zoku勇者 ドラクエⅨ編 6
姫君と黒騎士編1
4人が揃って2日目の朝を迎える。やっぱり初日はドタバタで
過ぎて行ったが、今日からまた改めて気を引き締めて頑張ろうと
いう事に。現在はリッカの宿屋で朝食をとりながらこれからの事を
どうするか会議中である。
「ふう~ん、んで、まずはその、人助けすると貰えるって
言う星のオーラとかいうの集めるんだね、成程……」
そうは言っているが、何となく我関せずでダウドは
のほほんと喋っている。目玉焼きに付いている付け合せの
ソーセージをフォークで齧りながら……。
「まあ、そう言う事、お前らも頑張ってくれや……、でないと
俺がガングロに呪い殺されるからさあ……」
(何っ!ジャミルっ、何か言ったっ!?ちゃんと
聞こえてるんですけド!?)
「たく、うるせーなあ~、ホントにもう~……」
「それにしても……、ジャミルがねえ、今回は天使か、
天使……、プ……」
「……んだよっ!腹黒っ!何で其処で人の面見て吹くっ!」
ジャミルの顔を見、考えてみてアルベルトは吹く。
ジャミルはどう見ても天使ではなく、ベビーサタンの
親戚だからである。
「はい、モンちゃん、おっきな口開けていいよ、目玉焼きさん
あーんだよ!」
「あーん!モン!」
「やれやれ、そっちは呑気でいいねえ、でも、モンはこれから
アイシャが面倒見てくれるから助かるわ、……んーっ!」
ジャミルは気持ちよさそうに椅子にもたれ大きく伸びと欠伸をする。
其処へ4人のテーブルの処にリッカがやって来る。
「皆さん、お味は如何ですか?はい、食後のスープですよ!」
「おー、こりゃまた……、スゲーいい匂いするっ!流石っ!」
「ジャミルったら!食いしんぼ!でも本当、いいにお~い……」
「そ、そんな大した物じゃないから、有り合わせの材料でね、
今日はサービスだよ、どうぞごゆっくりしていってね!」
ジャミルを注意しようとしたアイシャもリッカ特製のスープの
匂いに釣られる。4人は美味しいスープに舌鼓をうち大満足であった。
「本当、美味しいね……」
「だろ!?最高だろ、リッカのスープ!」
「……あっひいよおー!でも本当にうまうまー!」
「……」
「モン~?アイシャ、スープとにらめっこさんしてるモン?」
「えっ?えええ、何でもないのよ!うん、本当に美味しいねっ!」
「モンー!」
アイシャは慌ててスープを口に入れた。確かに美味しいが、
何となく彼女にとっては非常に、……とても複雑な味に
なっていたのであった。
(ほーほー、何かすっげーおもしれー事になってきてんじゃない!
いよいよ恋の悩みならお任せのこのサンディ様の出番かしらっ!?)
……と、水面下で余計な変なモンも動き出しそうになっている様な
気配にも気づかず……。
「あっ、そうだ……、今ね、セントシュタインのお城がちょっと
大変な事になっているみたいだよ……」
カウンターへと戻ろうとしたリッカが急に事を思い出し、
4人を振り返った。
「ん?……城がか?」
「うん、詳しくはお城の前に立て看板があったから、見に行って
みるといいかもね、何だか急遽の衛兵さんを募集してるみたいだったよ」
「緊急事態なのか……、取りあえず行ってみるか……」
ジャミルの言葉に他の3人も頷く。4人+サンディ、モンは早速
お城へと向かう。リッカに聞いた通り、衛兵募集の件の立て看板も
チェックしておく。
『我が国に黒き鎧を纏いし正体不明の騎士現る 騎士を討たんとする
勇敢な者、我が城に来たれ 素性は問わぬ セントシュタイン国王 』
「だとさ……」
「うへえ~……、黒い鎧着てるだけで悪者扱いされちゃうとか……、
世知辛い世の中だなあ~……、悪い人じゃなかったらどうするのさあ~」
「とにかくお城に行ってみようか、国王様にお話をお伺いしなくては……」
「そうね、此処は私達の出番よね!よーし、頑張るわよっ!」
「モンモンー!」
「おい……、あまり張り切るな……って、なんかモンの奴、
すっかり騒動屋のパートナーに定着しちまったなあ~……」
ジャミルはアイシャの方を見る。……そしてモンの方も。アイシャの奴、
どうせこの話でも暴走すんのは避けられねえなあと思いながらジャミルは
諦めた様に城門の前へと向かう。
「……何よジャミルっ!何で人の方ちらちら見ながら蟹股で歩いてるのっ!?」
「何だっていいんだっ!……こんちゃーす!」
「何だ?お前達は……、まさか……」
ジャミルは城の門番衛兵に立て看板を見たと言う事を伝える。
衛兵達は最初不思議な顔をしていたが、慌てて城内へ入り、
国王に報告してくれたのだろうか、4人の処に再び戻ってきた。
「宜しい、通りなさい、国王様がお待ちだ……、失礼のない様に……」
城内へ許可された4人は国王がいる玉座の間を目指す。
モンに関しては此処でもぬいぐるみと思われている為か、
全く心配いらなかった。
「フィオーネよ、何度言えば分るのだ!あの者に会いにゆこうなどと
この儂が許さぬぞ!」
「いいえ、お父様!あの黒騎士の目的はこの私、フィオーネですわ!
