姉と弟と病気と
はじめましてまたはお久しぶりです。
今回は感動ものを狙いました。まあ見てあげてください
ここは公立中学校の一つ。
そして私が通う学校。
小中一貫教育のため全体の人数は少ない。中学校全体で300~350といったところだろう。
私は今年中学三年生になったばかりの「武藤 巫月」という女子生徒。
私には10歳離れた弟がいた。その弟は来年小学1年生になるというかなりの年の差だった。
最近、巫月は咳き込むようになっていた。
春だし、季節の変わり目といったところで体調を崩したのだろう。そして最上級生ということに緊張と不安と喜びなどがあって混乱しているのだ。
それに今年は受験生なのだ。巫月のように体調を崩すのは珍しくはないことなのである。
「最近咳き込むんだよね。美希もそう??」
巫月の幼馴染でずっと一緒に過ごしてきた、親友であり幼馴染の「佐藤 美希」だ。
「うーん、季節変わってちょっと調子悪いけどでも咳はないかも。花粉がひどいかな。」
と、美希は言う。この時期は花粉がひどいのは確かだ。実際、巫月も悩まされているものだ。
「花粉ねえ、わかるよー。でも咳き込みが止まらんで困ってるんだよね。」
「咳だったらなんか薬飲んだりすれば治るかもよ?」
「そうかもねー」
と、曖昧な返事を返しておいた。
体育の授業が一番嫌いな巫月であった。中学校に入ってから調子が上がらず、すぐに疲れるようになってしまったのだ。
歳のせいとか、運動不足のせいだと思っていたけれど。文化部の中では体育会系の吹奏楽だった。
そんな体育の授業が始まってから異変が訪れた。
今日は持久走で、校庭を10週するというものだ。同じペースで走るというのがまたキツイ。
「はぁ・・・はぁ・・・・」
巫月はもう倒れそうな感じだった。周りもそうだと思い、自分を勇気づけていた。
しかし、そんな巫月にふとかけられた友達からの声。
「みーずーきー顔真っ白だよ??走るのやめたほうがいいんじゃない??」
巫月は顔が真っ白というのがあまり想像つかなかった。
「まじか!でもちょっと頑張ってみるねー」
「気をつけてよーまじで怖いほど白いよ。血の気ないよー!」
「はいよー」
巫月はあとから後悔した。案の定、フラフラして目の前がぐにゃぐにゃしている。
走れるかわからなかった。少し歩いてしまった。
そしてゴールした。倒れるように座り込んだ。何が起こってるのかもわからないほど頭が真っ白だった。
「巫月、大丈夫??まだ顔真っ白だよ??」
「だ・・・・・いじょうぶじゃない・・・」
正直、わからないけど涙が出そうなほど辛かった。疲れた。
どうしてか、その時はまだ知らなかった。
7月19日
巫月に異変が起き始めたのはこの頃からだろうか。
急に心臓、肺、胃、らへんと、曖昧だがそこらへんが痛くなった。
痛くなったと思ったら収まる、それが何回も続く日々が過ぎてった。痛みは日に日にエスカレートしているような気さえした。
そして時は流れ、ついに冬になってしまった。
12月23日
巫月は病院を訪れた。あまりにも痛いせいでろくに勉強ができないためだ。ただでさえ受験勉強で忙しいのに、痛みに邪魔されるわけにはいかない。
小さな病院だから、詳しいことはわからなかった。レントゲンや心電図をとったが、異常はないようだ。ただ、心臓が膨らんでるように見える、と言われた。
ぶれたせいだと思っていた。
しかし、そのあとすぐに大きい病院を紹介された。
市民病院だ。大きい病院であまり好きではなかった。看護師や医者が冷たいからだ。仕方ないとはわかっていたけれど。
「あまりにも不定期で曖昧すぎて判断がつかない。精神的な問題だろ。よくいるんですよねぇ、娘さんの年頃って。」
正直、巫月はイライラしていた。この医者の顔に、態度に、話し方に、すべてに。
看護師の足を舐めるような目で見るようなところももちろん。
そして診察が終わったあとに、会うこともないだろうと思い、小さい声で一言呟いた。あまりにも不愉快な気持ちになったからだ。
「不愉快にさせてしまうその態度、なんとかならないのかなぁ」
と。まるで独り言のように。
巫月は少し気分が晴れたような気分がしていた。
巫月は無事に高校に受かった。
偏差値は普通のごく一般の高等学校だった。幼馴染の美希は同じ高校に入るといい、本当に同じ高校に入ってくれた。
