性犯罪者保護政策時代の頃

生まれつき男性恐怖症だったわたし。体のせいかな?ふたなりだからなのかなあ?男の人の近くに居ると、いつ暴力振るわれるかと不安になって落ち着かない。
頭ではそんなこと起こらないとわかってても、怖くて逃げちゃう。犬恐怖症の人と多分似てる。
ただ、犬は犬を飼ってる家にしかいないけど、男の人はどこにでもいる。今のままじゃ普通に生きていけない。パパのことも怖くて自分の家でも安心できない。
だから小学校卒業したら少女特別区に入れてもらった。男性恐怖症の女の子だけが暮らしてる町。しかもこの特別区はふたなりの子専用。自分の変な体のことを秘密にしたりしなくていいんだ。
小さな町にはふたなりの中学生、高校生しかいない。AI搭載のロボットがわたしたちのお世話をしてくれるから、大人はいない。男の人も、ふたなりをいじめる人もいない。生まれてはじめてなんにも悩まずに暮らせるようになったと思った。
そして今、男の人の目の前で、裸になってる。
狭い部屋にわたしと大人の男の人。男の人はすごく体が大きくて、部屋が半分以上ふさがっちゃってるように見える。
怖い顔をしてる。失礼な感想だけど、怪物みたい。性犯罪者の人だからかな、普通の男の人より怖い。
こんな考え方は差別だよね。性犯罪者を普通の人間とは違うなんて思っちゃ駄目。男の人に性欲があるのは当たり前だもん。お腹がすいたら食べなくちゃいけないし、眠くなったら寝なきゃいけない。性欲があったらセックスしなくちゃいけない。生き物なんだから当然のこと。
でも、セックス出来ない男の人だっているんだ。好きになった女の人にふられちゃったり、女性恐怖症で告白もできないでいる人だっているかも。
そういう男の人が性犯罪してしまうのは仕方ないことだよね。性犯罪者は可哀想な人。怖くなんてない。
そうわかってるのに、心が弱くて自分勝手なわたしは、怖くて怖くて耐えられない。
震えが止まらない。男の人に笑顔を見せてあげなきゃって思うけど、ずっと下を向いてた。まだろくにふくらんでもないくせに、胸がぷるんぷるんしてて、乳首が嵐の中の花みたいになってる。
こんなに怖がらなくていいのに。男の人は拘束具を付けられてて、わたしに触ることさえ出来ないんだから。
それなのに涙ぐんでるわたし。すごく失礼な子だ。性格悪い。
裸になってる恥ずかしさで全身が熱い。全然魅力も無い体つきなのに自意識過剰だな。中学生になったけど、小学校の時と変わらない、ただの子供の体なのに。
恥ずかしさのせいでちんちんがフルボッキしちゃってる。ふたなりって恥ずかしくて情けない。こんな裸、見る価値あるのかなって思う。
でも男の人は興奮してる。マスクしてる口をモゴモゴさせて、色んなこと言ってくる。
『たまんねえぇ、細くて真っ白だ!あぁぁ、柔らかそうだなァァァ!思いきししゃぶりてぇぇえぇ!』
体中見られてることがよくわかってますます恥ずかしくなる。
『おい、顔よく見せろよ。可愛い顔こっち向けろ!殺すぞ!』
恥ずかしくてずっとうつむいてたかったけど、殺すって言われたら言うこと聞くしかなかった。拘束具で動けない人がわたしを襲えるわけないけど、わたしほんとに臆病だ。脅かされるとすぐ言いなりになる。
顔を上げたらすぐ目の前にものすごい大きさのちんちん。男の人は拘束具であまり自由の無い手で、猛烈にオナニーしてる。
『目をそらすな!オレの亀頭見てろ!おおお、可愛い、たまんねぇ、こんな美少女がオレのチンポコ見て泣いてんよぉぉ、くらえ、くらいやがれよォォォォォ!』