私が赴けば国の民も安心してまた暮らせるようになります!
……何故分かって下さらないのですか!?」
4人は玉座の間へと向かったが……、やたらと顔の大きい栗饅頭の
様な短足のおっさんと、煌びやかな顔立ちの美しいポニーテールヘアの
姫君が何やら言い争いをしている。この顔の大きいおっさんがこの国の
国王なのだろうが、2人は城内へとやって来た4人に気づかず。この国に
起きているらしい事態はとてもややこしく、深刻そうである。
しかし、栗饅頭の様な顔の短足国王と、この姫君は……、どう見ても
とても親子には見えなかった。
「バカを申せ!自分の娘をあの様な得体の知れぬ怪しい男に
差し出す親が何処にいる!」
「……ですが!」
「……」
「お、おお?」
国王は先程からじっと自分達を見つめていたジャミル達4人の
視線に漸く気づく。
「ウォッホン……、客人か、すまなかったな、さあ此方に参られよ……」
……国王の隣の椅子には当然の如く、王妃とみられる人物が
腰を落ち着けていたが、此方は何やらずっと俯いて泣いており、
ジャミル達の方も見る気配があらず、只管4人を無視だった。
「お見苦しい処をお見せしてしまいまして、申し訳ありません、
私はこの国の姫、フィオーネと申します……」
「俺はジャミル!」
「アルベルトと申します」
「オイラ、ダウドだよ!」
「私はアイシャです」
「モンです、モン!」
「まあ、随分と可愛いらしいモーモンのぬいぐるみをお持ちで
いらっしゃるのね、ふふ、お喋りをするなんて……、本当に最近の
お人形は良く出来て……」
プッ!
「モン、オナラもするんだモン!今のは朝のオニオンスープの
ニオイだモン!」
「あ、あら……?」
「……こ、こらっ!ど、どもども、へへへ!」
ジャミルはうっかり姫君の前で平気でおならをしたモンを
慌てて後ろ手に隠し引っ込めさせた。
「全く……、モーモンまで誰かさんに似ちゃうんだから、
……ホント困るよ」
「……んだよっ、腹黒っ!」
「やめなさいよっ、アルもジャミルもっ!国王様達の前でしょっ!」
アイシャが一応注意するが、注意している彼女も含め、この4人に
常識があったらこの話は終わりである。
「……いえ、いいのですよ、あなた方は旅のお方ですね?もしかして、
例の黒騎士騒ぎの件で此方にいらして下さったのですか?」
「ん、んーと、まあ、そんなとこかな……」
「そうでしたか……、私の所為であなた方にもご迷惑を……、
ですが、私の事は大丈夫ですので皆さまは御自分の旅を……」
「おおお!いかにもワシがこの国のセントシュタイン国王じゃが、
そなた達は看板を見て城に尋ねて来てくれたのじゃな!?」
「……お父様!?」
しかし、娘の言葉を国王が遮る。国王はジャミルを見ると目を輝かせた。
「お主達があの黒騎士を成敗するのに力を貸してくれると言うのか!
