一説によると…
一説によると、救いは無いらしい。
一説によると、苦痛が完全に癒えることはないらしい。再発に怯えながら生きるしかないらしい。
一説によると、思い出すこと、および思い出そうとすることは祈りに含まれるらしい。
一説によると、思い出したものが偽りだったとしても、それを愛し抜かなければならないらしい。
一説によると、自分を優先しなさすぎるのは歪んだ自己愛、破滅願望らしい。
一説によると、救いというのは断続的なものであり、永続的な救いというのは無いらしい。
一説によると、大丈夫かと訊かれて大丈夫と応えるのは、ことごとく欺瞞らしい。
一説によると、真実の愛は吃りを伴うらしい。饒舌な愛というのはことごとく欺瞞らしい。
一説によると、またねは束縛で、さよならは解放らしい。
一説によると、愛した期間を愛したこと、その事実こそが対象を愛したことより重要らしい。
一説によると、約束は延命の役割を果たすが、愛は果たさないらしい。
一説によると、かつて愛した人を再び愛したくなるのは、破滅の前兆らしい。
一説によると、別れ際に手を振るのは、ここにいるよ、という合図らしい。
一説によると…