精液を顔にたくさんかけられた。目をつぶったけど、男の人の精鋭って感触が信じられないくらい気持ち悪くて、肌に付いた分量が見ないでもわかる。体が溶けて腐っちゃいそうなにおいと感触の精液が顔から胸、お腹、ちんちん、足までぬるーっと流れてく。熱い。それがもう一回飛んできた。何度もかけられる。男の人ってすごくいっぱい精液出す。それとも性犯罪者の人だからかな。わたしの何倍も出す。
ヌルヌルドロドロの顔を、やっぱりヌルヌルになってる手でぬぐう。涙が止まらない。
『何泣いてんだよォ……こっちはぶっかけるだけで何も出来ねェんだぞ?ボコボコに犯してえのによオオ!オイ!ヤラせろよ!せめてそのぺったんこのおっぱい揉みしだかせろ!畜生!乳首吸いてえよォ!薄ピンク色しやがって畜生!』
いっぱい怒鳴られた。男の人に精液かけさせてあげてもお礼なんて言われない。感謝されたいなんて図々しい考えだけど、悲しいな。
わたしは礼儀正しくお辞儀する。
『使っていただいてありがとうございました。』
床に精液ダラダラ垂らしながらこんなことするなんてバカみたいだよね。でも、お礼はしなきゃいけないし。
横の回転扉を押して隣の部屋に行く。そこはシャワー室。一人になってホッとしながらシャワーを浴びる。
お湯は薬液入りで、精液がみるみる流れ落ちてく。シャワーを止めたら二、三秒で体が乾く。
天井近くのランプが緑から赤に変わった。そしたら来たのとは反対側の扉を押して隣の部屋へ。
そこも狭い部屋。さっきとは違う男の人がいる。この人も大きくて、顔が怖くて、性犯罪者の人。
わたしはお辞儀する。
『神町音色といいます。たくさん使って下さい。』
自己紹介。そしてまた精液をかけられた。

本当は、何でこんなことしなきゃいけないのかなって思ってる。六日に一度の性犯罪者愛護活動。今夜は二十人の性犯罪者の男の人の精液を浴びた。
わたし達男性恐怖症の女の子が世の中から隔離されることで、彼女を作れない男の人が増えて性犯罪者になってしまう男性が増加するのだから、償いをしなくちゃいけない。それに、男性の精液に慣れることが男性恐怖症治療につながる。
高等部卒業までしか特別区には居られない。一般社会復帰させられる。それまでに男性恐怖症を治さないとまともに生きていけなくなる。だから、自分の為にも性犯罪者愛護活動は喜んでやらなきゃいけないんだけど。
でも臆病で神経質で心の狭い性格のわたしは、男の人の精液に触れるのがすごく嫌で、気持ち悪くてしかたない。裸を見せるのも死ぬほど恥ずかしくてつらい。
愛護活動が終わった後のシャワーはつい長時間浴びちゃう。お肌に嫌な臭いの男性精液が染み込んでいそうな気がして、必要以上に洗っちゃう。
自分でもケチな子だってわかってるんだけど。男の子と大して変わらないような、胸もお尻も小さな全然エッチじゃない体を性欲発散に使っていただいたんだから、感謝するのが当然なのにね。
でも、まだ中学生になって二ヶ月くらいで、彼氏なんて作ったことなくてキスもしたこと無いというのに、たくさんの男の人の精液のにおいと感触を知ってるって考えると………自殺しそうになるよ。
シャワー室を出たら誰もいない。わたしのシャワーが長すぎて他の子たちは寮に帰っちゃったみたい。
性犯罪者愛護活動はクラス全員が参加する。一クラスは二十人。
今日は二十人の性犯罪者の人のお相手をした。全員が二十人の精液を浴びたんだね。つらくて疲れて早く帰って寝たいよね。
それにしても男の人たちは二十回もお射精したんだね。愛護活動の度に思うけどあの人達の精液って多すぎるよ。一回でもいっぱい出るのに、一晩で二十回!
