ボルツマン脳
彼は、今、公園を散歩している。
空は晴れ、日差しはとても暖かい。
彼が息を吸い込めば、すがすがしい風が運ぶ緑の香りを感じて、季節の変化を知るだろう。
すべては、彼の世界。
これが、彼のすべて。
他のことは、関係がない。
なぜなら
彼は、すべてなのだから。
ゆえに
彼は彼である。
無から宇宙が生まれたように、遠い未来に現れるかもしれないボルツマン脳は、すでに在って、それは、この世界そのものかもしれない。我々も彼のように、その中で夢を見ているのかもしれない。もしも、そうなら、我々は、気づかないだろう。水槽の脳のように。
ボルツマン脳