倉俣史朗氏のように
「自己・記憶」イメージの断片と連鎖による表象、それは目紛しく切り替わりあらゆる記憶を覚ました。世界最速のジェットコースターは、わずか数秒で最高時速の240kmを実現化させる。無数のカラフルな発光体はジャンピングしながらそれを追い、膨張・捩じれ・点滅を繰り返した。スピードが与える恐怖に全身が硬直し、ただ祈るような体勢で安全装置を掴んだ。やがて開始される「変容」へ。突如、落下に近い角度でジェットコースターは急降下した。それを合図に新たなフォルムへと変貌を遂げる。レールから外れ、爆発に似た光を放ちながらオーバルコースサーキットへと突入する。流動的にうねりながら咆哮するドラゴンのような形態からコンパクトなインディカーへと姿を変えた。さらなる加速、美しく神聖なる370kmの世界。瞬間、目前にギラリとした何かが飛び込み、マシン上で大きくバウンドした。鮮やかな青空との対比、降り注ぐ太陽光と絶望を帯びた影が融合する。至近距離で跳ね上げた相手と目があった。ロリポップを持ったマシュマロマンとの対峙。周囲にはクラッシュしたマシュマロの破片が飛び散っている。口にすると蕩けるように甘いだろう。そこで自分はいつもの夢を見ていることに気付く。また彼において、Stay Puft Marshmallow Manではなくムッシュ・ビバンダム(Bibendum)なのだ。
倉俣史朗氏のように