わたしはそんなにとても出せない。わたしは女の子にしてはいやらしい子かもしれないけど、オナニーしてお射精しても、ちょびっとしか精液出ないし、一回出したらもう満足しちゃってしばらく勃起出来ないし。一日に三回しかオナニーしない。
男の人はすごすぎる。それとも性犯罪者だからなのかな。あの人達のお嫁さんになったら、一週間もしないで赤ちゃん出来そう。
制服姿になって外に出て、校庭を通って寮へ歩く。まだ夜。でも、多分もうすぐ日の出の時間。
少女特別区には痴漢なんか居ないから、危険は無いんだけど暗い中一人でいるのは怖い。
そう思ってたら、イチョウの木の下に、女の子が一人いた。こっちを振り向いて声をかけてくる。
『音色ー!遅いよー、いつまで待たせんだよー!』
明るい声が暗闇の怖さを一瞬で消しちゃった。
『あ……星見ちゃん。』
わたしとは違ってすらっとしたセクシーな体つきの美少女が、ずんずん近寄ってくる。
『もぉー、湯冷めして風邪引きそうなんだけど!シャワー長すぎ!』
文句を言われた。他の子にもわたしはシャワー長いって思われてたんだ………なんだかショック受けた。
『ごめんね、待っててくれてるって知らなかったから。』
『いーよ、音色はシャワー大好きだもんね。』
言い訳したわたしをあっさり許してくれる。いじめっ子みたいに見えるけど、優しい。
同じクラスの南森星見ちゃん。とってもいい子。まあ、この特別区の子は多分みんないい子だと思うけど、この子は一番わたしに優しくしてくれる気がする。
それにしても星見ちゃんは、いつでも元気でいられるのがすごいなって思う。この子だって、ついさっきまで性犯罪者の人たちの精液をいっぱいかけられてたはずなのに、ちっとも暗い顔してないし、あんまり疲れてなさそう。
そんなこと考えてたら、なんか星見ちゃんが黙って下の方見てる。何見てんのかなって視線の先を見てみたら、わたしの股間がふくらんでた。
気づかないうちに勃起してた!あわてて後ろ向いてスカートがテント張ってるの見せないようにしたけど、もう手遅れだよね…………。
こんな綺麗な子が、男の人たちに裸見せて、散々お射精されるなんて想像しちゃったから。わたしのちんちんなんて、ちっちゃくて弱々しいくせに、こういう自己主張はしっかりするんだから困っちゃうよ。
星見ちゃん、どんな顔してるかなあ。こわごわ振り向いてみたら、なんかあさっての方向いてた。こっちに背中を向けて前かがみになってる。
今のうち、と思ってちんちんを真上に向けて目立たないようにした。
そうして星見ちゃんの方向いたら、星見ちゃんもこっちの方に体を向けてたけど、顔はそっぽ向いてた。
『ほら、早く帰るよ!星見めっちゃ疲れてるんだから!』
星見ちゃんも疲れてたんだ。わたし、他人の気持ちとかわからないのがよくないところだな。
『ごめんね、わたしも疲れてるから、早く行こうね。』
二人で歩く。まだ暗い中、二人きりなんて、ちょっとデートみたい。一般社会にいた頃には絶対会えなかったような、天使級美少女とこんな青春ぽいことしてるなんて。疲れが癒されるなあ。
でも勃起収まらないよ。部屋に戻ったらすぐオナニーしたい。そんなことばっか考えてるわたし、ほんと最低な女の子。
星見ちゃんはずっとしゃべってる。
『今日もヤバイくだんない男しかいなかった!性犯罪者だから当たり前だけどさあ、少しは結婚してもいいって思える男も来てほしいよねー。浮浪者みたいな臭いのしかいない。』
言うことが結構無茶苦茶。男の人、とか、男性、て言い方しないで単に、『男』呼ばわりなんて、それだけで失礼なのに、もっともっとたくさん男性差別発言しちゃってる。
悪いことばかり言うんだけど、でも無邪気で明るく話すから、ちっとも悪い子に思えない。
『てゆーかさ、うちら男がイヤで特別区に来てんのに、何で男の中でも一番モテない駄目男の精液ぶっかけられないといけないの?マジ責任者殴りたい。そう思わん?音色ー。』
『でも、わたしたちが特別区で保護してもらってるせいで一般社会の女の数が減るから、性犯罪者になっちゃう男の人がいるんだもん、償いするのは当たり前だし………』
そう答えたら、笑われた。普通のこと言ったはずなんだけど。
