切符
矢印が向かない
何を愛していたのか思いだせない
尚も俺を在らせるものは何だ
俺は誰の声に従っているんだ
何枚の切符をふいにしたんだ
誰を追いかけていたのか思いだせない
思いだせないのは他でもない
俺自身が隠蔽しているからだ
無駄な思念や思考が俺を引き裂き
骨という骨を腐らせる
俺の眼は節穴だ
あなたの核を未だ捉えることができない
どうしようもなく震えているその手に
俺の手を重ねたところで、何になる?
俺に愛する能力がないのは最初から分かっていた
気づいていないふりをしていたんだ
誰の何をどこまで追いかけようと
二人の視線が交わることは永遠にない
切符