【短歌】野球少年にならなくて
短歌投稿サイト「コトバディア」から転載です。
薄いの厚いのいうけど結局きみの唇がスキなんだって
お願いだよ心臓静かにして告白中に倒れちゃうよ
そもそもが無理な話さクラス替えだってあの子はひとつ後輩
あの…ひょっとして中ニの春ぼくを振りやがった女子ですよね?
ひょっとしてぼくは意外とイケメンかだって女児がずっとガン見
一日で人生が変わるなら悪魔か神になれるんだろうか
一日中あなたのこと考えてたらぼくは名もない浮遊物
実はぼくスナイパーだから殺るの簡単。呪いはまどろっこしい
すれ違う目があった瞬間にアイコンタクト頑張って、君も
廊下ですれ違うたび平然としてたけどほんとはさほんとはね
たとえ相手がゾンビやエイリアンでも闘うケツまくる覚悟で
よわく握りかえしたきみの手は小さくて冷たく微かにふるえ
部活後教室の窓から眺めた夕焼けがいちばんきれいだ
窓から見える風景、校庭のきみ、この時間、永遠に思え
もし窓を開けられるなら文学の香りが每日舞うこの街
お探しのおとしものですが別の人生に組み込まれたようです
恋も恥も忘れ物も落とし物も捜索しきれない10代
「綺麗な指」と触れるあなたはなぜ興味を抱いたんだろぼくに
指先からながれる極細のラインが踊り出すのを待つ時間
すこし曲がった小指は日曜軟球追ってた頃の名残
肌が焼けていることが絶対正義だった遠い昭和の夏
笑顔でなく泣き顔を見たいのは君に興味を持った証拠
才能や能力や色気でもちらり余韻のこすが粋でいい
さらり役割をこなしゆるり作業を進めちらり能力見せ
【短歌】野球少年にならなくて