冬の終わり

まるで冬みたいな日に
君の背中に羽が生えた
南に行くのよ、わたし
あなたを置いていくの。
僕の言葉を待つことなく
君は飛び立つ
想像してたよりも
はるかに大きな翼を
たった数回はばたいただけ
君は彼方へ飛んでゆく。
いつか君は戻ってくるんだろう?
想像してたよりもはるかに大きな声で
僕は叫ぶ。
何も聞こえないわ、もう
とっても離れてしまったから
あなたの声が聞こえないわ
いいえ、これまでも
ずっと聞こえなかった
あなたの声も
あなたの叫びも
私を繋ぎ止めるものは
何ひとつなかった
だから私はこんなに自由に
こんなに遠くに羽ばたけるの
春になったら戻ってくるわ
あなたが春になったら
戻ってくるわ

冬の終わり

冬の終わり

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2024-10-10

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