「よろしく。私、如月 アリアンっていうの。みんな、あいだを取ってリンって呼ぶわ。ハーフなの。」
前の席のハーフという如月さんが話かけてきた。
「こちらこそ。私は武藤 巫月っていうの。みんな普通にみずきって呼ぶわ。みずきてぃーって呼ぶ人もいたけどね。」
そんな自己紹介から始まった会話はだんだん大きくなっていって6人くらいの輪になっていた。
入学式そうそう、こんな友達ができるとは思ってなかったのでとても嬉しい気分だった。
それにこの高校の制服は可愛いと有名だったのでものすごいテンションが上がっていた。
しかし、それも今のうちだけだったということをあとになり思い知らせれることになった。
6月18日
巫月はまだ痛むので病院を訪れていた。
「こんなに長く続く患者はあなたが始めてですね。同年代の方もよく同じ症状で訴えてくるのですがね。」
今回の医者はとても優しそうな若い先生だった。巫月の顔もあの時とは違い、明るいものだった。
しかし、かなり悩んでいるようだ。精神的なものではないと判断したのだろうか、ほかの医者と相談している。
だけど結果は曖昧だった。まだ今度来れるときに来るようにとそれだけ言われた。
巫月の弟が家に友達を連れてきた。偶然なことにその友達のお兄さんが私と同級生で同じ学校だった。小中一貫ならわかるが高校も一緒とは偶然すぎる。
弟は新しい友達だと言った。小中一貫校の私の学校だったところは1年に1度、クラス替えをするので小中一緒ならいろいろな人と友達になったほうがいい、とかいう理由だろうか。
そんな巫月の高校生活は充実していてアリアンたちと毎日のように遅くまで遊んで帰った。
巫月の状況は最近さらにひどくなってきてしまった。痛くなったら息すらまともに吸えない。最近はちゃんと時間もわかるようになり、ご飯のあとに決まってなるということがわかった。アリアンたちに心配をかけているかもしれない。と巫月は心の中で思っていた。
「最近、ひどくなってない?大丈夫なの?」
アリアンは心配そうな顔して巫月の顔を覗き込んだ。
「大丈夫だよーこれくらい。あと数ヶ月もしたら治るんだって。」
巫月はこれくらいと呼べるレベルではなくなってきてしまったが心配をかけたくないと思った巫月は大丈夫と自分の中にも言い聞かせていた。
「そうだねー。これから青春満喫するのにねー彼氏とか出来るかもしれんのに。まあ体には気をつけてよね。
そういったのは巫月の友達、望月 安那。この中では一番大人な気がする。いろいろと。
「彼氏ねえ・・・・欲しいけど・・・・相手がねえ。」
「生意気ねー。あいつとかあいつとかあいつはどうなのよーフリーって聞いたよ?」
「あいつじゃわからんし!名前あげてよー。」
「ちょっと、私にも紹介してったらー今彼氏募集中なんだってー!」
そんなことを言い合いながら笑っていた。
8月に入って一週間くらい経ったとき、巫月は例の痛みで倒れた。その頃の巫月は彼氏もできていて弟の友達のお兄さんだった。名前は 佐藤 蒼輝。とても頼りがいのある彼氏。
巫月は入院して今、原因を調べている。
「まさか倒れるとはね。顔色はいいようだけど・・・・」
蒼輝がお見舞いにきていた。
「本当。まさかだよ。余命とか宣告されたらどうしようね・・・・?」
「縁起でもないこと言わないでくれよ。そんなこと宣告されたら俺、泣くし。」
と、冗談のような本気のような顔で蒼輝は言う。
「泣いてくれるの?優しいね。まあないと思うけど。」
「まあな。」
ガラガラとドアを開ける音が聞こえると看護師と医者が入ってきた。
「まあ、今のところ命に別状はないけど今のところは、、、、安静にするように。激しい運動は避けてね。授業で体育とかあるだろうけど受けないように。あと、痛みは薬じゃどうにもできないんだ。今のところ、、、ね。痛くなったら無理しないで。」
「はい。」
「ここで言ってしまうけど、詳しく調べて検査の結果しだい、長く持つかどうか、、、、。」
蒼輝の顔はますます血の気が引いている。
「はい。それなりに覚悟はしておきます。」
「そういうことです。では、、、失礼。」
そういうと看護師と医者は巫月の病室から出て行った。
結果はあと4年もつかどうか、だそうだ。このことはみんなに言わず、巫月の中に隠すことにした。それから1ヶ月が経った。
「最近、巫月痩せたー?顔らへんとか!」
「まじか。ダイエットとかしてないけどねえ?」
