crescent moon(修正版)

6月6日、AM6:30[ 起床 ]

◉ エバーフレッシュ ◉
学名・Cojoba arborea var. angustifolia
科名・マメ科
属名・コジョバ属
原産地・メキシコ・南米

 植木鉢の土は、新鮮な水を吸収した。わたしはバニラクリームを舐めながらテレビを観る。チューリップを縦半分に割った形の椅子に全身を預けて、複雑な表情を浮かべる。とても現実的ではないニュースが流れていたからだ。そこには少し奇妙な顔立ちをした男が映し出されていた。国道沿いにあるボウリング場は、広大なゴミ廃棄場の一部に建てられていた。屋上に娯楽施設のシンボルとして、全長15メートルのティラノサウルス・レックスが屹立している。今日の未明、その付近に突如として2ケ所のクレーターが出現したとの事だ。上空旋回するヘリの映像からは双児のような対称の凹型が確認できた。クレーターには大量の濁った水が流れ込んでいて、調査のための簡易ボートが出されていた。再度、画面が元に切り替わる。例の男は、宇宙人が関係していると真面目な口調で話し始めた。UFOが左右に大きく振れて、目の前で落下したのだと言う。バランスの崩れた顔のパーツ、しかし恐ろしくチャーミングな小動物を連想させた。テレビカメラの前では挙動不振だったが、本当に緊張している訳では無いと感じる。目付きがあきらかに動じていない、むしろ有頂天で嬉しそうな匂いがした。背後にはやがて消えるだろう、爪先のようなcrescent moonのシルバーの煌めき。その暴力性を内包した何かは、発射の瞬間に狂いなく機能する。標的確認、鮮やかなる完璧な瞬間をとらえて放つ。テレビの向こう、チャーミング&ストレンジな姿。恐るべきタイミングでウインクをした。
―――「皆サン、UFOが墜落シマシタ ! ! ! 」(↑ドラえもんえかきうた )

crescent moon(修正版)

※ 2024-10-09投稿 「crescent moon」書き直し。詩から短編小説に修正。

crescent moon(修正版)

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 青年向け
更新日
登録日
2024-10-26

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