あ
心の声【2:2:0】
コメディー
掛け合い
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15分程度のコメディです。 居酒屋で2対2の合コンをする男女。 最初は盛り上がっていたが、守は自分の考えている"心の声"を口に出してしまうタイプで、ついつい考えていることを口走ってしまい…。
投稿者
大盛り
キャラ ( 2男 2女 )
修二
里実の高校の同級生。守のキャンプ仲間。ツッコミ気質。
守
修二のキャンプ仲間。自分の考えている"心の声"を口走ってしまうタイプ。
里実
修二の高校の同級生。美優の大学の同級生。気が遣える子。
美優
里実の大学の同級生。少し惚れっぽいところがある。
本編 ( 文字数:4194 )
居酒屋の個室。
修二と里実、守と美優が対面に座って、それぞれお酒を持っている。
修二:それじゃあ、今日の俺たちの出会いに…
修二:(同時に)かんぱーい!
守:(同時に)かんぱーい!
里実:(同時に)かんぱーい!
美優:(同時に)かんぱーい!
修二:ゴクゴクゴク…ぷはー!最高にうまいな!
守:やっぱこれだよなー!
里実:私、久しぶりに飲んだわー!
美優:うわ、皆、一口でめちゃくちゃ減ってる!
修二:そうかな!?いつもこれくらいだけど…。
美優:私、お酒飲める人が好きなんだー!
修二:ホント?じゃあ今日はガンガン飲まないとね!
里実:いや、でも本当ごめんね!
修二:ん?何が?
里実:元々、三対三の合コンだったのに一人来れなくなっちゃって!
修二:ああ、全然気にしてないよ!
むしろもう一人捕まらなくて、こっちも困ってたからさ。
守:そうそう、こいつ人望ないからなー。
修二:おい、そういうこと言うなよー。
美優:アハハハ!
修二:よーし!じゃあ自己紹介しようか!
俺が里実の高校の同級生の修二。最近、ハマってるのはキャンプ。
美優:えーキャンプ!?すごーい!
修二:いや、そんなことないよ!キャンプ場行けば誰でもできるし!
里実:何?アンタそんなことやってんの?
修二:別に俺が何やったっていいだろ?
守:まぁこいつの場合、一人キャンプだけどね。人望ないから。
修二:おい、それやめろって。
ていうか、そもそもお前もキャンプ仲間だろ?
美優:あ、そうなのー?
守:そうそう!俺は修二のキャンプ仲間で、守!
里実:あ、そこ、そういう繋がりだったんだ!
修二:いや、元々同じ会社なんだけどさ、部署が違って絡んだことなかったのよ。
会社の人と行ったキャンプにたまたま守が居て、意気投合したんだよな。
守:そうなんだよー!波長が合ったというかさ。
里実:なるほどねー!
修二:…はい、次は里実!
里実:はいはーい!修二の高校の同級生の里実です!
趣味は映画観賞とか…散歩とか…?
って、めっちゃ普通なので以上!
で、こっちが…。
美優:あ、里実の大学の同級生の美優です!
好きなタイプはキャンプやってる人でーす!
修二:いやいや、ロックオンがエグすぎるでしょ!
守:美優ちゃん、めちゃくちゃノリいいね!
美優:ありがとう!今日は楽しく飲みたいから、よろしくね!
守:はーい!よろしくー!
修二:じゃあ自己紹介も終わったしなんか頼もうか。
里実:オッケー!皆、何食べたい?
美優:私、だし巻き食べたい!
修二:あ!だし巻きいいね!
里実:お刺身頼む?
修二:いいね!盛り合わせ頼もうよ!
里実:オッケー!他に食べたい物は…
守:正直、別に食べたいものないんだよなー…。
全員、沈黙。
修二:あ、ああ、そうか…。
守:机の上にある物、適当につまめたらそれでいいんだけど…。
美優:…で、でもそれわかるー!
守:誰か適当にバーっと頼んでくれないかな…。
こういう時って女性陣に「適当に頼んでー」って言えたらいいんだけど、心証悪いよな…。
気が遣える女性だったら頼んでくれるか?
いや、それは高望みしすぎだな。
まぁ、食べたい物ないけど適当に言っとくか…よし…。
唐揚げとかどう?
全員、沈黙。
修二:お、おお…か、唐揚げな…!いいじゃん!
里実:そ、そうね!唐揚げ頼もうよ!
美優:わ、私、いつも絶対唐揚げ頼むもん!
守:よかった!皆、賛同してくれた!
唐揚げっていうチョイスは間違ってなかった!
里実:えっと…じゃ、じゃあ…!鶏の唐揚げと軟骨の唐揚げだったらどっちがいい?
美優:それどっちか迷うよねー!
守:正直…鶏の唐揚げと軟骨の唐揚げだったら軟骨の方がいいな…。
でも一旦、皆の意見聞くのが無難か…。
皆が鶏の唐揚げがいいと思ってるのに、自分だけ軟骨の唐揚げとか言っちゃうのは空気読めてないし…。
空気読めない奴がいる合コンって嫌だもんな…よし…。
あ、俺どっちでもいいよ。
修二:待て待て!
