『思惑』
排水溝に吸い込まれてく白と赤のマーブル
綺麗だねと言ったら貴方は眉を顰めた
『思惑』
選ばれた貴方は少し可哀想
アタシみたいなのに躓いて
ラブの付かないホテルの部屋で
うんと爪先立つキスはお酒の味
甘いのしか飲めないアタシが
初めて知るウィスキーの匂いに
くらりとすれば腰に回る腕
案外強めなそれにまた目眩
早く知りたいからが理由ではなく
早く捨てたい訳でもなく
ただ貴方に出会ってしまったから
捨て身くらいじゃなきゃ手に入らない
何もかも脱ぎ捨てても子供に見える?
胸は大きい方だけど自信はない
貴方の手の、指の、余りの繊細さに
夢見心地で身を委ねるだけ
こんなのでもいいですか
こんなアタシで大丈夫ですか
頭を占めるのは恐れと疑問
ちゃんと女として見れていますか
貴方の眉間の皺が深くなり
なんとはなしに安心なんかして
作為的にシーツを掴んで涙ぐみ
見上げれば少しは興味を引けるかもなんて
男の人とお風呂に入ったのも初めてよ
言葉少なに頬を撫でてくれる貴方が好き
朝になるまで居てって我儘を聞き入れて
アタシを抱き締めて眠る貴方が好き
責任とってねなんて言葉にはしないけど
無言の圧力で貴方を手に入れる
計画は完璧に頭に入ってるの
勝負はこれから
何がなんでも貴方を手に入れる
『計画は完璧、用意周到に君を手に入れる』
『思惑』