滅びの彼岸
痛みが飽和する、これは
かりそめの痛みなどではなかったはずだ
ましてや、かりそめの祈りなどでは
いつかの後悔を惰性で引き摺った先には
なけなしの痛みだけが残っていた
それは単為生殖めいていて
見知らぬうちに自己増殖し、やがて
取り返しのつかない規模にまでなる
良心の呵責ではどうにもならないほどの規模で
さらなる苦しみを引き受ける運命を担うことになる
純度を上げないと意味がないから、と、あなたは
己に鞭打ち、さらなる苦しみを苦しもうとする
じきに身を滅ぼす、と誰もが諦めたそのときに
滅びの彼岸にある真実と
愛を目の当たりにするだろう
滅びの彼岸