守:ん?何?
修二:そのさっきからずっと言ってるの何?
守:ん?どういうこと?
修二:ずーっとそのブツブツ言ってるやつ、何?
守:は…?え!?もしかして漏れちゃってた!?心の声!
修二:心の声?
守:俺、たまに自分の考えてる心の声が漏れちゃうことがあるんだよね。
修二:何でだよ!そんなもん漏らすなよ!
守:でも漏れちゃうタイプなんだよね…。
修二:どんなタイプだよ!我慢しろよ、大人なんだから!
守:我慢って言われてもそういうタイプだからな…。
里実:ま、まぁいいじゃん!とりあえず私、適当に注文しちゃうね!
修二:あー、なんか気ぃ遣わせちゃってごめんな!
里実:ううん、全然大丈夫だよ!
守:適当に頼んでくれるんだ!里実ちゃんは得点高いなー
回すのもうまいし、気遣いもできるし。
まぁ顔は可もなく不可もなくだけど。
修二:お前どの立場で言ってんだよ。
守:え?何が?
修二:心の声かよ!
美優:え…?嘘…?
修二:あ、いや、本当ごめんね!嘘みたいに変な奴連れてきて!
守:誰が変な奴だよ!
里実:あ、あはは…。
美優:そんなことある…?
修二:ん?どうしたの?
美優:いつか心の声が漏れる人と出会うと思ってたけど、合コンで出会うなんて…!
いやいや、焦るな焦るな。こういう時こそ平常心を保たないと…。
ここで私が動揺したり、黙り込んだりしたら場の空気悪くなっちゃうし…。
一旦、冷静になる為に席外すか…。
それがいいよね…よし…。
ちょっとお手洗い行ってくるね!
里実:んー?美優ー?
美優:え?何?あ、里実も行く?
里実:いや、そういうことじゃなくて。
修二:美優ちゃんも!?
美優:え!?何が!?
修二:美優ちゃんもなの!?
美優:だから何が!?
守:心の声、漏れてるよ。
美優:……。
え!?嘘!?私、心の声漏れてた!?
修二:漏れてた漏れてた。
里実:もうダダ漏れだったわよ。
美優:実は私も心の声が漏れちゃうタイプで…。
修二:だからそれどういうタイプなの!?
守:え!?俺以外にも心の声が漏れちゃうタイプの人がいた!?
それって俺と同じ境遇ってことだよね!?
これ完全に運命でしょ。
共通の話題で盛り上がって、二人の距離は縮まり、
付き合った後、結婚なんてことも…!?
あぁ…結婚したら子どもは三人がいいな…よし…。
まぁまぁ、落ち着いて。
修二:落ち着くのはお前だよ!
守:ああ!また漏れてた!?
美優:確かに同じ悩みの話とかして盛り上がれそう。
本当にこれって運命なのかも…。
よく見たらちょっとかっこいい気もするし、付き合ってみてもいいかも…。
でも今は冷静な判断できてないよね…一旦席外そう…よし…。
ちょっとお手洗い行ってくるね!
修二:美優ちゃんは早くお手洗いに行っておいで!
里実:美優!めちゃくちゃ漏れてるから!
美優:え!?私、漏らしてないよ!?
修二:ああ、もうそういうダジャレみたいなのいいから!
里実:心の声の話だから!
美優:あっ、心の声か!最悪!
守:え?美優ちゃんも俺のこと意識してる?
意識されるとこっちも意識しちゃうっていうのが人間ってもんだよね…。
美優ちゃん可愛いしノリもいいし、マジでこのまま付き合ってもいいかも…。
里実:ちょっと何考えてるのよ!
美優はそんなに簡単に…。
美優:守くんも私のこと意識してるの!?
意識し合ってるってことはこれって両想いってこと!?
まだお互いのこと全然わからないけど、
付き合ってから少しずつわかっていくのもアリだよね…。
里実:ちょっとちょっと!?
守:これはいける!絶対付き合える!
……。
あの…美優ちゃん、俺と付き合ってください!
美優:え!?告白されちゃった!
……。
恋って時に思い切りが必要なこともあるよね!
…はい…よろしくお願いします…!
里実:ちょっと待って待って!!!
修二:急展開すぎるだろ!!!
守:(同時に)あっ、心の声漏れてた!
美優:(同時に)あっ、心の声漏れてた!
修二:心の声で会話して、カップル成立すんな!!!
全員、沈黙。
守:こいつデカい声出して何なんだよ…。
彼女いないから心に余裕がないのかな?
早く彼女作ればいいのに。俺みたいに。
ガハハハ!…ふぅ…。
まぁまぁ、そんな大きな声出すなって。
修二:おい、てめぇふざけんなよ!
守:言ってない言ってない!心の声だから!
修二:心の声って言えば何でも許されると思うなよ!
言ってなくても思ってはいるだろ!
