ストロベリーヘッドの子供達

 わたしはコートに両手を突っ込んだままで辺りを見回した。自分意外の世界は楽しんでいる、異質感と水を被ったような感覚が全身にあった。壁側の時計を見ながら数分やり過ごせば解放だと思うことにした。集積場は夥しいほどの段ボール箱が高く積まれている。輸入物の苺が詰まった箱にはストロベリーの頭部を持った子供の絵がこちらを見て笑っている。ショッキングに見開かれた瞳、重刷をされたストロベリーヘッドが全ての側面に貼られ、有名なシルクスクリーン作品に似ていた。わたしを取り囲む人間は互いに労り合い微笑みながら、そして踊れと命令した。気付く、彼等は苺の子供と同じ構成だ。頷いて指示されたとおりに踊ると全員は満足した。やがて飽きたのか誰かが合図を出す。その瞬間、複数の衝撃が全身を包んだ。口中に大量のアイスクリームが流れ込んできた。喉の奥で溶けたクリームが逆流する。跳躍する赤、黄、青色の発光。膝を付いて立ち上がると視界が回った。光景がフラッシュバックする。体勢を崩して壁に手をついた。自分の消耗した両手を見る、ティラノサウルスの絶望的に縮小した手に似ていた。頂点より這い降り、国道を若干の不安定さを持ちストレンジに疾走する姿。その爆発するような美しさ。再び、バニラの香りのするアイスクリームが頭上から降り注ぐ。もがきながら、無邪気なストロベリーヘッド達を目で探す。その愛くるしい種子の付着した三角形部分に触れてみたいと思った。多分、わたしは世界に自分を売ったのだ。派生するこの密室公開処刑ショーは予期していたのか。一体、どちらなのだろう。

ストロベリーヘッドの子供達

ストロベリーヘッドの子供達

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 青年向け
更新日
登録日
2024-11-14

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