没【ヘテ恋】ハロウィン話 没
ハロウィン話「HALLO Way」 1 没
雨衣(うい)は秘密がある。
長い脚を開き、頻りに手を動かした。そのたびに濡れた音がする。
彼女は自慰に耽っていた。
「あ、あっ……おじさん……ッ」
燻った恋心をこうして発散していた。
「………奥、だめ………!」
栗色の髪は普段はすっきりとポニーテールにされていたが、今は乱れている。
「おじさん、おじさん……っ! も、ダメ……イっちゃう……っ!」
憧れの叔父・琉季(るき)に会ったばかりだった。ハロウィンに配る手作りの菓子の試作品を食べに来てもらった。だがそれはひとつの口実に過ぎない。ただ、理由をつけて父の年の離れた弟に会いたかった。叔父と姪の関係であるが、歳は15も離れていないのだ。
雨衣は棒状の器物を激しく出し入れした。それが叔父の肉体の一部であることを妄想して。
「叔父さん、好き好き………っ、あんっ……好き♡ イくぅ………♡」
すらりとした脚は今は浅ましく爪先を伸ばし慄えている。
「なるほど」
絶頂の余韻に浸るはずだった。禁じられた相手への恋慕に浸り、骨抜きになって媚び転げるところであった。しかし一瞬で吹き飛んでしまった。体内から器物を抜いて跳び起きた。
「え……?」
「おつかれー」
部屋に人がいる。ドアの前に佇み、目を逸らしている。見覚えのある制服で、聞き覚えのある声。抑揚のない冷めた態度だが、その頬は赤らんでいる。幼馴染の春魚(はるうお)鯉音(りおん)だ。艶やかな黒髪に光沢の輪がかかっている。大して日焼けの跡もない冷淡げな白い美貌は焦りもしない。
「は、春魚くん……っ! なんで……」
「まぁ、とりあえず何か穿いたら?」
鯉音はドアのほうへ振り向いた。彼が背中を向けているうちに乱れた衣服を整える。
「そ、それで……何?」
家が近所の幼馴染ではあるが、所詮は異性。肉体的な変化や、周りの目を意識しだすと、いつの間にか疎遠になっていた。
「菓子くれるって、恋音(れおん)と歌音(かのん)に言ったんだろ? でも予定入ったから来れないってのは聞いた?」
「うん……」
恋音と歌音はこの幼馴染の弟と妹で、双子だった。2人が来れないと聞いたために、日課と貸した自慰に耽っていたのだ。
「だから俺が代わりに来た。すごい楽しみにしてたから」
だが鯉音が来るとは聞いていなかった。
「誰もいなかった?」
「うん。でもあんたが居るのは分かったから。カーテン閉めたほうがいいよ。あと玄関の鍵も……」
「はいはい、分かったよ。で、お菓子でしょ。キッチンにあるから……」
双子の弟と妹がいるからか、何にも興味がなく、すべてに無関心の冷めたような風貌をしているこの幼馴染は時折、口煩い、節介なところがある。
雨衣はばつが悪くなった。同時に、この幼馴染でよかったとも思った。この幼馴染ならば、変な気は起こすまい。何にも興味がなさそうだ。今見た光景など、すぐに忘れるだろう。もう忘れているかもしれない。
鯉音をキッチンに向かわせ、雨衣は洗面所で手を洗っていた。
「どこ」
幼馴染はキッチンから戻ってきた。洗面所の前に立っている。
「テーブルの上になかった?」
「十河(そごう)サン、好きな人いんの?」
昔は下の名前を呼び捨てし合っていたが、年頃になると互いに他人行儀になった。そういうものであろう。
雨衣は固まっていた。
「ねぇってば」
忖度(そんたく)はしないらしい。無言を察する気はないようだ。
「な………なんで?」
「……来週はその人と過ごすの?」
「わ、忘れてよ! そんなこと……」
手を拭いて、洗面所を出ようとしたが、幼馴染は出入り口に立ち塞がったままだった。
「な、なに……?」
「ねぇ、じゃあ、仮装するでしょ。しなよ。そのほうが"好きな人"も喜ぶんじゃない?」
この幼馴染にはデリカシーというものがない。