『音色いい子すぎー。そんなの信じてんだ。うちらがいなくなるのと性犯罪、関係無いから!特別区に入る子なんて、日本中で何千人くらいだよ?日本に女の子何人いると思ってんの。影響無いよ!だいたいさ、性犯罪者の奴ら、大半オジンかジジイじゃん。特別区にいるのは中学生高校生、まだ子供だよ?つきあったりしないでしょ!この特別区の子なんて美形ばっかだからそもそもあいつらがつきあえるわけないんだけど。それ以前に特別区入る子ってレズばっかだし。なんにしてもうちらに関係無いよ。あいつらに彼女いないのは非モテなせい。うちらが一般社会にいても何も変わんないよ。』
びっくりするようなこと言う星見ちゃん。
『で、でも………女の子が何千人か減ったら、男の子が何千人か余っちゃうんだし………それで彼女作れなくて、そのままおじさんになった人が性犯罪するのかも……』
『彼女いたり結婚してる男も性犯罪するらしいよ?性犯罪するのは世の中のルール守れないバカな男だから。』
ますますびっくりした。星見ちゃんの言うことは非常識すぎる。だけど、わたしなんかより星見ちゃんの方が多分常識を知ってるんだよね。きっと星見ちゃんの方が正しい。でも信じられないよ。
『けど、そうだったとしても………性犯罪者の男の人たちはかわいそうだよ。性欲が満たされないのは、おなかがすいても食べ物が無いのと同じことだもん。だから、愛護活動はしなきゃって思うけど………』
『えええー、音色いい子すぎー!』
すごく笑われた。
『あんたみたいな子、性犯罪者の奴ら大喜びするでしょ?めちゃくちゃ大量に汚ねー精液ぶっかけてきそう!』
『別にそんなことないよ。わたしの体なんて、胸も小さくて魅力ないし……せめて笑顔で使ってもらおうって思っても、怖くて笑えないし……』
『いや、貧乳があいつらには魅力だと思うけど。ロリコンて言葉は知ってるでしょ?それに本で読んだけど、女が楽しんでセックスするより、嫌がって泣いてる方が男は興奮していっぱい射精するんだって。つまり、愛のあるセックスより、レイプの方がいいんだ、男は。性犯罪者なんて特にそうでしょ。要するに君の愛護活動は最高なわけ、奴らには。』
『そ、そうなんだ………』
自分は愛護活動がしっかり出来てないって思ってたけど、意外とそうでもなかったのか。びっくりした。
でもなんでだか嬉しさは無かった。ますます愛護活動が怖くなる。何故なのかわからないけど。
『ねえ、音色。』
星見ちゃんの声が小さくなった。それで、いつの間にか寮の近くまで来てたことに気づいた。みんな寝てるだろうから、起こさないように静かに話さないと。一般社会にはそういうとこ無神経で気をつかわない子がたくさんいたけど、星見ちゃんはやっぱりいい子。
『愛護活動、サボっちゃいなよ。』
やっぱりいい子じゃないかも。
『星見ちゃん、いくらなんでもそれはだめでしょ。』
自由に言いたい放題の子でも、言っちゃいけないことはあるよね。これはさすがにだめだと思う。
『違うって、愛護活動バックレるってことじゃなくて。あんまり真面目にやらないってこと。なるべく楽して、体と心の負担を減らすの。』
星見ちゃんの言いたいことがよくわからなかった。
『どういうこと?だって愛護活動なんて、裸を見せてお射精されるだけだし、ズルして楽できることなんて無いじゃん。』
『少しはあるよー。くっさい男の精液かけられる量を減らす方法。なるべく体汚されない方が心の健康にもいいから。教えてあげるから音色もサボりテクニック使いな。今のままじゃあんた心配になるから。』
なんて言われようと、性犯罪者愛護活動が大切なことだって考えは変わらないけど、でもつらくてたまらないのも事実で。つい、サボりテクニックについて聞いてしまう。
『男のちんちんを萎えさせればいいんだよー。』
『萎えさせる?』
『例えばさー、ブサイクとか、臭いとか、悪口言いまくんの。そしたら勃起も収まってちんちんちっちゃくなっちゃうでしょ?』
『えっ、そうかな………?』
『そーそー。あんたなんて一生モテないよ、とか言ってやればいいの。音色みたいな可愛い子にそんなこと言われたら、星見でもショックで萎えちゃうよ。』
『で、でも、男の人にそんなこと………失礼すぎるし……』
