『The Point of No Return』

ウエストエンドで恋をして
鼻歌まじりの車窓に夜の灯り


『The Point of No Return』


ホテルまでの短い旅は
貴方の肩にもたれて熱いため息
妬けると言うけれど昨夜の
あの熱を忘れたとでも言うの?

随分早く生まれてしまったと
本気で悔やむような言葉は
アタシを舞い上がらせたけど
本当はそんなの気にしてないでしょ

音楽の天使は必要じゃない
必要なのは偏屈で困った貴方
恋したアタシは幾らでも
喜ばせることを口にできるわ

何処から来て何処へ行くのか
今までの貴方を全て知ったとして
これからを縛る権利はいつまで
どの程度有効なのかとか

怖がりな貴方が平気な顔をする度に
抱き締めて髪を撫でてあげたいけど
同じようにアタシが怖い時
そろそろと黒髪を梳いてくれる指

大きな手が余りに繊細に優しく動く
この瞬間のためなら命も惜しくない
そんな激情を言葉にはしないで
ただ口づけを強請る少女のように



「ひっそり心に決めてもう戻れない戻らない」

『The Point of No Return』

『The Point of No Return』

  • 自由詩
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-01-19

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