黒髪少年と試験管少年Ⅲ
黒髪少年と銀杏の試験管少年
試験管の底に、敷き詰められた銀杏。
鮮やかすぎる黄色に、思わず、目を細めた。
くすり、聞こえた笑い声は、試験管から。
銀杏と同じ色を纏った、鮮やかすぎる、君。
綺麗でしょ?
通った、銀杏並木を、思い出す。
そこで、出会い、目覚めた君。
その光景も、重なり、言葉が溢れる。
「綺麗、だな」
2024.12.11
冬の試験管少年を想う、黒髪少年
息を、吸う。
入ってきた、冷たさに、咳き込んだ。
痛いくらいの、風が、肺を占める。
この時季の、儀式と化したような、深呼吸。
それは、君の訪れを、感じるためのものに、なっていた。
かちり、かちり、懐中時計の音は、君の欠片が、身体の中で、響いているように、思わせる。
冬の、始まりだ。
2024.12.14
黒髪少年と試験管少年Ⅲ