そうかそうか!」
「……ど、どうすべ……?」
ジャミルは困って他の3人の方を見る。まだ正式に返事を
受けた訳ではないのだが、国王はどんどんと事を勝手に進めてしまう。
「まあ、一応折角来たんだから……、考えてはおく……、けどさ……」
「そうか!黒騎士退治を引き受けてくれるのか!お主、確か
ジャミルと言ったのう、ではワシの話を聞いておくれ……、
いきずりの旅人であるそなたに黒騎士退治を頼むのには勿論
ワケがある、……実はな、黒騎士は一度、ワシの娘、フィオーネを
狙いこの城に現れた事があるんじゃよ、奴は約束の時間までに
シュタイン湖と言う場所まで趣き、其処に姫を預けて行く様に
伝言を残して去って行ったのじゃ、……ワシはその言葉を
黒騎士の罠だと思っておる!ワシがシュタイン湖に兵を
派遣し、城の警備が薄くなった処で、再び奴はやって来るに
違いない!……それゆえワシはお主の様に自由に行動出来る
人材が欲しかったのじゃ……」
んじゃあ俺、早い話が、暇人て事か……?と、ジャミルは
複雑な心境になった。
「お父様!彼らは無関係な旅人ですよ!巻き込むなんて……」
「お前は黙っていなさい!……これ以上あやつの好きな様には
させぬぞ……」
「……酷い……、あんまりですわ……、私の気持ちなど分ろうとも
しないでっ……!」
「!?あ、ああっ!ジャミル、お姫様が行っちゃうよお!」
「……姫様っ!」
「モンーっ!」
ダウドとアイシャが走って行ってしまったフィオーネを心配するが……、
国王は大丈夫だ、心配あらぬとばかりに首を振った。
「お主達にも心配を掛けてすまぬな、フィオーネは責任感の強い娘だ、
この件に責任を感じておるのやも知れぬ、それではジャミルよ、これから
シュタイン湖に赴き黒騎士の所在を確かめて来てくれ、もしも奴が其処で
待っておったらお主の腕の見せ所じゃ!徹底的に叩きのめしてまいれっ!」
「……」
「ああ、姫、かわいそうなフィオーネ……、あんな黒騎士などに脅されて……」
4人は国王からシュタイン湖の場所を聞くと城を出る。……背中に
王妃のおいおい泣く声を耳に受けながら……。
(ねーねー、ジャミルっ!)
「何だよ……」
城を出てのそのそ歩いていく4人。ジャミルの耳元にこっそりと
発光体のサンディが囁く。
(ここの人達、なーんか黒騎士に困ってたっぽくネ?これは人助けの
チャンスだって!これだけの人達からカンシャされて星のオーラが
貰えれば神サマもきっとアタシ達を見つけてくれるハズ!なんか希望が
見えてきたんですケド!んじゃあ、さっそくアタシ達もイッチョ黒騎士
退治にいっちゃいマスかっ!?)
「今日は行かねえよ、明日だ、……日も暮れて来たし、皆と話も
あるしな……、それに堪ったゴールドで新しい武器と防具も調達
しねえと、色々準備があんだよ……」
(んーっ!……イケズッ!)