気のせいではないと言われて気づいた巫月は少し不安な顔になる。
「まじ?でも痩せたよ。」
「痩せたのは嬉しいけどねえ。体力がどうも、、、。」
痩せたと言われ、巫月は少しだけ嬉しいという気もしていたが、安心できることではないと悟っていた。
「体力落ちたとかさ、おばさんじゃないんだからーやめてよね。」
「やーだー。疲れてるだけだってば。」
「わかってるって。」
巫月は自分に言い聞かせる。「そう、疲れてるだけだから、なんともないんだから。気にしてたらさらに悪くなるだけだわ。」
あれから2年の月日が経った。巫月たちは高校3年生になっていた。相変わらずあのグループで今でも遊んでいるて彼氏も一緒。
巫月はあと2年くらいの命。死が近づく巫月は少しだけ、恐怖感を感じていた。
「よし!今日は巫月の誕生日だし、パーっとカラオケでも行きますか!」
「誕生日でカラオケー?」
安那はちょっと不満げに言う。
「ちょっと、お金無いんだから!あ、皆で割り勘ね。」
「そんな、別にいいのに。でもカラオケいいんじゃない?」
「決定!どこのカラオケにする?そういや駅前のとこ、新しい機能ついたってきいたよ?」
「テクノとか男とか女声ってこと?」
「そういうこと。そこにしない?ね?」
新しい機能がついてるなら是非行ってみたいということで決定した。駅は学校から歩いて10分程度のところでカラオケ店は駅の手前にある。
6時から入って9時まで歌っていた。
巫月は家に帰ると「ただいま」と行ってすぐに風呂に入っていった。
「ふう・・・・」
風呂に1時間入ると、夕食は済ませてあるので歯磨きやらなんやらしてから寝る準備に入る。
「お姉ちゃん、今帰ったの?」
弟の優樹が声をかけてきた。弟も小学4年生になっていた。
「1時間くらい前に帰ったよ。寝たら?」
「まだ寝ない。パソコンちょっといじってから寝る。」
弟は最近、巫月に似てきたせいかパソコンをいじるようになっていた。
「あんま遅くなんないようにしなよ。餓鬼。」
巫月は弟を見下すように言う。それがかんにさわったのか、
「わかってるっつーの、ババア。」
「誰がババアよ。」
巫月はそう言い残すと2階へあがって布団へ入った。
いつも弟にはきつくあたってきて、蹴ったりしていて、軽蔑するような目で見ていたことも結構あって、優しくするのは2ヶ月に1回くらいだった。
なのに、弟は巫月のことをとても信頼していて、いつも近くに居る。でも最近は生意気のようだ。
「そろそろ優しくしないとなあ。」
巫月は布団の中で小さく呟いた。
巫月は夜が明けて明るくなり始めた頃、ペンを持ち、紙に文字を書き始めた。それは弟、母、父、蒼輝、アリアン宛の5通の手紙だった。
それを書いているとき、巫月は何度も泣いていた。。
そして手紙を書いているうちに皆が起きてきた。巫月は自分の部屋の鍵付きの引き出しにしまい、1階へ降りていった。
そしてここ最近だろうか、巫月の様子がおかしくなり始めている。時には絶望に満ちたような顔になったり、いきなり教室を飛び出ていったり。
その異変に気づいたのはアリアンと蒼輝だった。2人は、親友と恋人ということもあり、しばしば仲が良かったようだ。
アリアンは思いつめたような顔をして
「最近、巫月の様子がおかしい。変わっちゃった。あの頃の巫月はどうしちゃったんだろって感じで・・・私どうしたらいいんだろう?」
「俺も最近思ってたんだ。でも、ここで余計な励ましはしちゃダメだ。巫月が逆に辛い思いするかもしれないだろ。」
アリアンは蒼輝に巫月の異変について相談しようと思い、呼び出していた。
「辛いことって何?何か・・・巫月にあるの?」
蒼輝は数秒の沈黙のあと、口を開いた。
「ちょっと待ってくれるか。巫月に電話がしたいんだ。」
「うん。」
巫月は今日、なんの連絡もなしに学校を休んでいた。巫月はずっと部屋に閉じこもったままだ。
『もしもし・・・・?』
「話があるんだ。」
『話?うん。何?』
「今、アリアンと居るんだけど、アリアンはお前の一番信頼できる親友だよな。」
『そうだよ。ものすごい信頼してる。』
「うん。わかったよ。じゃあ・・・・本題に入るけど。」
『うん?』
「アリアンだけにお前のこと、言えないか?』
「え?病気のこと?余命のこと?』
「両方さ。」
そして数秒沈黙したあと、巫月は決心したように
