘つくなああーーっ!!」


※此処からの新装備 

ジャミル 山賊のサーベル 闇のターバン 義賊のジャケット 
銀のリスト 忍びのズボン 静寂のブーツ 金のブレスレット

アルベルト 山賊のサーベル 魔法の盾 ビーバーハット 魔法の鎧 
銀のリスト 剣士のズボン 鉄のグリーブ

ダウド 砂塵の槍 魔法の盾 鉄兜 魔法の鎧 銀のリスト 鉄の膝当て 
巡礼のブーツ

アイシャ アサシンダガー 魔法の盾 猫耳バンド サマードレス 
銀のリスト ドレススカート とんがりブーツ

「はあ~、歩き回るだけで大分体力も消耗したなあ、疲れたあ~……」

「……一歩町の外に出れば回りは砂漠だしね……」

町の中を情報収集で歩き回った4人は日中の暑さで段々疲れて来ており、
水を求め、井戸の近くまでつい身体が釣られて来てしまっていた。井戸の
回りには水をくみに来たおばちゃん達が。

「モンモン、モンは元気ですモン!」

「……そりゃあねえ~、オイラの頭の上にずっといるんだもの……」

「冷たい飲み物が欲しいわ……」

「はは、面白い子達だねえ、見掛けない顔だけど、旅人さんかい?こんなに
小さいのに、ご苦労様!」

「はは、ども……、ぶらり旅っス……」

おばちゃんに褒められジャミルは苦笑。このこんなに小さい旅人さん達は
昨夜禁断の大人の領域に足を踏み入れ、つい発情してシモタとっても
良い子達なんです。

「……だからな、俺、マジで実年齢は20だって言ってんだろ……、
普通のジャパンなら大学通ってる年齢なんだよ……」

「もしかして、この国の女王様に会いに来たのかい?だよね、じゃなきゃ、
此処まで大変な思いをして来る意味がないもんね、とびっきり美人の
女王様に!」

「女王……?美人……、う……」

「……」

ジャミルはアイシャの方をちらっと振り返ると……、また機嫌が悪くなって
来た様子。

「……いいのよ、別に、私、気にしてないよ?うん、美人の女王様、
素敵じゃない!……美人だからお胸も大きいわよね、きっと……」

「……絶対……気にしてるよね……」

「……」

ダウドとアルベルトは、何となく、アイシャから今度は嫉妬のオーラが
放出されそうなのを感じ、ガクブルするのだった……。

「でもね、女王様にはそう簡単には会えないよ、何せプライドの高い
高貴なお方だからねえ~……」

「ははは、……べ、別にいいんだ、んじゃ、おばちゃん、さいならっ!」

……ジャミル達はアイシャの機嫌がこれ以上又悪くならんうち、
アイシャを抱え、急いでその場から逃走する。

「……見てなさいよ、私だっていつかあのダンスホールで踊って
あげるわよ……、絶対におっぱいを大きくして……、むちむち
ぷりり~ん♡になるんだからっ!!」

「モンもおけつぷりりり~ん♡モンっ!」

「……やめろっつーんじゃっ!」

(……ま、夢だけを持つ事はダイジ……だけどネ……)

「ボウヤたちー!どうしても女王様に会って欲しければ贈り物を持って
行くのも手だよーっ!!」

「……うええーい!」

ジャミ公は走りながらおばちゃんに返事を返すが、別に大した用事でも
なければ、城になんぞ行きたくねえと思った。だが、このRPGの宿命、
どうしても城へと行かなければならない状況になるのである……。

「ふぇ、ま、マジで疲れた……、水……」

「……おい、君達、大丈夫か?汗だくじゃないか、ほらほら、冷たい
お冷やをあげるよ、中に入りなさい……」

今度は又違う、別の建物の前まで来ていた。入り口の前に兵士らしき
おっさんがいたので、此処はこの町の兵の詰め寄り緒らしい。暑い中
歩き回り、ヘトヘトになっていた4人は遠慮せず、兵に中へと通して貰う。

「どうぞ、ジュースじゃなくてごめんね……」

んな贅沢は言ってられず。4人は出して貰った氷水を一気飲み。喉を潤した。

「……っかあ~っ!生き返ったわあ~!」

「君、随分親父臭いね、面白い子だなあ……」

中へ案内してくれた親切な兵はまるでヨッパライの様なジャミルを
見て笑う。飲んでいるのは只の水なのだが、どうしても酒を飲んでいる
様に見られていた。

「かーっ!うめーモンっ!シャアーーっ!!」

「モンちゃん、みっともないでしょ、やめなさい……」

「最近のぬいぐるみも食べたり飲んだりするのかな、ははは……」

アイシャが顔を赤くする。……飼い主がこうなら、こっちもこうである。

「有り難うございます、助かりました、ですが、お仕事の途中だったのでは……?」

「ううん、いいんだよ、ビーバーハットのお兄さん、此処は砂漠の
モンスターから民を守る為、作られた兵士の詰め寄り緒だよ、けれど
最近はまるで仕事がなくてね……」

「……お仕事がないんですかあ?……ふう~、冷たいお水おいしいよお~!」

「ああ、グビアナ城の女王様の支援がなくて、現在は活動を停止中だよ、
元々此処は先代の国王様が人々を守る為、お作りになってくれたのさ、
だがね、先代国王様がお亡くなりになられ、一人娘である、ユリシス様が
即位した途端、予算が全く回ってこなくなってしまって……」

