『冬の恋人』

温度と共に寂しくなる
それは単なる気の病


『冬の恋人』


たったひと冬超えるためだけの
温もりを求めるのは悪いこと?
だって寒いと寂しいし
寂しいと寒くなるじゃない

あの子だって去年と違う彼と
嬉しそうに腕を組んでた
簡単な恋で温かくなれるなら
それで十分だしお手頃よ

深い色のリップに白いニット
毎年同じモテコーデ
確かに飽きてはきてるけど
結局こういうの好きでしょ

チェックのスカートとブーツは
今年も誰より可愛いし
何人かの男の目を引いた
全員じゃなくていいんだよ

コートもマフラーも
全部が全部計算だけど
バレバレでも可愛けりゃいいの
欲しいと思わせたら勝ちよ

ちゃんとした友達は
そんなの寂しいよって言うけど
仕方ないじゃない
アタシと貴女は違うから

心から笑うことも泣くこともない
ひと冬の恋人ってそういうこと
ちゃんとしてないからねって
舌を出して戯けて苦笑い

羨ましいけどそんな顔見せられない
あの子みたいにフラフラした振りで
アタシはアタシを嘲笑う
貴女みたいになれない寂しいアタシを



「ね、それでも友達だよって言って」

『冬の恋人』

『冬の恋人』

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2024-12-23

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