『虚飾』
君に似合う全てを与えよう
差し出されたものは一体
『虚飾』
これは君じゃなきゃいけない
君以外ぴったりな人はいない
そんな心にもない言葉に踊らされ
貴方の隣で微笑むアタシ
服もメイクも貴方好みの仕上がり
勝手に飾り立てられぽつんと
お喋りに加わることも出来ず
ただひたすらにぽつんと
笑顔を張り付かせ頷くだけの
お人形になった気分よ
あの綺麗な人みたいに自由に
お喋りする相手を選んでみたい
優しさも慰めも要らない
ただ手を離してみたいだけ
気を抜いて笑ってみたいだけ
面白くないわと睨みたいだけ
貴方の居ない週末には
安物のワンピースにスニーカー
普段乗らない電車に乗って
知らない名前の駅で降りる
誰もアタシを知らない街
貴方の付属品ではなくなる街
見知らぬ誰かを見つめても
咎められない魔法の時間
「付属品である内が花と知りながら」
『虚飾』