美優:ごめんね、守も本当はこんなこと思ってないと思うんだ。
だから守のこと許してあげて。
修二:いや、思ってないことないよ!
思ってるから心の声として出てるんだよ!
…そんでなんか、彼女面するの早くない!?
美優:彼女"面"って…。
実際、守と付き合い始めたから守の彼女だし、時間とか関係ないよ。
修二:マジで言ってる!?
まだ乾杯しかしてないよ!?
まだ料理すら頼んでないから!
お通しの枝豆しか来てないから!
守:こいつさてはひがんでんだな?
自分に彼女できないから…。
美優:嫉妬する男の人ってちょっと…。
守:まぁ女性には…。
美優:モテないよねぇ…。
修二:…あのなぁ…お前らなぁ…!
里実:もう最悪なんだけど!!!
修二:…え?
守:……。
美優:……。
里実:もう最悪!
今日の合コンめちゃくちゃ楽しみにしてたから、
一生懸命働いて残業にならないようにしたのに…!
何でご飯すら頼んでないのにこんなに最悪な状況になってんの!?
あー美優連れてくるんじゃなかったー…。
人選ミスったー…。
修二:あの?里実?
里実:いや、でも合コンも序盤の序盤だしこっから巻き返せないかな!?
あーでも無理だよね…。
だって守くんと美優はもう付き合っちゃってる訳だし、
ここからそれを無視して再度始めるなんてことできないよね…。
もう一回リセットして最初からとかできないかな?
あーマジリセットしてぇー。
修二:あのー里実さんー?
守:これってもしかして…
美優:心の声漏れるのが感染(うつ)った…!?
修二:心の声漏れるのって感染(うつ)るの!?
ってことは、今里実は心の中でこんなことを考えて…
里実:勘違いしないでよ。
修二:え!?
里実:これは普通に思ってること言ってるだけだから。
修二:心の声じゃないのかよ!ややこしいな!
…いや、じゃあめちゃくちゃキレてんじゃん!!!
里実:今日さ。
修二と久しぶりに会えるから少しでも多く修二と話したくて、
わざわざ三対三の合コンで一人来れなくなったとか嘘なんかついてさ…。
修二:嘘…!?いや、そんなことなら飲みに誘ってくれたらよかったのに…。
里実:それができたら苦労してないのよ…。
私から誘ってがっついてる女だって思われるのも嫌だし…。
修二:別にそんな風には思わないよ…。
里実:一人じゃ心細かったの!
だから美優にアシストお願いって言って合コンにしたのに!
美優:あの…里実、本当にごめんね…。
自分と同じ境遇の人に会えてテンション上がっちゃって…。
里実:いいよいいよ。わかってるから。
修二:アシスト?何?どういうこと?
里実:はぁ…。
今日、この後修二といい感じの雰囲気になって、それから告白したかったの!
修二:…ん?告白?え?告白?
里実:そう。告白するつもりだった。
だって私修二のこと好きだもん。
修二:…はぁ!?
里実:って、もう全部言っちゃったじゃん!
私どうしちゃったの!マジで感染(うつ)っちゃったのかな!
ごめん!やっぱ今の無し!
修二:……。
いや…それ、めちゃくちゃ嬉しいんだけど…。
里実:へ!?
修二:俺も…里実のこと…好きだから…。
里実:ほ、本当に!?
修二:ああ、本当に…。
里実:だって…いつから…?
修二:高校の時に選択の授業あったじゃん。
あの時、一緒になってからずっと好きだった。
大学別々になったから言えなかったけど、俺も…好きだったよ…。
里実:嘘…。それじゃあ…私と…付き合ってください…!
修二:はい…お願いします…。
守:おい!修二やったじゃん!おめでとう!
美優:二人共、本当におめでとう!よかった!
修二:なんか…彼女できたんだけど…。
守:まだ乾杯しかしてないのに。
美優:まだ料理すら頼んでないのに。
里実:お通しの枝豆しか来てないのに。
修二:全員付き合っちゃったよ…。
全員、沈黙。
守:こんなことあるんだな…。
美優:そうだね…。運命的というか…。
里実:ていうか、めちゃくちゃ嬉しい…。
守:心の声が漏れちゃわずに素直に気持ちを伝えるっていうのもいいな…。
修二:それは心の声じゃないよな?
守:これは純粋な感想。
里実:美優、これからは心の声が漏れ過ぎないように気をつけなきゃね!
美優:うん、それで仲悪くなったら最悪だもんね!
守:俺も心の声、気を付けないとな。
修二:本当にそうだよ。
一人に戻らないように気をつけなきゃな。
人望ないから友達もいなくて寂しいだろうし。
守:は!?どういうことだよ!
修二:あ、ごめん、心の声漏れたわ。
守:それ仕返しかー!?
全員、笑う。
修二:とりあえず、今度四人でキャンプ行くか!
守:(同時に)そうしよう!
里実:(同時に)そうしよう!
美優:(同時に)そうしよう!
あ