『気にしなくていいから。うちらは彼女でもないのに精液ぶっかけられるんだよ?あっちのが失礼なことしてんじゃん。悪口ぐらい言っていいの。』
とんでもなさすぎること言う星見ちゃん。でも明るく自信満々な言い方されると、すごく正しいこと言ってるように聞こえちゃう。悪いことだってわかってるのに、影響受けちゃうよ。
『あと、それとねー、裸なるべく見せたくないじゃん?星見考えたんだよねー、わざと怪我して包帯巻いたらいいんじゃね?おっぱいとかお股に包帯巻けば、もうほとんど裸じゃなくなるじゃん?』
『そっか………星見ちゃん頭いいね……』
ついつい素直に感心しちゃった。悪知恵なんだけど、でもすごいアイディア。
『けど、わたしには無理かな。痛いの怖いから。胸に怪我なんて、出来ないや。』
『乳首の近くを軽く針刺して血を出すくらいでいいと思う。出来るって。』
気の強い星見ちゃんとわたしは違うんだけどなあ。でも、愛護活動の時に体の恥ずかいところを見られなくて済むのは、すごくいいなって思った。
『頑張ってやってみようかな……わたしも。』
そう言ったら、星見ちゃんの綺麗な顔が無邪気な笑顔になった。
『やろうよ。次の時にさ、いっぱいテクニック使お。それでどれだけ楽出来たか報告しあおうね。約束だぞ。』

愛護活動の次の日は学校がお休み。それから四日間は普通に学校に通って、五日目は半日授業で午後はお昼寝の時間。夕方過ぎに愛護活動がはじまる。
今回も性犯罪者の人が二十人来た。でも先週とは活動内容が全然違った。
まず最初の一時間は、クラス全員と男の人たちの『コミュニケーションの時間』だった。大きな部屋に椅子が並べられてて、男の人たちが座ってる。みんなベルトで縛られてて、立ち上がれないし手も伸ばせない。
わたしたち女の子は、高い壇の上に一人ずつ上がって自己紹介。それから、男の人たちの間を歩き回って、お話する。一時間後、男の人たちが気に入った女の子を選ぶ。その男の人と女の子は二人きりで愛護活動をする。六時間も。
男の人二人以上が同じ女の子を選んだ場合、女の子がどの男の人に愛護活動したいか決められる。選ばれなかった男の人は、別の女の子を指名する。それも駄目だったらまた別の子。そうして二十組のペアが、六時間も精液まみれになるんだ。まるで本物の恋人みたく。
一晩で二十人の精液浴びたのもつらかったけど、今日の活動も苦しい。最初の『コミュニケーション』からすごく怖い時間だった。クラスの子が自己紹介すると、男の人たちが『うおお、エロい顔』『早く乳見てえぇ』『肉柔らかそうだなァ、噛みちぎりてエエエ』なんて言う。
その後の会話の時間も、普通のおしゃべりじゃなくて、『制服可愛いねェ、でも俺が見てえのはオマンコなんだよ、脱げや』なんていきなり言われた。今日の性犯罪者の人たちも体が大きくて筋肉がすごくて、怖くてたまらなくて、言うこと聞きそうになっちゃう。
『スカートたくし上げろよ』『男の体のどこが好き?答えろ』『レズなんだろ?学校に好きな子いるよな?セックスしたいの?正直に言えよ』そんなことばっか言われる。これがコミュニケーション?まともじゃないよ。
でもこの人たちは逮捕されて自由が無いんだし、女の子とおしゃべりすることも普段出来ないんだ。そう思って、なるべく答えるようにがんばってみたけれど。
オナニーをする日は週に何回かって聞かれて、
『そ、その………毎日、ですけど、おかしいですよね、わたし………』
と、答えたら、周り中の男の人に注目された。淫乱とかケダモノとか、酷いこといっぱい言われた。それどころか、クラスメートもわたしの方見て赤面してた。
恥ずかしすぎて半泣きになっちゃう。何も言わなきゃよかった。
それにしても、男の人がこんなにいるのに、優しい人なんて一人もいない。この中の誰かと二人きりで六時間居るなんて。誰にも選ばれたくないって思っちゃう。
わたしがそんなふうに涙目で過ごしてたのと正反対に、星見ちゃんは平然としてた。
何かを男の人に聞かれて、
『何でそんなこと聞くんですか?自分で考えて下さい。じゃーねー』で終わらせてた。怖くないのかな…………。
愛護活動も、サボリテクニックいっぱい使って楽に過ごす気なんだろうね。
わたしもやらなきゃ。約束したもんね、テクニック使って、そのあと報告しあおうって。
