だが断らない

むう、
来る気配がない・・・。

少し前に
懐かしい人から
連絡があり
と、ある贈り物がいただけるそうで。

ずいぶん前に
私が
その方のお屋敷を訪ねた際に
うっかり欲しがってしまった絵画なのですけど。

『そんなに欲しければ私が死んだ後に
貴方に差し上げよう』

と。

いえいえ
お亡くなりには
なっていませんけど

諸事情により
已む無く
そのお屋敷を
処分される事になったそうで。

連絡を受け
なら
お言葉に甘えて
図々しく
引き取りに伺わせて頂きます、


答えたのですが

うーん、
その時の御電話口での
空気感としか
言いようがありませんが

どうやら
来て欲しくないみたいで。

なにか
あるのかなぁ、

と。

というわけで
着払いにしてもらい
送っていただくことになりまして

お願いした業者さんが
物流の大手企業ではなく
ちょっと小規模な
専門店な配達を専門家に
している所みたいで。

梱包から何から
全部お任せの。

日にちの指定は出来たのですが
時間指定とか置き配は出来ず
必ず
受け取り側本人であるところの
私による立ち合いが必要とのことで。

お越しになる
本日
朝には
何時頃になるか
ご連絡して下さると
聞いていたのですが

未だに連絡がない。

8:34現在です。

恥ずかしく無いように
玄関周りを掃除し
お土産用の缶珈琲も冷やし
数種のお菓子も用意して
お待ちしているのですけど。

たぶん1人では運べない大きさなので
複数人ぶんね。

あと念の為
3Lの男物のパンツも
わざとらしく
ベランダにそして部屋干しにも
5枚くらい掛けて
防犯アピールしております。

ちょっといま
主人が外しておりまして
すぐ戻るとは思うのですけど・・・

小芝居のセリフも
先ほどから
呟いて演技練習。

違う、こんなのじゃない、
もっと
昼下がりの気だるさを出し・・・
それでいて
舐められぬ・・

ガラスの仮面を被る様に
もっとぉー!

亜弓さんとの勝負?
そんなの忘れてました・・・

くらいの。

さらに

これはあの・・・
記すか迷いましたが

防犯ブザーをポケットに忍ばせ
さらにさらに
まあ
護身具なんかも
すぐ手の届く
あちこち
至るところに隠してあります。

録音録画も念の為。

今日は
この事さえ無ければ
完全に予定無しのオフだったので
どうにも落ち着かない

来るまではテレビも観れませんし。

と、いうのは
わたくし
テレビや動画を観るときは
入居して以来
一貫してヘッドホンなのですよ。

前に一度だけ
大型台風が来た時に
窓まで雨が強烈に打ち付け
これならば!!

そう
ここぞとばかりに

初めて
テレビのスピーカーで
音声を流しましたけど。

このテレビも入居してから
購入したものですが
後にも先にも
そうした音声の出し方をしたのは
その一度だけです。

でも
最近は
ブルートゥースのヘッドホンや
イヤホンがあり
大助かりですが。

どちらも
充電式なので
代わる代わる愛用しております。

8:47!!
御電話がきた!!
12時から15時くらいに
来て頂けるそうで。

お昼ごはん
用意しといた方が良いですかね。

うーん
要らないか、
かえって迷惑ですよね。

それと
わたしの電話は
この機械に電話登録してある番号以外は
一切受け付けず
着信履歴さえ残らないように
してありますので
その解除のやり方を忘れ
大変でした。

忘れないうちに
また
元にもどさなければ。

そんな事はないと
思いますが
こういった経緯が何かしらで
漏れており
そういうタイミングを推し量り
詐欺電話が
掛かってこないとも
限りませんので。

いや、
まえに
そういう事を疑わざるを
得ない目に遭遇したことが
ございまして。

オレオレ詐欺なんて
アッハハ
引っかかる訳ないじゃーん☆

とか油断していると
やられますよ。

ホント単純ではなく
物凄く巧妙に
詐欺自体が進化してきているので。

だから
わたしは
個人の情報
ダダ漏れのような

スマホを持っている人なら
ほぼ全員
常識的に入れて利用しているアプリも
やっていません。

職場の連絡も
知人からの連絡網も
かなり
オマエだけ面倒いと
陰口を
叩かれながらも
けしてやらない。


12時18分
キタキタキタキタキタキタキタキタキタキタキタキタキタキタキタキタキタキタ

きたぁー。

もう
ベランダと窓全開で
停まるトラックの気配を探っていたところ
やはり
間違い無かった。

お部屋に運んでもらい
梱包を解き
立ち合いの下で確認作業、

のち

まあ
見栄えはともかく
兎に角
大地震が来ようが
KOアーティストに一撃入れられようが
けして倒れない、


念頭に念入りに
作成しておいた
御手製の治具に設置するのも
お手伝いいただきました。

一番陽当りの悪い部屋を
整理してこちらへ。

焼けちゃいますからね。

そして
賃貸なので壁に掛けられ無い為
この様なスタイルになりました。

この絵画用治具は
テレビ用85インチサイズのスタンドを
参考に下手くそな
図面を引き設計してみました。

絵のサイズは

220✕150

流石に大きい。

裏には
日焼け防止用の紫外線カットの布地カーテンも
張ってございます、
壁掛けに出来ない分
だからこそのメリットかと。

お昼はこちらを掛けておく、
夜行性だから。


で、
何の絵画かと
申しますと

実物大?なのかな??

【白虎図】です。

真贋は私には
判定など出来ませんが
どちらでも良いです。

絵描きさんは
虎の絵では
とても有名な方だと
話にはうかがっております。

アホなので
そこら辺は
知ったかぶりもできませんし
まして
知識もハッキリ言ってありません

この迫力は素人目にも
半端でない。

元の持ち主様は
こちらも含め
いわゆる霊獣四神の絵画だの彫刻を
お屋敷の東西南北に置かれてまして。

この白虎は西を護っていた絵画、

だったような。

いや、これも
うろ覚えなのですけど。

なんせ
14、5年くらいは
前のお話なので。

凄いなー

魔除けと
金運を呼び寄せてくれる。

持ち主の方も
かなりのご高齢で
ずっとお一人で過ごされて来た方。

私の認識では
成功者の部類に入られるお方ですし
なにより
その信念で
その御歳まで無事にこられたのだから・・・

ということで

おそらく
霊験あらたかな。

いやしかし大きい。

おそらく
この部屋では
いずれ
白虎さんも
御満足頂けなくなるような狭さ。

申し訳ございません、
そこでひとつ
宝くじの一等のほうを、


とりあえず
その眼を見詰めて
お願いしてみました。

こしたんたん。

いやー

私より
確実に大きいですよ。

長い付き合いになりそうです。

絵画というより
同居人、

人ではありませんが
そういう存在がやってきたような。

あ、こういう話では
よくありがち変な雰囲気や
嫌な感じはまったくしません。

かと言って
当たり前ですが
媚びてる風でもない。

いえ
ホント失礼ですけど

虎も元持ち主も私も

群れない性分なので
なにか
不思議に因縁めいたものだけは
少しだけね。


15時52分
夕陽というには
まだ早い中を
延々と走ってます。

今が折り返し

ここからまた半分。

正直
いつまで立っても平気にはならない。

慣れはするけど
すぐ
止めたくなる。

水が高いところから
少しでも低い所へ流れ落ちるように
人はそういうものだと思う。

それが自然。

でも
それに逆らう無駄な足掻きが
気持ち良い。

まあ
それだけ。

じゃ生きますか!!

 

だが断らない

だが断らない

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2024-11-03

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