コミュニティ

人の繋がり。休日の終わり。ペットとハイボール。

楽しかった休日。久しぶりに昔の仲間と会った。何年ぶりかで会ったのに共に過ごしていた時と同じように、何も気兼ねせずに、思ったことをそのまま、口にすることができた。めちゃくちゃ笑った。短所を指摘されても、楽しく笑える空間。

他の人に同じ事をされたら、腹が立ったり、悲しくなるのに…不思議だね。

楽しい時間は、すぐに終わってしまう。

幸せの余韻を残して帰宅する。

部屋の灯りをつけると水槽の中で、金魚が驚いて、猛スピードで泳ぎ回った。一匹が、そうなると他の金魚も驚いて泳ぎ回る。朱色に少しの白と黒が混ざったコ。夜に部屋の灯りをつけると、いつもこのコが最初に暴れ出す。私は思う「個性なんだろうな」。金魚にも性格があるなんて、飼うまで思っても見なかった。私は、この子に名前をつけている。『ティミッド』。それがこのコの名前。『内気とか、小心』ていう意味の英語。馬鹿にしてるんじゃなくて、可愛らしいと思って、名付けた。

怖がりなティミッド、驚いて騒ぎ立てても、嫌われずに他の金魚と仲良くやっている(※私は、そう思っている)。そんな水槽を見て、私はクスッと笑う。家に帰って、灯りを点ける時、必ず私は水槽に目をやる。

服を脱ぎ捨てて、シャワーを浴びる。温かい水が私から外の匂いを流していく…。そして、私は休日が終わってしまう喪失感に包まれる…。

体を拭いて、パジャマに着替えて、脱いだ服を片付ける。一人暮らし、狭い部屋は、なんでもすぐソコにあるから便利だって思う。そんな事を思って、ふと水槽を見た…金魚たちは、大きな湖で泳ぎ回りたいんだろうか?

私に置き換えてみる。私は、今の職場を窮屈だと思っている。だけど、別の職場へ移る勇気もない。だから私も『timid』だ。それに、そういう事を想像しても、自分が何をしているかが思い浮かばない。何がしたいかわからない自分がもどかしい。金魚たちも広い場所に行ったら、戸惑ってしまうのだろうか…。

時々、私は、とりとめなくこんなことを考えてしまう。

考えながら、冷蔵庫から炭酸水を、キッチンの棚からロンググラスとウイスキーを取り出して、テーブルに座る。寝る前のひととき。

昔の仲間、職場の人間関係、金魚たち…。それぞれ、小さなコミュニティでの出来事。同じ自分なのに、うまく行ったり、いかなかったり…不思議だなぁと思う。

テーブルの上には、ロンググラスに注がれたハイボールとガラス玉入りのグラス(※インテリア)。

灯りを消して、ペンライトでガラス玉を照らす…光を当てる角度を変えると、ガラス玉とグラスがキラキラ光る。透明なグラスに赤や青や緑に黄色の光が映り込む。私は、このキラキラを見るのが好きだ。心和む時間…。

ハイボールに光を当てると炭酸の泡が下から上に向かいながら、キラキラ輝く…綺麗で、一瞬飲むのをためらってしまう。

それでもシャワーを浴びて乾いた喉は、水分を欲す事を止めなかった。私は、黄金に輝く液体を口に含む。

その時、私は閃いた。ガラス玉入りのグラスも、水槽も職場や昔の仲間の集まりだって、それぞれがその場に合わせた役割を持ってるんだって…だから、綺麗だったり、良い結果が出るんだって。その中に、ネガティブな要素、例えば汚れとか、後ろ向きな気持ちとか、そういうのを持ち込むから、うまくいかないんじゃないか?って。楽しい仲間との時間には、そんな要素ないもんね?きっと調和が取れていたら、みんな上手くいくんだろう。ハイボールだってウイスキーと炭酸水の調和で美味しく出来てるんだから。

些細な事だけど、そう思ったら、前向きな気持ちで休み明けの朝を迎えられるような気がしてきた。

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楽しかった休日。久しぶりのあった仲間達。ペットの金魚。喉を潤すハイボール。日常のひとコマ。

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2024-10-01

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