上手く出来るか自信無いけど。でもやってみよう!なんだかわたしらしくない勇気が湧いてる。星見ちゃんの影響受けてるみたい。
コミュニケーションタイムが終わった。わたしたちは隣の部屋に移動する。そこにはクラス全員分のデスクがあって、備えつけられたパネルに、男の人の名前が出てる。
画面に出た名前が、自分を選択した人。二十人のクラスの女の子の中で、わたしに一番精液かけたいんだって思ったら、逃げたくてたまらなくなった。
わたしを選んだ人は、四人もいた。何でわたしなんかって思うけど、半泣きだったのがこの人達には効いたのかな。星見ちゃん言ってたもんね、女が泣いてると男は興奮するって。それにしてもこんなに影響あるなんて。
男の人の顔写真も画面に出てる。なるべく怖くない人にしたいけど、でもそうしたら他の子に怖い人が行っちゃう。
悩む。でもクラスにはわたしより怖がりな子もいる。それを考えたら、一番怖い人を選ぶしかなかった
その人は一番若そうで一番イケメンじゃない顔。ヤンキーっぽくて、唇にピアスしてる。一般社会に出ても、こんな人とはつきあったり絶対できない。すぐ殴られそう。
男の人との組み合わせが決まると、個室に移動。その部屋は小さくて、ヨーロッパのお城みたいな綺麗な飾りがあって、照明が少し暗めでいい雰囲気。恋人と来たくなるような所って感じがする。そして、ベッドがあった。
男の人は天井から伸びたパイプに付いてる拘束具に繋がれてて身動き出来ないでいる。わたしは服を着たままなのに、もう裸になってる。体中毛むくじゃらで、思ってたより筋肉すごくて、怖い。お股の所にオナホールがあって、そこから見える巨大な亀頭が真っ直ぐこっち向いてて、今日もたくさん精液浴びせられるんだなって実感させられる。
でもその時、星見ちゃんの声を思い出す。『約束だぞ』。
そうだ、テクニック試さなきゃ。精液かけられる量を少なくしなきゃ。
せっかく女の子にいっぱいお射精しようと思って来て、しかもわたしなんかを選んでくれたこの人には悪いと思ったけれど。でも、星見ちゃんとの約束、破りたくない。
わたしにとって、性犯罪者の男の人より、星見ちゃんの方が大切だもん。
そう、心を決めると、なんだか楽しくなってきた。怖くてたまらない中に、小さな勇気が光り出した気がした。
AI音声がわたしに命令してくる。挨拶をしろって言われた。愛護活動の時は、生徒が逆らわないように色々ペナルティーがあって、言うこと聞かないとAI制御のアームに首を絞められたりする。
だから命令されたことはやる。わたしはなるべく笑顔で
『選んでくれてありがとうございます。たくさん使って下さいね。』
と言った。
でもすぐに、これじゃ今までと一緒だと気づいた。テクニック使わなきゃ。星見ちゃんなら、ここで悪口言ってちんちんをへなへなってさせるよね。
そんなことしていいのかなって不安でいっぱいになる。可哀想な性犯罪者の人を、もっと可哀想にしちゃうし。
でも星見ちゃんとの約束だから。そう思ったら、口が半分勝手に動いてた。
『お顔が全然かっこよくないですね。女の人にモテなそうです。』
自分で自分にびっくりした。こんなこと生まれてから一度も言ったことなかった。こんな悪くて怖いこと、わたしが言うなんて。すごい。
何かが気持ちの中を湧き上がってくる感じがする。
そこに男の人の声が浴びせられた。
『だから今夜はたっぷり気持ちよくしてくれるんだよな?』
怖くて、自信満々な声だった。この人、酷いこと言われたのに全くへこんでないっぽい。
私の中のすごいことやっちゃったって気持ちが、しぼんでく。上着とスカートに、精液がかけられた。
男の人は腰をものすごい勢いで動かして、固定されたオナホールで大きなちんちんをいっぱいしごいてる。嫌な臭いのする鼻息が顔にかかって涙が出ちゃう。
また精液が飛んできて、制服がヌルヌルべとべと。
AI音声が、服を脱げって命令してきた。制服を脱ぎ捨てて、下着も脱ぐ間も、男の人は精液かけてきた。まだ裸になる前から、かけられるなんて思わなかった。
星見ちゃんは、わざとケガして包帯巻いとくって名案教えてくれたけど、怖がりなわたしは自分で体を傷つけるなんて出来ないから、服を脱いだら普通に全部丸見え。
