異世界に行ったけど、食堂のおばちゃんになった？！美食で神の加護を得て、のんびりとした異世界生活！

第一章：異世界で目覚めた食堂おばちゃん

私は何気なく目を閉じた瞬間、突如として目の前の景色が変わった。気がつけば、見慣れた自分の部屋はどこにもなく、代わりに広がっているのは青く澄んだ空、緑豊かな草原、そして目の前に建つ赤い屋根の小さな食堂だった。

その食堂は、どこか懐かしいような、そして奇妙な雰囲気を醸し出していた。どうして私はこんなところに？ 何が起きたんだろう？ 頭の中は混乱し、ふと下を見て自分の姿に気がついた。

「えっ……？」

私は食堂のおばちゃんになっていた。普通の服ではなく、エプロンをつけた、いかにも料理をしているような姿。食堂の前には、小さな看板が掲げられている。『美味しい料理で、元気になろう！』と書かれたその看板は、どこか心を温かくするメッセージを放っていた。

すぐに自分の置かれた状況を把握しようとしたが、どう考えてもこれは夢ではなかった。現実世界から異世界に転生したということが、次第に実感として迫ってきた。

「はぁ…どうしたらいいのかしら。」

私はとりあえず、この場所を何とかしないとならないと考え、食堂の中に足を踏み入れた。中には簡素なカウンター席とテーブル席があり、壁には見慣れない食材の瓶や、異世界の特産品と思われる道具が並んでいた。どうやら、この食堂は私が経営しているらしい。前の世界での記憶はしっかりと残っているので、料理に関しては心配はなさそうだ。

「さて、何を作ろうか…」

異世界の食材を見渡しながら、私は考えた。まずは現実世界で作り慣れた料理を作ることに決めた。冷蔵庫にあるような、普通の食材で作れる料理だ。とりあえず「カレーライス」を作ることにした。

私は食材を手に取りながら、カレーのルーを作り始めた。カットした野菜、肉を丁寧に炒め、スパイスを加える。煮込んでいる間に、香りがどんどんと立ち上り、厨房が心地よい香りで満たされた。

やがて出来上がったカレーライスを、まずは自分で味見してみる。「うん…これ、間違いなく美味しい。」現実世界で作ったものと何ら変わりない。味のバランスも完璧だ。

「さて、誰か来るかな？」

私がそう思った矢先、食堂の扉がガラガラと開き、異世界の住人たちが入ってきた。彼らは好奇心を抱えた顔で私を見つめている。どうやら、この異世界の人々にとって、この食堂は珍しい存在らしい。

「ここで食事ができるのか？」

「ん…香りがすごい、何だろう？」

私は微笑んで答える。

「はい、どうぞ。今日のおすすめはカレーライスです。ぜひお試しください。」

食堂に入ってきたのは、冒険者と思われる男性と、村の住人らしき女性だった。彼らは興味津々で席に座り、料理を待っている。

数分後、カレーライスが二つの皿に盛られ、テーブルに運ばれる。彼らはそれを一口食べてみた瞬間、目を見開いて驚いた表情を浮かべた。

「これ…何だ！？こんなに美味しいものは初めてだ！」

「こんなカレー…こんな料理は、異世界では見たことがない！」

その反応に私は少し驚きつつも、心の中で嬉しさが込み上げてきた。美味しい料理を作ることが、こんなにも感動を生むのだと、改めて感じた。

「本当に美味しい！これが異世界の食事だなんて、信じられない！」

料理を食べながら、冒険者の男性がそう言った。その言葉に私は思わず照れくさくなったが、心の中では嬉しさがいっぱいだった。

しかし、そんな穏やかなひとときが突然壊れることとなった。食堂の外から、大きな足音が近づいてきた。異世界の人々がその音に気づき、急いで外を見やる。

「まさか、あれは…？」

私は戸惑いながらも、食堂の窓から外を見ると、見たこともないような魔物が近づいてきていた。それは、低級の魔物で、爪が鋭く、血走った目を持っている。しかし、その魔物は何かに引き寄せられるように、私の作ったカレーの香りに反応しているようだった。

「まずい…！」

私は急いでドアを閉めようとしたが、その瞬間、魔物がドアを破って入ってきた。恐怖に駆られた私の心は、どうしていいかわからなかった。しかし、その時、異変が起きた。

「その香り…まさか。」

突然、魔物がピタリと動きを止め、空気が張り詰めた。次の瞬間、まるで時間が止まったかのように、異世界の空気が変わった。魔物が背後を振り向くと、大きな影が迫ってきた。

その影は、金色の目を持つ、翼を広げた巨大な魔物だった。まるで神々しい力を持つかのような、威厳を放つ存在だった。彼は低く声を発した。

「その匂い…お前が作った料理か？」

その言葉に、私は言葉を失った。

「お前の料理には、神の加護が宿っている。その香りは、私の力を引き寄せる。」

その魔物は、私の前に降り立ち、周囲を見渡した後、静かに言った。

「お前の料理は、異世界の食事とは一線を画す。私の力の源になれるだろう。」

その言葉に、私は呆然としながらも、少しずつ理解し始めた。どうやら、私の料理には神の加護が宿り、それが魔物にとっても特別な意味を持つらしい。

「お前の料理を食べることで、私は力を得る。」

その魔物は、私が作ったカレーライスを一口食べ、満足げに頷いた。

「これで、私は新たな力を得た。お前が、この異世界で生きる力を与えてくれたのだ。」

その後、私はその魔物から、異世界での生活に必要な知恵や技術を教わり、食堂を営むことができるようになった。そして、私は異世界での生活を楽しみながら、美味しい料理を作り続け、神の加護を受けて過ごすことになった。

異世界の食堂おばちゃんとして、私は今日も美味しい料理を作り、元気を届ける。そして、どんな困難があっても、私の料理が誰かの力になれることを信じて、料理を作り続けるのだった。