『同級生』
君のことなんか
本当は記憶にないの
『同級生』
理由なく手を繋いだ同窓会帰り
抱き合って眠った夜
君が言うほど
思い出がないことに気付く
君が話す昔のアタシは
まるでアタシじゃないみたいで
単なるお遊びに巻き込まれたような
巻き込んだような変な感じ
あの頃のアタシは
世界中が敵だったの
たぶん君も敵の一人なんだろうけど
どうしても思い出せないよ
大嫌いな景色のはずなのに
面影がないと寂しいなんて
勝手でしかないよね
校舎の絵の中に君は居ない癖に
音楽教師の細い指を
なんとはなしに目で追って
あんな指で触れられたら
きっと落とされてしまうと
鮮やかなのはそういう
情欲に似たものばかり
アタシってあの頃から
悪い子だったんだね
「今も悪い子だろう?なんて何様」
『同級生』