チートな俺がまともに戦うはずがなかった件について。
主人公... 不登校・引きこもり・顔面評価は中の下。
とあるネトゲの世界ではチート技を駆使し、最強の座についている。
ネット関係についてはめっちゃ詳しい。なぜか。
不登校+引きこもり+チート=俺
カタカタとキーボードを軽快に叩く音。
ゲームの効果音。
たまに「デュフフ……」という気持ち悪い声。
それが、この部屋で聞こえる全ての音と言ってもいい。あと、ごく稀に俺の独り言。
「デュフフ……弱い、弱いよ、弱すぎる!!これじゃあ、俺の相手なんて100万年早いなぁ!」
このときの俺は、浮かれていました。はい。恥ずかしさで死にそう。(/ω\)ハズカシーィ
カタカタカタ……カタカタ……カタ……ピロンッ
『チートのくせに偉そうにすんな!』
『BANされろ!運営は何してんだ!』
『運営仕事しろー!』
『おまわりさんコイツでーす!チート野郎を捕まえてくださーい!』
チャット機能もあるこのゲーム。俺のもとにはいつもこんなコメントがくる。ない、こいつらは俺の強さには足元にもおよばないからって、嫉妬してんだよ。きっと羨ましがってんだ。きっとそうだ。
しかし俺はネットのことにいついては詳しい。偏った知識だけはあるんだ。それを駆使した俺は、チート行為をしたという証拠もない。
まあ、ちょっと強くなりすぎてチートって気づかれつつあるんだけど。
今日も俺のゲーム生活は平和です。
ちなみに俺、17歳。高校生。学校?行ってない。行きたくないし?行っても意味ないし?あんな低脳なやつらの群れに入れって?無理っしょ。俺ほどにもなると、学校なんて意味がないんだよ。
そんなわけで、ゲーム世界に居座ること早1年。ネットは小学校に入ったばかりのころから使ってるし、知識もあるし、そのことだけはめっちゃ勉強したし。ネットっていうか、機械のことについてだけは、並外れた知識があると自覚している。それだけです。はい。
今日もゲーム世界は平和だなぁ。何事も、平和が一番だね。平和ほど素晴らしいものはないよ。ラブアンドピース。
ピロンッ
『あなた は せかい を すくえます か ?』
なんだ、これ。いきなり変な表示が出たぞ。イベントか?でもこんなイベントやるだなんて、聞いてない。
世界を救えますか、か。まぁ俺ほど強いやつならできるだろうな。むしろ俺より強い奴なんてこの世界にいるのか?
てなわけで、迷わずYesを選択。ポチッとな。
『あなた を ゆうしゃ として REVISION へ しょうかん します』
?
何が起こった。しょうかん……召喚?そもそもこの英語はなんと読む。わからん。俺は日本人だから、英語は必要ないはずだ。つまり勉強していない。
そんなことを考えるまでもなく、パソコンの画面から手がでてきました。
そして、引きずりこまれました。
へぇ、パソコンって、画面から入れるのか。
……そんなわけないだろ!!
ツッコミをしている間に、完全に引き込まれました。
続くのか?
画面の中+衝撃=異世界
「ああああああああああぁあぁあああああぁあ!!へぶっ」
画面から突然手が出てきて俺を引きずりこみ、中へ入ってしまった俺は今、謎の手に頭を掴まれたまま地面へ叩きつけられました。あ、死んだ?俺、普通の人間だし。めっちゃ強いのはゲーム内の俺の分身であるキャラだけで、俺自身はむしろ引きこもり生活で弱体化している。
……短い人生だったな。学校行ってない上にもともと成績悪いし、運動神経ないし、顔だって……中の下ってとこだし。
母さん、父さん、今までありがとう。こんな駄目な息子をどうかお許しください。来世ではちゃんとするから。頑張るかr
「おいこら!いつまで地面に頭を埋めたまま寝ているつもりだ?肺活量すごいな、お前。ほら、さっさと地面から頭を抜け。……仕方がない、この俺様が手伝ってやろう。よっ……と」
簡単に抜けました。空気ウマー。口に土が入って超マズー。
「お前か?『駄亡刈夛狼』とやらは……。なんて読むんだ、これは。本当に名前なのか?」
……うわー超恥ずかしい。最近「チート」とかって呼ばれてたからなぁ……。改めてハンドルネームを呼ばれると、めっちゃ厨二って感じ。ちなみに『たなかたろう』って読みます。本名、田中太郎です。ほら、カッコイイ漢字とか付けたくなるじゃん。
「どうした、何か喋るがいい。駄亡刈夛狼よ」
後悔した。めっちゃ恥ずかしい。キャー。目が覚めた気分だ。
とりあえず、俺の目の前で何か言ってる人は、ものすごく美形でした。
続く価値はあるのか?
異世界+説明=混乱しながらも理解
「駄亡刈夛よ、大丈夫か?」
キャー恥ずかしい。自分がカッコイイと思ってつけたハンドルネームって、たまに恥ずかしいのもあるんだよね、自分じゃ気づかないけど。
「駄亡刈夛狼よ、大丈夫か?」
にしても、なんだこの美青年。男の俺から見てもめっちゃキレイだ。まるで少女漫画から出てきたような――
「駄亡刈夛狼よ、大丈――」
「あ゛ーーーー!!大丈夫、大丈夫です!つーか、なんで同じことばっか喋ってんの!?」
「気づいていたか。私(わたくし)の名は、アンナ=イニン。駄亡刈夛狼をこの先の城へ連れて行くよう、指示された。私に付いて来い」
「……はい?」
城?アンナ=イニン?アンナイニン……案内人?なんだこれ、なにこれめっちゃ単純な名前。案内人だからアンナ=イニンって(笑)
つーか、俺の質問は?無視?無視したよね?
「何をしている。付いて来い」
ここはどうするべきだ。そもそもここどこ。確か地面に埋まっていた。その前。その前、俺は何をしていて、どこに居た?
……そうだ、俺の部屋。俺は部屋に居た。それで、ゲームをしてた。で、なんかへんな表示がでてきて、yesを選択した瞬間に画面から手が出てきたんだ。え?つまり、ここどこ?パソコンの中?え?
「何をしている。付いて来――」
「あの!!ここの場所は、どこですか!?」
「この場所はREVISION第一国。只今、この世界は魔王が一年前に復活してからというもの、魔王がその強大な力を持て余して――」
「ちょ、ちょっと待って!魔王って何!?なにそのRPG的なの!」
REVISIONって……(読めない)。そういえば『召喚』とかって表示されてたような。
つまりなんだ、俺は異世界にでも召喚されたってことか?うん、ありえねーよ。そんなこと起きるわけねーよ。
「――――この世界の中でも特に力の強い魔術師が数十人で召喚術を行い、そしてこの世界でこの世界を操っている奴らの中で一番強い者を呼び出して勇者にしようとのことだ。それがお前、駄亡刈夛狼だ」
なんか考え込んでる間に説明された。そういえば忘れてたけど、俺がやってたゲームの世界の名前が『REVISION』っていうような。読めないから気にしていなかった。今更っていうか、今思い出すとか。都合良いな、俺。
…………ちょっと待て、俺はチートだ。普通に戦えば、ランキング園外だろう。つまり、まともに戦って勝てるわけがない。
「では勇者、駄亡刈夛狼よ!この橋を渡れば城の門に着く!ここから先はお前一人で行くといい!さあ!」
どうなる、俺。
続くかどうかは不明。作者の自己満足だし。
チートな俺がまともに戦うはずがなかった件について。