幻の王国

幻の王国

真田麻由美は自宅のマンションで寛いですると
突然テレビま通常番組が中断され臨時ニュースが放送された。
こともあろうに北海道が制圧されたという。

クーデター発生

 真田麻由美は自宅のマンションで寛いでいた。
 久し振りの休暇でテレビをつけっ放しで、パジャマ姿のまま気楽な独身生活を楽しんでいる。真由美にとって一ヶ月ぶりの休暇だ。これまで過酷な業務に追い回されやっと出来た休み。しかも五日間の休暇とあれば気分は爽快である。鼻歌気分で朝食の準備をしていた。
 出来上がったトーストとハムエッグ、コーヒーをテーブルに並べた時だった。テレビの画面にテロップが流れると間もなく報道特別番組と画面が変わった。
『臨時ニュースを申し上げます。ただいま北海道全域に装甲車、戦車等が街を包囲、並びに北海道道庁、各地のテレビ放送局及び千歳空港始め各空港、港が自衛隊と警察により封鎖された模様です。繰り返します。本日二月二十六日に北海道で何か大変な事態が起きたもようです。繰り返します。只今、北海道で……』
 麻由美は手に持っていたコーヒーが、毀れるのも気がつかないまま立ち尽くしてテレビに釘漬けとなった。

「クーデター? た! 大変だわ!」
 麻由美は慌てて勤め先の総合幕僚監部の直属の上司に電話を入れた。東京は市ヶ谷駐屯地内に本部があり陸海空自衛隊の要である。
基本として独身の自衛隊員は自衛隊の宿舎に泊まらなければならないが、麻由美は特殊な業務についていて、特例として自衛隊が一部を借り上げたマンション住まいが認められている。麻由美以外の隊員は殆ど家族持ちで幹部のみが住んでいる。
しかし業務は多忙で酷い時は、二ケ月も帰る事が出来ない。よって食料は保存が効く物しか置けない。それでも駐屯地の宿舎に泊まるより快適で自由時間が持てるのは最高である。
「防衛戦略室情報官の真田二等陸尉です。村松陸将補はおられますか」
「お~真田か。ニュースを見たようだな。確か休暇のはずだったな」
「陸将補、私も自衛官の端くれ、非常事態です。すぐ駆けつけます」
 その上司の村松陸将補は陸自のNOⅡの存在だ。すぐに市ヶ谷に来いと言うことだった。麻由美はパンを口に入れ珈琲を口に流し込みながら着替えて、マンションを出るとタクシーを拾い市ヶ谷に向かった。
真田麻由美は防衛大学卒業のエリートで入隊して六年になる。四年間は陸上自衛隊で、みっちり鍛えた。現在は能力を認められ防衛戦略室に席を置いている。ここでも麻由美の才能が認められ一目置かれる存在となった。百七十センチの長身で顔立ちはキリリとして隙がない。男性から注目され女性からは憧れの存在だ。

幻の王国

慌てた政府は招集をかけて打開策が論議された。

幻の王国

  • 小説
  • 掌編
  • サスペンス
  • 時代・歴史
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2024-12-14

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