角度

なんか水がかかった? ような感触がしたので足元を見てみると
緑色の液体が左足の靴下からふくらはぎにかけて
まっすぐに走っていた
地面を見ると芋虫らしき何かがぺしゃんこになって張り付いていた
「最悪」と俺は声に出して言った
踏んだ感じはしなかったのだが
たしかに俺が踏み潰して
その体液を浴びてしまったらしいのだ
しかしどういう角度で踏みつけたら
こんなふうに足にかかることになるのだろうか
中身を上方に噴き上げて死んだ芋虫
殺し方にも角度があることを俺は知った
100%加害者の俺が呟いた「最悪」を
神様が聞いていなければいいのだが
靴下は洗わないでそのまま捨てた

角度

角度

詩誌『月刊ココア共和国 2024年10月号』(電子版)に佳作として掲載された詩作品です。

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2024-10-02

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