『親友』
どうしようもなくなったら
アタシのとこにおいでよ
だって君は特別
『親友』
大好きな飲み物を教えて
大嫌いな色を教えて
あの人を想う時の
胸の痛みを教えて
口紅を選ぶみたいに
あの人を選んだ君は
何時かの幸せを何度も繰り返す
まるで過去を懐かしむ老人のように
ねぇ
手を繋いだら何処にだって行けた
あの頃とは全部違うのよ
アタシはもう
あの頃とは違うの
台本に隠れてしたキスも
屋上で夢見た心中ごっこも
舞台で渡した密かなラブレターも
全然が全部
もう過ぎ去ったことなのよ
目が覚めたらどうか
アタシ以外を捨て去ってください
そして赤い爪で唇を辿って
いつか行き着いてください
「ようこそ、アタシという迷宮へ」
『親友』