『未亡人』

緩やかなお別れ
寂しいという嘘


『未亡人』


どんな人にも必ず訪れる
最期の別離に手向けの花を
残されることは解ってた
だから沢山キスをしたの

人生をかけて愛すると
ちゃんと誓いを守ってくれた
これから先を生きられるよう
独りの道も照らしてくれた

だけど不思議なくらい
貴方はもう居ないと分かってるのに
貴方はアタシの傍に居るのよ
いつも通り左腕を差し出して

そっと手を添える瞬間が好きだった
貴方が僅かに口角を上げるのを
目の端で見上げるのが好きだった
いまもほら、分かりにくい笑み

黒いベールに隠れて
アタシも微かに微笑む
だってこんなのは別れじゃない
姿が目に見えなくなっただけのこと

次の幸せを祈るような貴方に
アタシが永遠を教えてあげる
生涯をかけて愛すると
信じきれなかった貴方に



「次会った時にベールを脱ぐから受け止めて」

『未亡人』

『未亡人』

  • 自由詩
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2024-10-22

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