『同級生』

君のことなんか
本当は記憶にないの


『同級生』


理由なく手を繋いだ同窓会帰り
抱き合って眠った夜
君が言うほど
思い出がないことに気付く

君が話す昔のアタシは
まるでアタシじゃないみたいで
単なるお遊びに巻き込まれたような
巻き込んだような変な感じ

あの頃のアタシは
世界中が敵だったの
たぶん君も敵の一人なんだろうけど
どうしても思い出せないよ

大嫌いな景色のはずなのに
面影がないと寂しいなんて
勝手でしかないよね
校舎の絵の中に君は居ない癖に

音楽教師の細い指を
なんとはなしに目で追って
あんな指で触れられたら
きっと落とされてしまうと

鮮やかなのはそういう
情欲に似たものばかり
アタシってあの頃から
悪い子だったんだね



「今も悪い子だろう?なんて何様」

『同級生』

『同級生』

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2024-09-30

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