『季節外れ』

神様に嫌われてるの
あの子の涙はラムネ水


『季節外れ』


夜は寒くなってきたと
話すのに半袖のまま君は
ブランコに腰掛けて俯いた
もう子供じゃなくなったねと

大したことじゃないと
言えればどんなによかったか
君の目に溜まる涙が溢れ落ちる前に
次の言葉を探すけど迷子になる

無力なアタシにはその甘い涙を
止める力なんて有りはしないから
寄り添う癖に反目し合う
不思議な関係にそれは必要ない

これから恋がしたくなる季節に
君は独りで泣いてると思えば
どこか胸がすっと気持ちよくて
だけど同情と安堵も本心で

可哀想だと思うけどどうして
アタシなんかの前でそんな顔
過ぎ去った夏を思い出すような
ラムネ水みたいな綺麗な涙

唇で拭いたい気持ちを隠して
大人も良いもんよと呟けば
そうかもと小さく笑う可愛い人
この涙だけはアタシのもの



「ひと夏の恋は誰にとっても痛みを残す」

『季節外れ』

『季節外れ』

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2024-10-06

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