国王に頼まれた以上、シュタイン湖に行かなくてはならないのは
山々だが、ジャミルも皆も……、走り去る際のフィオーネの涙を
見てしまった為、複雑であった……。黒騎士の姫を狙う本当の真意も
目的も彼の詳細もジャミル達は分らない為、果たして国王の判断
だけで悪者と決めつけて本当にいいのかと……。
「んーっ!んまー!」
「おいしーい!」
「最高だね!」
「おいひーよおー!」
「♪モンモンー!」
取りあえず宿屋に戻った4人とモンはロビーテーブルにて
リッカ特製の夕ご飯を頂く。今日は特製のナポリタンにサラダ付き。
「もう~、みんなオーバーだよ、でもいつも美味しそうに食べてくれて
私、本当に嬉しいな、これからも頑張るから宜しくね、えへへ……」
そして夕食も食べ終え、4人は貸して貰っている部屋へと移動する。
「はあ~、ついさっき目玉焼き食べたと思ったらもう夕ご飯だもんね、
ホント、この話って時間立つの早いよお~……」
「モンモン~、……流石にモンももう食べられないモン~……」
お腹をさすりながらダウドがぶつぶつと……。アイシャに沢山
ナポリタンのお零れを貰ったモンは口の周りがケチャップで汚れ、
アイシャが拭いてやったものの、汚れが落ちず、某ハンバーガー屋の
ピエロの様な凄い顔になっていた。
「黒騎士さん……、私達はまだ会った事ないけど……、きっと
悪い人じゃないわ……」
「ん?オメー、んな事わかんのかよ……」
此方も……、急に目を輝かせてアイシャがブツブツ言い出した……。
「私には分るわっ!……そうよっ、だって、あの時のフィオーネ姫の涙……、
そうよっ、フィオーネ姫は絶対黒騎士さんに恋してるのよっ!」
……このアイシャの発言が……、次回、またまたジャミルとアイシャの
ケンカの原因へと……。
「……ひ、ひひひひっ!」
「ちょ!ジャミルったらっ、何でそこで笑うのようっ!失礼ねっ!」
「い、いや……、やっぱお気楽な少女趣味の思考だなって思ってさ、
……くくく!」
アイシャは顔を真っ赤にしてジャミルに怒るがジャミルは
只管笑い転げている。……あーあ、始まったかとアルベルトと
ダウドは諦めた様に騒動が始まるのを覚悟した。
「もーっ!いいわよっ!うっかりジャミルの前でなんか言うんじゃ
なかったわっ!バカっ!野蛮っ!スットコドッコイっ!変態原始人!
アウストラロピテクスっ!いーだっ!」
「……おいっ!んだよ、最後のはよ!コラ待てっ!この暴走ジャジャ馬っ!」
アイシャは激怒したままモンを連れ自分が寝泊まりする
部屋の方へと逃走。……今回は何日ぐらいで収まるんだろう
ねえと、アルベルトとダウド……。
「ったくっ!あの野郎っ!!」
「……あのさ、誰がどう見たってジャミルが悪いよ……、君、本当に
デリカシーの無さと不器用な処……、相変わらずだね……」
「だよお~……」
(アンタの観察記録、つけとくネ、……ふむふむ、乙女心のわかんネー
困った古代人の変態アウストラロピテクスと……)
「……うるせーうるせーっ!あーっ!どいつもこいつもっ!
……知るかっ!アホっ!」
「あの……、ジャミル?」
「……」
ダウドが声を掛けるが、ジャミルはベッドに突っ伏し、毛布に顔を
埋めた状態のままそのまま寝てしまった。
「ほっといてあげよう、アイシャとケンカして機嫌が悪いんだから……、
まあ、いつものパターンだからさ……」
「そうだねえ……、ま、これがなきゃジャミルじゃないしね……」
やがて夜も更け、アルベルトとダウドも眠りについた頃。……お約束。
不貞腐れて先に寝てしまったジャミルは夜中に目を覚ます……。
「……冗談じゃねえっつーの……、うるせーガングロも気配がしねえな……、
奴も休んだか、やれやれ……」
変な時間に目を覚ましたジャミルは一人、ロビーへと降りてみる。
……当然の事ながら、リッカも従業員達も就寝中である。
「しっかし、アホだなあ、俺って……、……ま、自覚があるんだから
エライっしょ……」
と、一人でブツブツ言いながら誰もいない夜中のテーブル席へと
腰を降ろした。
「……?」
と、ジャミルは誰もいない筈のロビーで何となく人の気配を感じ、
周囲をちらっと見渡してみる。すると。
「やあ……」
「!?」
「君には私の姿が見えるのか……、私の姿が見えると言う事は、