わたしのテクニック挑戦はもうおしまいだった。
そのあとは、ベッドの上で色んなポーズをさせられて、男の人はわたしの体のすぐ真上に固定されて、抱きつかれる寸前の距離で腰を振って精液を飛ばしてきた。何回かけられたか、数えられない。
会話もした。わたしとセックスしたいってことを何度も言われた。結婚したいとも言われた。結婚出来たら毎日セックスするって、何十回も言われた。
思いきって、
『わたしは結婚したくないです。』
って言ってみたけど、男の人はショック受けたりしなかった。
『オレのチンコ味わったら結婚したくなるぜ。お前みたいな女とは相性いいからなァ!』
って言って大笑いして顔射してきた。
わたしが悪口とか痛めつけるようなこと言っても、無駄なんだ。星見ちゃんみたいな強気な言い方出来ないから。男の人のちんちんを小さくなんて出来ない。
テクニックは完全に上手くいかなかった。六時間、ものすごい量の精液をかけられた。口を開けて射精されて、精液飲み込まなきゃいけなかったりもした。アナルくぱあさせられて、そこに射精もされた。
『ここまでしたらもう俺ら恋人だろ?何でセックスさせてくんねえんだよ!』
って怒鳴られて、泣いて謝りもした。
ただのいつもの愛護活動。楽は出来なかった。
終わってシャワーを浴びて、外に出て星見ちゃんを探した。
失敗しちゃったって報告するのは気まずい。でも約束だし。
それに星見ちゃんの報告を聞きたい。多分、楽しくなるような話が聞けるって思った。わたしは少しわくわくしてた。
今日もクラスの子たちは先に寮に帰ったみたいで、街灯に照らされた校庭には誰もいない。星見ちゃんは待っててくれると思うけど、見つからない。
そうしたら後ろから足音がした。振り向いたら星見ちゃん。わたしよりシャワー長かったのかな。珍しい。
星見ちゃんは予想してたような顔してない。明るい、いたずらっ子な顔してそうだと思ってたけど、暗い表情してる。うつむき加減になってるのが星見ちゃんらしくない。
『星見、全然ダメだった………』
急にそんなこと言った。泣きそうな声の星見ちゃん。
『星見さ、カッターで胸と、ちんちんの上のとこにさ、ちっちゃく傷つけてさ、包帯巻いたんだけど………服脱いだらAIがね………包帯も取れって。』
星見ちゃんはやっぱり自分でケガして包帯巻いて恥ずかしいところ隠すってテクニック、ほんとにやったんだ。でも、通用しなかったんだ。
『AIの奴がバンソーコー用意してきて、傷に貼った。乳首もちんちんもおまんこも隠せなかった。』
『そっか……』
わたしはそれしか言えなかった。
『性犯罪者に思いっきり傷つけるようなこと言いまくった。今までたくさん気持ち悪い性犯罪者見てきたけどお前ほど非モテ顔してる奴はじめて見たわー、とか。でもさ………生意気で可愛いなとか言われて、気に入られた。もっと言えよ興奮するとか言ってきて………逆効果だった。』
ショックだった。星見ちゃんでも、男の人にダメージ与えてちんちん萎えさせるなんて出来ないんだ………。
『それでもね、星見、がんばって悪口言ってた。そうしたらあの男………いつか必ずお前を拉致してボコボコにしてやるって脅してきた………あと、一般社会に出て来たらレイプしに行くとか……そのちっちゃいチンポ噛みちぎってやるとか言われて星見………泣いちゃった………』
星見ちゃんの目から涙があふれ出した。
『ごめんね、音色…………』
それだけ言って星見ちゃんは泣いた。
わたしはなぐさめたかったけど、なんて言っていいかわからなくて、ただ一緒に悲しんでた。
朝が近づく紫色の世界に、わたしたちはずっと立ち尽くしてた。男の人には一生勝てないんだって、悩みながら。
星見ちゃんを抱きしめたかったけど、そんなことはとても出来ないし。わたしはいつまでも無力な弱虫のままだった。

性犯罪者保護政策時代の頃

性犯罪者保護政策時代の頃

  • 小説
  • 短編
  • 青春
  • 成人向け
更新日
登録日
2024-12-11

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

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