失恋エスプレッソ

昨年のクリスマスの翌日、私は元彼にフラれた。

夜にいきなり、結婚は違うと思ったからやっぱり別れたいとLINEがきて、訳がわからなかった。
だって、結婚をせかしたつもりは全くなかったから。

その後、話し合いを重ねても結局彼の気持ちは変わらず、元には戻れなかったが、その時はとにかく訳もわからず、そしていきなりすぎて、精神状態は最悪になり、何もやる気が起こらなかった。
翌日も、本当は仕事に行く気力もないくらいの精神状態だったが、仕事納めだからと、無理矢理出勤してなんとか働いていた。

そんな私は、昼休みに移動販売のコーヒを屋さんでコーヒーを注文して飲むことにした。
しかしその日は、どうしても、カフェラテやカフェモカなどを飲む気分にはなれず、私はエスプレッソを飲むことにした。
なぜなら、エスプレッソには苦味があるのを知っていて、今の私にはこれだと思ったからだ。

自分を取り繕ってなんとか平静を装い、注文して飲んでみると、普段よりも苦く感じた。
そしてそのエスプレッソは、失恋の味がした。

普段より苦く感じたのは、普通のブラックコーヒーをよく飲んでいる私が、苦味のあるエスプレッソをチョイスしたからなのか、それとも、失恋の影響で一段と苦く感じたからなのかはわからない。
でも私は、これが失恋の味か、と、やっぱり失恋直後のコーヒーは一段と苦いな、と、そう思った。

多分私はこれからも、エスプレッソを飲むたびに、その時の味を思い出すのだろう。

失恋エスプレッソ

失恋エスプレッソ

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-01-08

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