切符

矢印が向かない

何を愛していたのか思いだせない

尚も俺を在らせるものは何だ

俺は誰の声に従っているんだ

何枚の切符をふいにしたんだ

誰を追いかけていたのか思いだせない

思いだせないのは他でもない

俺自身が隠蔽しているからだ

無駄な思念や思考が俺を引き裂き

骨という骨を腐らせる

俺の眼は節穴だ

あなたの核を未だ捉えることができない

どうしようもなく震えているその手に

俺の手を重ねたところで、何になる?

俺に愛する能力がないのは最初から分かっていた

気づいていないふりをしていたんだ

誰の何をどこまで追いかけようと

二人の視線が交わることは永遠にない

切符

切符

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2024-11-04

Copyrighted
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