「……」

「ユリシス様は民の事よりも、自分自身の為に、国のお金を使っている、
……困ったモンだよ……」

「困ったモン……?」

「いや、オメエの事じゃねえよ、でも、困ったモンなのは意味同じか……」

「……シャアーーっ!!」

一同、兵にお礼を言い、詰め寄り緒を後にする。……この国は、どうやら
とんでもない高飛車女王の支配下に置かれている様子だった。

「どうする?あんまり政治問題とかさ、ややこしくなるから、関わりたく
ねえ気がするんだけど……」

ジャミ公は歩きながら道ばたの小石を蹴飛ばす。その後を無言で
付いてくる仲間達。

「一応……、折角来たんだから城に挨拶にだけでも……、どうだろう?」

「やっぱり、美人で胸が大きいだけじゃ駄目よねっ!」

「そうよっ!モンっ!おほほ♡」

「……オイラも……、何となく、話聞いてて、この国の女王様が
想像出来る……、あんまり行きたくないよお~、そりゃ、女王様が
もしも黄金の果実を持ってるって言うなら仕方ないけど……」

「おや、あなた方、……黄金の果実をお探しですか……?」

「……?」

いきなり4人の前に現れた商人風の男、突如黄金の果実の話を持ち出す……。
だが、このパターンは、大概碌な展開にならない事を4人は何となく
分かっていた。しかし、ジャミルは震えながら男に黄金の果実の話を
聞いてみる事に……。

「おっさん、黄金の果実について何か知ってるのか?なら、教えてくれよ、
俺ら、黄金の果実を探して旅をしてるんだ……」

「おお、そうでしたか、これはこれは!……ですが、拾った果実は城の
女王様に貢ぎ物として送ってしまったんですよ!いやあ~、残念でしたねえ~!
お陰で私、お城で沢山お持て成しされてしまいまして、大満足です!」

「……そうか、じゃあ、俺らからもお持て成しさせて貰うよ、
……モン、やれ、許す!!」

「……シャアーーーーっ!!」

「おぎょょおーーーっ!?」

男はホラーカオス顔のモンに脅され、気絶……。モンは止めに男の顔に
屁を一発。

「畜生っ!冗談じゃねえってのっ!!城行くぞっ、女王から女神の
果実を取り返すんだっ!」

(アンタら、急ぐのよーーっ!)

「あうう~、結局こうなるんだねえ~、でも、返してくれるかなあ~……」

「とにかく又女王に食べられでもしたら厄介だよ!まだ間に合うと信じて、
急ごう!!」

「そうよ、お願い、どうか間に合って……!!」

先程、汗を落としたばかりだと言うに、4人は城目指し、再びかけっこ
開始である……。

「……み、見えた、城門前、あそこだっ!」

「待って、ジャミル!」

漸く城の入り口前まで辿り着いたが、城へと突っ込もうとしたジャミルを
アルベルトが止めた。女王と謁見するには、まず貢ぎ物が必要不可欠と
言う事を。しかも、例え貢ぎ物を持って行ったとしても、相当プライドの
高い高貴な女性らしいので、気に入られなかったら即アウト。つまみ出される
かも知れなかった。

「んな事言ったってなあ、俺ら女王の好みなんか分かんねーって……」

「いや、オイラ大体分かるよ、女の人なら……、宝石が着いてる
キラッキラのドレスとか、アクセサリーとか強請るでしょ……」

(うんっ、うんっ、そうそうっ!ヘタレ、分かってんじゃん!)

「ドレス……、キラキラの……、はううう~ん……♡」

アイシャは妄想し、目を輝かせる。いや、君が欲しがって
どうすんの……と、アルベルトは心で突っ込んでみた。

「モン、キラキラのキャンディーが食べたいモン……」

「ええかげんにせえーっ!とにかく、あんパンでも何でも、取りあえず
持って会って貰わねえと……」

……いや、女王様にあんパンは流石にどうかな……、と、アルベルトは
また心で突っ込んでみた。

「モン、あんパンも食べたいモン……」

(ふん、あんパンみたいなデケーツラしてさ!)

「……ウシャアーーっ!!」

「あのさ、オイラはたこ焼きがいいと思うんだけど……」

「……あのね、ダウド、だからそれは君が食べたい物じゃないか……」

「えへへ~……」

「いや、俺だったら今は流石にあんパンだぞ!じゃなきゃ、今川焼きだ!」

……あんパンから今川焼きへ、少しLVが上がってしまっている……。

「何だよお、絶対たこ焼きだよお!実は、たこ焼きって、殆ど、
たこじゃなくて、イカが具に適当に入れてある方が多いよね、でも、
オイラそっちの方が好き……」

「やっぱりお洋服よ、ドレスよっ!!」

「……あのね、だから君達……」

貢ぎ物の話をしていた筈が、いつの間にか今、此処の欲しい物の話に
なってしまった模様。門前の兵士は、突如現れ、ギャーギャー揉めだした
ガキ共に首を傾げた。余りにもうるさいので、追っ払ってしまおうかと
思ったが……。

「これは……、一体何事だ?」

「はっ!大臣様!」

兵が城内から出て来た男性に敬礼。どうやらこの城の大臣らしいが……。
にも、気づかず、4人は揉め事を続ける。

「この糞ガキ共、わざわざ城門前で喧嘩をおっぱじめまして……、
非常にうるさいので今、追っ払おうとしていた処なのですが……」

「ふむ、……待て……」

「え、ええ?」

大臣は4人の会話に耳を傾け、兵に静かにしている様にと言う。彼らの
会話に気になる単語が出て来たからである……。

「んな揉めてる場合じゃねえ!何としても女王と謁見して女神の果実……、
お、黄金の果実を取り戻すんだっ!!」

そもそも揉め出す原因を作ったあんたが一番悪いんじゃないか。

「……それが難しいからこうなっちゃったんじゃないかあーーっ!!」

「お前達、ひょっとして黄金の果実を探しておるのか……?」

「!?」

ジャミル達の前に小太りのおっさんがしゃしゃり出る。いかにもな、
偉そうな態度、この城の者であろうと感じたが……。

「大臣様……」

「お主は良い、少し下がっておれよ」

「はあ……」

「大臣……?って事は、おっさん!女王の側近だなっ!俺ら困っててさあ、
変な商人の親父がその黄金の果実を此処の女王に渡しちまったんだよ、
その果実を探して、ずっと旅してんのさ、頼むよ、果実を返して
くんねえかな……」

兵は態度を弁えず、べらべらと喋るジャミルに少しカチンと来ていた
様だが、それでも大臣は黙っている様に諭し、兵はジャミル達を見ながら
仕方なく黙るのだった。

「そうか、その黄金の果実を探してわざわざ此処まで……、成程のう、
だがそれは自分達で直接女王様と交渉すべきであろう、しかし、
女王様は高貴なお方、一般の旅人達などとは決して会ってはくれぬで
あろう、……其処でだ……」

「……」

「今、この城ではちょっとした揉め事が起き、大騒ぎになっておるのだ、
女王様が大変心から可愛がっておる、ペットの金色のトカゲをドジな
侍女のジーラが逃がしてしまってのう、大変な事になってしまったのだ、
どうだ?トカゲを見つけ、無事捕獲出来たなら、わしが直接そなた達と
女王様が直に会える様、はからってやるが……?」

「……マ、マジ?トカゲを捕まえるだけでいいのか……?」

「おお、わしは嘘はつかん、約束してやろう、詳しい話は下の廊下で
トカゲを探してウロチョロしておる、騒動を起こしたジーラ本人から
聞くとよいであろう……」

「よ、よしっ!トカゲ捕獲だぎゃ!ゲッコ族はどこじゃーーっ!!」

「ジャミル、中にお邪魔させて貰おう、ジーラさんから話を聞かなきゃ!」

「突撃取材だあーっ!それいけマスゴミ出動ーっ!」

「モンモンーっ!美味しいキャンディーは何処モンっ!!」

「行くわよーっ!ごーごーよっ!」

(アハハ!バカばーっかっ!)

……別にアルベルトは何も言っていないが、アホの巻き添え食らって、
サンディヒドス。しかも、モン、目的がもう既にズレている。

大臣は、城中に突っ込んで行く変な4人を見て笑っていたが……、
先程の門前の衛兵は、あーあ、あたしゃどうなってもしらんですよ……と、
言った表情だった……。

「これでよし、……誰でもいいから、あのトカゲを捕まえてくれんと
困るのだ、何せあのトカゲはユリシス女王の心からの大切な友とも呼べる
ペットだからのう、頼んだぞ……」

「ううう、アノンちゃあ~ん、アノンちゃあ~ん、何処に行って
しまったの~、お願い、いるなら、ぎゃー、ここだぎゃーって
鳴いて頂戴、……アノンちゃああ~ん……」

「あの、……あんたがもしかして、ジーラさんかい?」

「はい、私がユリシス女王様の侍女のジーラですけど……」

「俺ら、あんたから詳しい話を聞きたいのさ、行方不明だっつー、
女王のペットの金色のトカゲについて……、俺達もそのペットの
トカゲを探す手伝いがしたいんだよ、何か力になれればと思ってさ……」

「え、えええっ!?」

ジーラは城にいきなり現れた4人組を見てきょとんと。していたが、
すぐにジャミル達に事情を話し、トカゲ探しを手伝って貰う事になる……。

zoku勇者 ドラクエⅨ編 37

zoku勇者 ドラクエⅨ編 37

SFC版ロマサガ1 ドラクエⅨ オリジナルエピ 下ネタ オリキャラ ジャミル×アイシャ クロスオーバー

  • 小説
  • 短編
  • ファンタジー
  • 冒険
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-02-08

Derivative work
二次創作物であり、原作に関わる一切の権利は原作権利者が所有します。

Derivative work