花影
「大人になっても憶えていて」
ーーそう言ったのは
そう言っていたのは。
記憶を覗いてみる
殻の中を
綺麗な景色が見える
その真ん中に、キミ
間違えた と焦ったけど
きっと正解だよね
顔を上げたその面影
記憶と重なった
「何をしているの?」
「、花を見ていたの」
「でもそこには花なんてないでしょう?」
「、見ていたのは影」
月光が奪って逝く
花影、それとキミの名前
困難だと知っていても
僕は笑っていられた かな
ポリフォニー:邪血の教会
響いたのは誰の声
土で汚れた膝を診せて
ああ、音色、音色、キミの答えは。
華麗に咲いた花びらを
1枚1枚
千切って捨てる 単調な
リズムを狂わせる、キミ
周りには何もない世界で
一本の世界樹を
まるで兄妹の様に信じて
知らない歌を謡う
「花の命は軽いのね」
「、花は知ってるの」
「千切られたこの子が何を知るの?」
「、自分の終わり」
月光が満たして逝く
花影、それと僕らの日暮れ
完成手前の絵を破いた
僕は笑っていられた かな
ループ・タウン:螺旋の戦火
巡るだけの時間に
汚したのは白いワンピース
ああ、音色、音色、キミの想いは。
「曇天」といえば天に悪いほどの
狂った季節が襲って
僕とキミ以外は 全て無くなった
花も木も その影も
何も残らなかったこの場所で
きみだけは、ずっと 輝いて
「花に名前をつけてよ」
「、無くなった花に?」
「その名前をキミの名前にしたい」
「、私の名前。」
「あの日キミが見ていたのは」
「、木が産んだ影」
「どうして花を見なかったの?」
「、私は知っているから」
短い命が消えて逝く
産まれて、また 消えてく
そのループの中で
ひとりのわたし
雄大な木だっていつかは
枯れて折れるだろう
だから私は、見ない
見たくないの 全てを
私に名前があったのなら
どんなに嬉しいことだろうか
…私の名前はーーにしよう
「大人になっても、憶えていて」
この花の名前を。
ーー私の名前を。
月光が奪って逝く
花影、それとキミの名前
困難だと知っていても
僕は笑っていられた かな
ポリフォニー:邪血の教会
響いたのは誰の声
土で汚れた膝を診せて
ああ、音色、音色、キミの答えは。
音がして
事が過ぎて
目が覚めて
誰もいなくて
ずっとずっと待っていたんだよ
思い出してくれるのを
部屋の窓
一輪の花
この花の名前は何だっけ
「ああ、その花はね
その花の名前はね」
影になったキミがひとり
想い出は満たされていく
さよならだって 笑えるよ
だってキミの名前は
僕の名前は。
花影