「その話はもう忘れてくれないかな……」
呆れた様子を露骨に見せても幼馴染の顔色は変わらない。
「俺が衣装作ってあげる。っていう作るから、採寸させてくれない?」
「え……? いいよ」
「いいの? ありがとう」
「そっちの"いいよ"じゃなくて……必要ないってこと。ほら、クッキーはあっち!」
動く気配のない幼馴染の身体を回転させる。服の上からでは気付かなかった筋肉の硬さに一瞬、狼狽えた。しかし運動部には所属していないようだが、小さな頃から身体能力は高かった。
キッチンまで押し遣ろうとすると、首が雨衣のほうを向いた。
「あんたに拒否権あると思ってるんだ?」
「え?」
「俺、十河サンには好きな人がいるって、言おうと思えば言えるんだよね。なんで知ってるの、って多分訊かれると思うから、俺の見て聞いたことを――……」
「ちょっと待って。きょ、脅迫するの?」
「そういうことも起こり得るよね、って話。でも採寸させてくれるなら、その話はしないって約束はできるよ。Win-Winの関係」
大きな吊り目は澄んでいる。この幼馴染の意図が分からない。
「Win-Win? 春魚くんに何のメリットがあるの? もしかして……」
雨衣は頬を染めた。
「わ、わたしのこと、その………す、好き………なの?」
胸が高鳴ったのも束の間、聞こえよがしに大きな溜息を吐かれる。
「十河サンって意外と、スタイルだけはいいし、トルソーじゃなくて、ちゃんと生きてる人間を採寸してみたかったんだよね」
「スタイルだけは……って……」
鼻で嗤われる。
「そういうことだからこのあと、俺の部屋来れる?」
この無感動で無感動、無愛想な幼馴染に限って、下心はないのだろう。
「でもわたし、春魚くんが洋裁できるなんて聞いたことないんだけれど……」
「言ってないし、わざわざ言うことじゃなくない。それなら十河サンだって、好きな人がいるなんて俺聞いたことないんだけど」
スマートフォンを差し出される。画面には写真が表示されていた。見覚えのある部屋に衣装が並んでいる。多少の変化はあるが相変わらず殺風景だった。
「わぁ、すごい……」
「じゃ、もらうものもらって先行ってる……」
【没】
ハロウィン話「HALLO Way」 1 没 プロット
HALLO Way
①
・十河雨衣(うい)…叔父さんが好きなJK。栗毛で毛先カールのポニテ。大人びている。17歳。わたし/春魚くん/叔父さん
・月岡琉季(るき)…若作り美形叔父さん。28歳。
・春魚(はるうお)❌️狸猪央(りいお)❌️鯉音(りおん)⭕️狼音(ろいん)…雨衣の幼馴染。クールドライ。弟のためにハロウィンのお菓子もらいにくる。密かに雨衣が好き。服飾に興味がある。双子の弟・妹がいる。17歳。俺/あんた、十河サン
・恋音(れおん)…鯉音の弟の双子。雨衣のお菓子を楽しみにしている。あざとい素直。14歳。美容師志望。
・河音(かのん)…鯉音の妹の双子。メイクアップアーティストになりたい。雨衣が好きな同性愛者。14歳。
❌️ホロウ…死神の服装をしている。叔父さんの身形をしている?叔父さん本人?
自慰中に風邪ひいた弟の代わりに鯉音に発見される。(内心、鯉音の嫉妬)→嫉妬した鯉音にコスプレを迫るというか用意してた。→"おじさん"が叔父であることを知り、強く非難する→流れでコクってしまい逃げられる→説得。ちゃんとコクる→叔父に婚約者がいることを知る→※ハロウィンとの関係性は?
②
ハロウィンに叔父さんにお菓子を作ろうと思ったら異世界に連れていかれ、お菓子を作らされる。
ルキ…召喚士。菓子作りの名人を呼び寄せた。
没プロット「MIRA」
媚薬染み込まされた手を包帯で巻いている。パート先の後輩。いつも長袖。お察し。
浪川(ろうかわ)深空(みら)…20歳。美青年。大学の実験中に怪我をしたらしい)?)
