円環
涸れた泉をさまよう 女
背に月光を受け 孤影が泛び上がる
極寒の冬に女は生まれた そしてまた
極寒の冬に死ぬのだろう
繰り返す自罰の果てに
女は一つの楽園を見る
女は恍惚の表情を泛べ
声にならない声で歌う
歌い疲れ声が涸れた女は
みずからの血と涙で渇きをしのぐ
「私は自罰に対して飽くことを知らない。
私はほんとうの意味で赦すことを知らない。
それは罪?」
女は乾いた笑いを洩らす
「誰もが罪人であるこの世界で
どのように罪を贖えばいいの?」
渇きは一層激しくなる
祈りの欠片を拾いあげ
偶像の残像をとらえて
瞑目し、両の手を合わせる
「祈りが途絶えることなく
また、穢れることもありませんように」
膨張していく罪悪感を抱える私の足は
どこへ向かえばよいのかを知らない
だからこうしてさまようほかはないのだ
円環を描くようにさすらうしかないのだ
「生誕が受難なのだとしたら
あらゆる被造物は被害者……」
私はどうしようもないことを呟きながら
どうしようもない気持ちで天を仰ぐ
「私にほんとうの救いを教えてください……」
円環