コーヒーゼリーマウンテン

 触れ合うほどに離れていった。壊れた冷蔵庫みたく、思い出を腐らせてばかりいた。
 冷ややかな肌。まるでコーヒーゼリー。
 雨が降った。君が煙草の火を消した。良い子はもう帰る時間。
 本当のところは何が欲しい?今更何も言えやしなくて、錆びついたような喉が痛い。
 あの時の事、変えられないかと願うだけ願って。勝手だなって嗤うだけ嗤って。次の瞬間には振り出しに戻って。
 終わりにしよう、回想だけを映すシアター。

 触れ合うほどに離れていった。涙流すように垂らされた、シロップとクリーム。
 冷ややかな肌。まるでコーヒーゼリー。
 睡眠欲を犠牲にする、着脱のイニシエーション。千切った羽根、掌で抱いて。
 本当のところは何が欲しい?今更何も言えやしなくて、錆びついたような喉が痛い。
 誰かを好きだと言う資格。金があれば買えるのですか。清くただしい青春の在り処。今からでも遅くはないのですか?
 触れ合う肌は、まるでコーヒーゼリー。
 この感触に身を預け、沈んで、息絶えて、しまえたらね。
 憂鬱と安寧。まるでコーヒーゼリー。
 山のように、ただそこにある。今も変わらずそこにある。いつまで変わらずいてくれる?
 コーヒーゼリーマウンテン。踊るように歩いてく。

コーヒーゼリーマウンテン

コーヒーゼリーマウンテン

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2024-10-04

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