君は……、いや、そんな事はどうでもいい事だ……、だが、これも
何か運命の導きなのであろうな……」
「あんた……、何モン?……天使界の奴か?それにしちゃ、現地に
いた頃もお目に掛った事ねえけど……」
カウンターに突如出現した、天使の輪と翼を持つ謎の人物……。
飄々とした態度でジャミルに接してくる。口調は男の様であるが、
ナイスバディで胸が大きく、美しい外観から女性である事は間違いない。
「私の名はラヴィエル、閉ざされた運命の扉をこの手で開く者だ、
君に私の力を貸そう、私はこの手で天使だけが通れる異次元の扉を
開く事が出来る、扉は外の世界へと通じている、天使の扉は君を
新たな冒険へと誘ってくれるであろう……」
「あのさ、天使の扉って……」
「ふむ、聞きたいか?しかし、まずは一度試してみないか?」
「はあ……」
ラヴィエルはジャミルにカモンする。ジャミルは仕方なしに一応
彼女の側まで行ってみるが。
「よし、この扉の中に試しに入ってみたまえ、新たな世界に
通じている筈だ……」
ジャミルは恐る恐る、扉の中に身を入れる。……と。
「キャー!エッチ!の○太さんのエッチっ!!出てってーーっ!」
……入った途端、突然入浴中の女児にお湯をぶっ掛けられた……。
どうやら何処かの家の風呂場に入ってしまった模様。
「誰がの○太だあーっ!……おい、何が新たな世界だっつーのっ!!」
頭からお湯を掛けられ、びしょびしょのジャミルはラヴィエルに
激怒するのだった……。
「……と、まあ、こういう事だ、……新たな世界から冒険者を
此方の世界に呼び、君の力になって貰う事も出来る、是非活用
してくれたまえ……」
「……説明になってねーっつーんだよっ!おーいっ!……ふ、
ふえーっくっ!」
しかし、ラヴィエルは既に姿を消す。更に余分な件で激怒した
ジャミルは又疲れ果て、大人しく再び部屋のベッドへと戻るので
あった……。
翌朝。
「ジャミルーっ!おはようー!」
「モンー!」
朝食を頂きに再びロビーへと集合したメンバー。昨日あんなに怒っていた
アイシャはもう機嫌が直っていた。今回は最速である。
「どうしたい?何かあったか?おま、あんな怒ってたのによ……」
「うふふっ、もういいのっ、だってね、素敵なドレスを着る夢
見ちゃったの!すっごく幸せだったの!」
「そうかい、はは……」
んないい夢見たぐらいで機嫌が良くなるなんざ、やっぱあいつって
何て単純……、とは思ったが、折角機嫌が良くなってくれたので
何も言わない事にする。しかし、幸せそうなアイシャとは裏腹に、
ジャミルの瞼にはクマが出来ていた……。俺の方のアレも昨夜の事は
夢だったんだと無理矢理思う事にしたが。
「何とか……、通常モードでシュタイン湖へ行けそうかな?」
「良かったねえ~、ジャミル……」
「は、はははは……、うう~……、あう!?」
しかし、やはり夢では無かった事を自覚する。……カウンターにて
通常では買えない限定品などを販売し、世界宿屋業界より訪れ、
営業をしているロクサーヌの横にラヴィエルが姿を現した。当然、
この場ではジャミルにしか姿は見えてない。
「頼んだよ、どうか、この世界と別世界を結ぶ懸け橋になっておくれ……」
「……うーそーだあああ!!」
……何はともあれ、湖へ向かう前にまずは武器と防具の新調からである。
さて、湖へ向かう前に。此処で4人が城下町で整えた現在の
装備状況をば。
ジャミル うろこのよろい バンダナ 皮のこて 布の手袋
布のズボン 兵士の剣
アルベルト うろこのよろい バンダナ 皮のこて 布の手袋
布のズボン 兵士の剣
ダウド 皮のよろい バンダナ 皮のこて 布の手袋
布のズボン たけやり
アイシャ 皮のドレス ヘアバンド 皮のこて 布の手袋
布のズボン かしの杖
うろ覚えですが、大体こんな感じ。でも、違ってるかも知れない。
装備品が高い割にとにかくゴールドが溜まらないので、一部の方の
装備品が適当で酷いですが、話をどんどん進めたいので多少バトルが
きつくても、書いてる奴が強行突破する為です。
「ちょ、オイラまだ竹槍ーーっ!?酷いよおー!」
「まあ、我慢しろよ、その内知らない間にゴールドも溜まるよ、そうしたら
もう少しいい武器買ってやるからよ……」
