一説によると…

一説によると、救いは無いらしい。

一説によると、苦痛が完全に癒えることはないらしい。再発に怯えながら生きるしかないらしい。

一説によると、思い出すこと、および思い出そうとすることは祈りに含まれるらしい。

一説によると、思い出したものが偽りだったとしても、それを愛し抜かなければならないらしい。

一説によると、自分を優先しなさすぎるのは歪んだ自己愛、破滅願望らしい。

一説によると、救いというのは断続的なものであり、永続的な救いというのは無いらしい。

一説によると、大丈夫かと訊かれて大丈夫と応えるのは、ことごとく欺瞞らしい。

一説によると、真実の愛は吃りを伴うらしい。饒舌な愛というのはことごとく欺瞞らしい。

一説によると、またねは束縛で、さよならは解放らしい。

一説によると、愛した期間を愛したこと、その事実こそが対象を愛したことより重要らしい。

一説によると、約束は延命の役割を果たすが、愛は果たさないらしい。

一説によると、かつて愛した人を再び愛したくなるのは、破滅の前兆らしい。

一説によると、別れ際に手を振るのは、ここにいるよ、という合図らしい。

一説によると…

一説によると…

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2024-11-07

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted