『商品価値』

選択肢の少なさに嘆いた夜
貴方はまたアタシの弱い所を突いてくる
甘い言葉も視線も
見え透いているからこそハマるの


『商品価値』


アタシに其れが有るか無いか
殿方は好き勝手に議論するけど
アタシは貴方を好きなだけの
ただの女よ

分かってる
これはお仕事で
貴方は単に管理したいだけ
アタシで儲けたいだけ

騙す為のキスでも
この胸は高なったし
ずるずる落ちてくだけの身を
嘆く暇もなかったの

だって二人になれば
いつだって言葉をくれた
抱き締めてくれた
それ以上何もなくても
それだけでアタシには充分

だからアタシは今夜も
知らない男と踊る
ドレスの中すら見せて
どこまでだって踊るわ

夜が明けた頃
貴方は決まってアタシに言うの
「君だけだよ」って

大丈夫
ちゃんと分かってる
見え透いているからこそハマってるの
それだけなんだから



「ああ、貴方の全てが憎い」

『商品価値』

『商品価値』

  • 自由詩
  • 掌編
  • 恋愛
  • サスペンス
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2024-11-17

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