『アリアンだけ・・・・アリアンだけならいい。信頼してるから。お願いする。』
「わかった。両方いいんだな。切るよ。」
『うん。またね。」
そこで蒼輝と巫月の会話は終わり、蒼輝はアリアンの方をみると、深呼吸をして
「巫月に許可をもらった。アリアン、お前は巫月の一番信頼してる親友だ。お前だけに本当のことを話そう。」
「わかった。だけどここじゃ場所が悪いから、公園にしてくれないかな。」
「あ、うん。移動しようか・・・」
蒼輝とアリアンは学校近くの公園のベンチに座り、蒼輝が話し始めた。
「さっそく話すけど、巫月は病気でさ、俺の聞いたときはあと4年が余命だって話しだったんだけど、あれからもう2年経ってしまった。だから巫月の余命はあと2年なんだ。これが今、巫月が悩んでることなんだ。」
アリアンはいつの間にか涙を流し、まだ信じられないような状態だったが、数分すると事実を知ったことを受け入れたように、また涙が溢れ出してきている。
「このことは誰にも言うんじゃない。お前を信頼していったことなんだ。」
蒼輝の目にはうっすらと涙がうかんでいた。
「わ・・・わかった。言わないよお。言えないよ・・・・こんなこと・・・」
アリアンは落ち着くと、家に帰っていった。
あれから楽しいことがいっぱい巫月にはあった。数年分の思い出が出来たようだった。だけど、巫月には解っていた。
そして月日は経ち、2年の月日が流れてしまった。
巫月は余命の日から2ヶ月が過ぎて、元気に暮らしていたため、医者には
「これは奇跡かもしれない。余命の日から2ヶ月過ぎているにもかかわらず、とても元気な様子じゃないか。もしかしたら・・・・大丈夫かもしれない・・・・・しばらくは安静にしていてください。でも学校には行って大丈夫です。」
巫月、母、父その場にいた家族が全員涙を流した。
巫月は診察室を出て、病院を出るとすぐに蒼輝に電話した。
『はい?蒼輝だけど・・・』
巫月の鼓動は早くなっている。
「もしもしっ!蒼輝っ・・・あのね・・・私・・・」
『・・・うん・・・』
「学校行ってもいいって・・・・奇跡だって・・・・まだわからないけど・・・大丈夫だって・・・・」
『う・・・・っう・・・・・・み・・・巫月・・・・よかったぁ・・・・』
蒼輝は涙を流し、声が途切れてしまう。
巫月は涙が止まらず、ボロボロこぼれていた。まだ精密な検査が残っているけど余命を超えられた事実、元気に過ごせている事実、改めて実感できた。
「これからアリアンにも電話するから・・・・切るね。でも、まだまだ検査あるから1週間は行けないかもしれない。」
『わかった・・・俺・・・涙止まんねえよ・・・・1週間後待ってるから!!!』
吹っ切ったように蒼輝が言う。
「うん・・・またね」
巫月は電話を切ると、アリアンに電話して事情を説明した。アリアンは蒼輝より泣いていてまともに声も出ない様子だった。
そして1週間の精密な検査が終わり、結果は「可能性はゼロではないが、無いに近い。とても良好な状態で、学校に行ってもいいが体育などは控えるように。」とあった。
巫月は学校に1週間ぶりに行った。
「おはよっ。」
「みずきいいいいいいいいいい待ってたんだよおおおお!!!」
アリアンが半泣きで抱きついてきた。周りの人たちがものすごい驚いてる。巫月は急に恥ずかしくなってアリアンを引き離した。
「やめてよー。元気だって。これからもよろしくぅ。」
「うん!!今日は新しくできたショッピングモールに行こうぜ!!!ね!みんな!」
「うん。いこう!」
いつものメンバーが声を揃えて行った。
あれから半年が経って、巫月はもう余命のことなんて忘れかけていたし、つぎに遊園地を蒼輝と二人きりで行くことになっていた。
「あ・・・・蒼輝にメールしとかないとなあ・・・・」
巫月は今、家に帰る途中で歩いているが、歩道側が青信号なので大丈夫だろうと思い、歩きながらメールを打っていいた。
すると、そこに信号無視のトラックが突っ込んできた。
「わっ危な!」
巫月はギリギリでよけることができた。ほかに怪我した人も居なかった。メールを打ちながら歩くのは危ないと思い、一回止まって全部打ってから送信した。
「ん・・・ああ巫月か・・・なんだろ・・・」
蒼輝は弟が見せたいものがあるからとわざわざ電話で呼び出されたので今、言われた場所に向かっているところだった。
「今度のデートのことか・・・」
姉と弟と病気と