愁き二つの輪郭
遠のく意識のなかで
夕暮をみている
その輪郭なき愁みをみつめている
己ではなく
あの夕暮が病んでいるということはありはしないか
泛び上がらぬ線は何を秘しているのか
命の貴さか
はたまた些末さか
己の神経を蝕んでいるこれは何だ
己の脳裏を疼かせるおまえは誰だ
生の裏側から手を差し伸べてくる
こいつの正体を明かしてくれ、夕暮よ
頭の中の洗いざらいを審判してくれ
己自身の輪郭さえ未だ摑めぬというのに
夕暮と一体になろうという無謀を犯している
定かならぬ輪郭どうしを重ね、いや照らし合せれば
何かが視えてくるだろうという淡い期待を抱いていたが
終ぞ実線が泛び上がることはなかった
嘲笑を抹消することはできなかった
もしかすると、己を嗤い蝕んでいたのは俺自身なのか
なあ、そろそろ教えてくれよ
夕暮よ
愁き二つの輪郭