「あうう~……、酷ス……、倒れたら化けて出てやるう~……」
そして、頭部の防具で一騒動もあった。現時点では皮の帽子が一番守備力が
高いと思われますが。
「パンツ!毛糸のパンツモン!みんなお揃い!毛糸のパンツ!モンも
一緒に被るモン!」
「……」
……と、言う事で、アイシャが膨れて皮の帽子を速攻でお断わりした為、
こうなりましたとさ。
※実際のゲーム中では、守備力強化の為、全員皮の帽子は身に着けております。
そう言うワケで、どうにか装備品を整え、セントシュタイン湖へと
一路向かったのだった。城の裏手から北に進み、更に北へと……。
国王に教えて貰った道筋を辿り、湖へ着く。湖へ行くのならと、
リッカが気を遣い、自分の仕事で忙しい中、わざわざ特製の美味しそうな
お弁当を作り持たせてくれたのだった。
「わあ、綺麗ねえ……、あっ、遠くに何か見えるね……」
アイシャが目の前のセントシュタイン湖を眺めてうっとりする。
「……此処が黒騎士が待ってるって場所?てか、黒騎士なんていないじゃん……、
てか、ヒトを呼んどいていないってどうゆうコト……?」
「なんか野蛮だよお……、こんな平和そうに見える所で
バトルしなきゃいけないかもなんでしょ……?」
「まあ、仕方ないよ、取りあえず黒騎士とやらが来るまで此処で待とうよ……」
アルベルトが妖精モードで姿を見せたサンディ、早速ヘタレ始めた
ダウドを宥めた。
「そうだな、リッカが作ってくれた弁当もあるしな……、けど、
何かこの感じ、な~んか、3の時を思い出すなあ~……、ちら、
あん時は泉だったけどさ……」
……ジャミルは横目でダウドの方を見た……。
参照 zoku勇者 ドラクエⅢ編……、番外編の回参照
「何何何っ!ヘタレ、アンタなんかやったのっ!?」
「うう~、何でサンディにまでヘタレ呼ばわり……」
「まあ、大した事ねえよ、うっかり泉に落ちてだな、その後が大変……」
「と、まあそう言う事ですっ!失敗は誰にでもあるんだからさあ!
あーははは!」
急いでがばっとジャミルの口を塞ぎ、ダウドが誤魔化す。しかし、
好奇心旺盛なサンディが引き下がるわけがなく、何をしたのか
教えろとダウドに突っ込んでくる。
「……隠し事ナシだヨッ!……教えなさいよおお~!」
「教えるモン~……、シャアーー!!」
「ちょ!モンまでっ!何で大口開けるのさああーー!!」
「まあまあまあ、プライベートは誰にでもあるから……、
う、プッ……」
と、アルベルトは言うが、……一瞬、3分裂した時の姿のダウドを
思い出して吹いた。
「もう皆酷いよおおーーっ!過去の話は忘れろーーっ!
このやろーーっ!!」
「サンディ、やめなさいったら!モンちゃんも駄目よ!」
「……モン~……、ごめんチャボ……、モン……」
救いの女神様動く。アイシャはモンの口を閉じさせ、サンディに
注意する。流石である。
「ちぇーっ!……でもいつか絶対調べてやるんだからネ、
見てなさいヨ!」
サンディはブツブツ言いながら発光体に戻ると一旦再び姿を消した。
「助かったよ、アイシャ~……、ンモーーっ!!余計な事言うなよおっ!
バカジャミルっ!!」
「んだよっ、バカダウドっ!!」
「……2人とも、折角一旦話が収まったんだから……、ね?」
「はい、すんません……」
ジャミルとダウドはアルベルトがスリッパを取り出したのを見、
小さくなるのであった……。そして、4人とモンは湖の畔でリッカが
作ってくれたお弁当を頂きながら黒騎士を待つ……。これから緊迫した
状況になるかも知れないと言う時に、何とも呑気な光景だった。
「これ、おいしそ!チョーダイっ!」
「あ、ああー!てか、サンディ、君、物食べるんだあ……」
また姿を現したサンディ。……ダウドが食べていた唐揚げを横から掻っ攫う。
「別に食べなくたっていーんだけどさあ、何かアンタ達だけ
美味しそーなモン食べてんのみてんの気に喰わないのヨ!」
「モン、美味しそうなモン……、モンを食べる気モン!シャアーーっ!!」
「何ヨッ!あんたみたいな不味そうな、ザ・ブ豚!死んでも
食わねーわヨ!」
またサンディとモンのバトル始まりそうになる。その場はまた
やかましくなる。4人は頭を抱えた……。黒騎士はまだ姿を見せず……。
zoku勇者 ドラクエⅨ編 6