瓜南(かなん)秋香(あきか)…パート主婦。
没【狗狼獅波家】秋2024
もう秋なのかと、すれ違うカップルを見て思った。カノジョのほうが、白いタートルネックのニットにチェック模様の厚手のスカート。膝丈で、ブラウンのブーツがなかなかセクシー。顔は見ちゃいないが、いいなと思った。
用事が済んでこれから帰るところだったがオレの足は家ではなく繁華街のほうに向かっていた。
薄手のタートルネックは見つかったが、思ったスカートはなかった。さっき見たのはタータンチェックではなかった。クリーム地にブラウンともおれんともいえないシンプルなラインが入っていた記憶がある。ネットで調べると、乗馬格子という柄に近い。生地はウール。
何店舗か回って、気に入ったのを見繕う。タートルネックは黒か白か迷って両方買った。それっぽいスカートも見つかり、ブーツも買った。
あとは"デート"に誘うだけ。多分OKはもらえるし、NOとは言わせない。言われない自信もあるが、それはそれでつまらない。ただ、嫌そうな顔でオレに従うしかないのもまた一興。
いとこが着せ替え人形ってのハマってた理由もまぁ分かる。昔の話だが。確かに楽しい。
さっそく香織を呼び寄せた。旦那の弱味に振り回されて、可哀想な女だ。それでも"アイする夫"に尽くすのが幸せだとでも思い込んでいるんだろう。
香織はオレが帰宅してから1時間後に来た。先々月は毎日会っていたのに、しばらく会わなかったからか、久々に会った気分だ。とはいえ香織のほうは、オレとすれ違うかたちでたびたびここに来てオレのオニイチャンや弟の世話をしていた。させていたというべきか。旦那が先月仕事をクビになったから、金の工面に奔走しているのだろう。早く別れちまえばいいのに。
そういう理由で香織はオレから離れられないし、オレたちの誘いを断ることもできない。
「よぉ、香織。久しぶりだな。少し痩せたか?」
秋は大抵、飯が美味い。なのに哀れなことだ。
「ご用件は……?」
肩を縮めて、怯えている。今にもオレに取って食われちまうと思っているらしい。密かに睨んでるのも可愛いもんだ。
「お前に服を買ったから、着てくれや」
オレは小洒落た紙袋を突き出した。何店舗か回ってきたから4つ5つくらいある。
香織はぎょっとした。青褪めている。人がせっかくプレゼントしてやったのに失礼なやつだな。喜べよ。ヂウォールだぞ? セイントローレンスだぞ? ルイス・ヴァトンだぞ?
「そ、そんな……わたし、そんな大金、とても……」
「はぁ? オレ様がプレゼントと称して押し付けて、関係が切れたら金請求する雑魚だってか。ふざんけんなよ、香織。着ろ。お前はオレの着せ替え人形だろ。いつから拒否権があるなんて思っちまったんだ。躾が足りねぇな」
香織は震えていた。旦那は買ってくれねぇのか。ハイブラの指輪のひとつくらい持ってんだろ。
「で、でも……汚したりしたら……」
「まぁ、後で売っ払えばそれなりの値段にはなるだろうが、汚れて半額になっちまったらそら自業自得だわな」
まだ香織の手が伸びてこない。まどろっこしいことだ。だから紙袋の持ち手を握らせた。街の女たちはこの紙袋をカバンみたいに使ってるから、よっぽど人気なんだろう。カバン買っちまったから、本音をいえばそっちを使ってもらいたいもんだが、それは香織のセンス次第か。
「着ろよ。なんか問題あんのか」
香織はまだ怯えながら両手で紙袋を受け取った。
「おトイレをお借りします……」
「腹でも壊したか」
「え……あの……」
びっくりした顔されて、まさか言い当てちまったか。
「な、なんでもないです。ごめんなさい」
何度もセックスしてどこもかしこも見ちまってるのに、まだオレに甘えようとしない。強情だ。まぁ、そこがカワイイんだが。
「なんだよ、言えよ。便所行きてぇなら連れていってやるよ」
腹が痛いなら刺激しちゃ悪かろうと、オレは香織の膝を掬ってお姫様抱っこしてやった。
「ち、違うんです……すぐに着替えろという意味かと思って……」
「はぁ? いや、合ってるけど……なんだ、香織。オレの目の前で着替えればいいだろ。何を躊躇ってんだ。オレは香織の尻の穴の皺まで見たんだぜ」
