『目玉焼き』

結局いつも通り夜は明け
貴方は淡々と支度を始める


『目玉焼き』


散々泣いて喚いて非難して
それでも愛してるとか言う
白々しい気持ちでいようと決めたのに
そんなのもう無理だと知った

貴方はいつも先に謝るけど
何が悪いかなんて分かってない癖に
アタシだって今更何が悪かったかなんて
口に出せるほど分かってはいない

貴方の事情は理解してるつもり
ただアタシの事情が置いてけぼりで
それが酷く悲しかっただけよ
後回しにしてた色々が牙を剥いたの

抱き締められてあやされて
一晩中愛してると言われてしまえば
これ以上の詮索は野暮な気がして
また口を噤み言葉にならない何か

根本的な問題よ
貴方は愛してない振りが上手くて
アタシは愛してる振りが上手い
今の内にちゃんと考えなきゃ泥沼ね

気付いてない貴方が可哀想で
「ソース」と一言で済ますのも
何だか許せてしまうから
アタシは今朝も「はい」と笑うの



「無言の笑顔で塩コショウを振るアタシ」

『目玉焼き』

『目玉焼き』

  • 自由詩
  • 掌編
  • 恋愛
  • サスペンス
  • ミステリー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2024-10-22

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