愁き二つの輪郭

遠のく意識のなかで

夕暮をみている

その輪郭なき(かなし)みをみつめている

(おれ)ではなく

あの夕暮が病んでいるということはありはしないか

(うか)び上がらぬ線は何を(かく)しているのか

命の貴さか

はたまた些末さか

己の神経を蝕んでいるこれは何だ

己の脳裏を疼かせるおまえは誰だ

生の裏側から手を差し伸べてくる

こいつの正体を明かしてくれ、夕暮よ

頭の中の洗いざらいを審判してくれ

己自身の輪郭さえ未だ摑めぬというのに

夕暮と一体になろうという無謀を犯している

定かならぬ輪郭どうしを重ね、いや照らし合せれば

何かが視えてくるだろうという淡い期待を抱いていたが

(つい)ぞ実線が泛び上がることはなかった

嘲笑を抹消することはできなかった

もしかすると、己を嗤い蝕んでいたのは俺自身なのか

なあ、そろそろ教えてくれよ

夕暮よ

愁き二つの輪郭

愁き二つの輪郭

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2024-10-10

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