香織は顔を真っ赤にして、ただでさえ目も合わせてくれないのに、外方を向かれた。
「ここで着替えろ。オレに極上のストリップショーを見せてくれよ」
オレはソファーに身体を沈め、肘掛けで頬杖をついた。
「おトイレを……お風呂場でも、構いませんから……」
「ダメだ。ここで着替えろ」
香織は眉を顰め、顔を伏せて服を脱ぎはじめた。薄手のカットソーの下からブラジャーを透かすインナーが現れる。赤いブラジャーと黒いインナーが色白を際立たせる。乳がデカくて尻が張ってる割に華奢だと思っていたが、紐の食い込みといい、薄い布の食い込みといい、肉感がある。砂時計みたいだと思っていたシルエットは、実際触ると柔らかいんだがな。
インナーからブラジャーを透かしたまま、今度はジーンズを脱ぐらしい。ホックとファスナーが順に外されていく。ブラジャーと同様、さくらんぼみたいな黒みの差した赤いパンツが露わになる。清楚な見た目に似合わない派手な下着だ。今日はそもそも予定なんてなかったもんな。旦那とよろしくやるつもりだったのかよ。
離れて見れば、乳と尻のせいで腰回りが華奢に見えるが、太腿は棒切れみたいに細いわけじゃなく、ちょっと頭でも挟んで、首でも圧(へ)し折られてみたい気もする。だってどう死ぬか分からねぇのなら、自らエロい女の太腿ギロチンで首落とされるほうが幸せだろうに。
オレをうっかり殺しちまって慌てふためく香織も好し。憎い男を殺したとほくそ笑む香織もまぁ好し。
足首に絡まるジーンズから足を引き抜いていく。爪先と踵を覆うだけのこれまた薄い靴下を履いていた。オレの身体を撫で上げていくみたいにゆっくりした仕草だった。
焦らされてんのか?
気付くとオレは指先を噛んでいた。桃みたいだ。梨っぽくもある。弾力はグミか。関節は噛み応えがあんなぁ! 歯が疼いた。
下着姿でいさせるのも悪くないと思いつつ、着替えの合間に見るからこういうのは魅力的なんだってことも、奥ゆかしいオレには分かっている。
関節に歯を立てて、今すぐあの肌を吸いたい欲求を耐える。何度も吸ったけどな。そのたびに桃やライチの味がしないのが不思議だった。白くて瑞々しくて、甘い匂いがするのにな。
香織はスカートを手に取って、爪先を入れていく。赤いパンツが隠れていく。しまった。やっちまった。見せパンを買っておくんだった。香織のパンツ見るのにオレは金積んで脅迫までしてんのに他のモブの雑魚どもがただで運任せに香織のパンツ見れるかもしれねぇのは不公平だ。せこい。
「パンツぜってぇ他の人に見せんなよ」
注意しろよ、ってことが言いたかったんだが言葉のチョイスをミスったらしい。
「見せません……! そんな……」
「赤ぇパンツなんて誘ってると思われちまうからな。旦那とよろしくやるつもりだったのか? え? 香織。言ってみろよ。赤パンツなんて履いちまってどうした。欲求不満か? 赤は情熱の色だからなぁ! お望みどおりムラムラしてきたぜ」
少し怒った顔がこっちを向いて愉快になった。
「そんなつもりじゃありません……!」
「そんなつもりじゃねぇって? 無理があるな、こんなエッロいパンツ履きやがって。オレに呼ばれるの、予感してたのか?」
「違います……!」
ムキになって否定されると、もうちょっと誂(からか)ってみたくなる。
「旦那に抱いてもらうつもりだったんだろ? 健気だねぇ、香織チャン。下着からオシャレして、レスの解消を試みたワケだ? 可愛いな」
指先を齧るのがやめられない。赤ちゃんかよ。でも、口が寂しい。だって香織の下着姿、文字通り"静観"することなんてそんなないからな。本当なら口周りをべとべとにしてエグいキスしてる頃なんだから、それは脳みそも誤認するわな。
【没】
没【狗狼獅波家】秋2024 プロット
○錫子(年下いとこ)に「金翔が女の人とエッチしてるところみたい」とせがまれる銀河。香織を差し出すがジェラシー。
○鏡なんとか(年下いとこ)くんに採寸される香織にジェラシー
・鏡なんとか→鈴希(すずき)…クールドライ系。高1。黒髪美少年。洋裁好きだが自身の服装は雑。
没【ヘテ恋】ハロウィン話 没